▷5月23日 東海道線普通列車が貨物線に進入し緊急停止
▷6月16日 内房線・上総湊~竹岡間で作業員が感電死
▷8月 6日 東海道線・藤沢~大船間で電化柱衝突
※8月17日 東海道新幹線で台風・大雨後も列車混乱
鉄道の安全が根本から崩壊
この間、重大事故が相次いで発生している。「単線区間の上下線から同時に進入」「旅客列車が貨物線に進入」「加圧状態のまま作業が行われ感電死」「電化柱と走行中の列車が衝突」等々――どれも本来なら考えられないようなものだ。JRの安全が根本のところから崩壊しようとしている。
8月15日、東海道新幹線は台風7号の影響で計画運休となり、16日には静岡県内の突発的な大雨で5時間以上の運転見合わせが発生した。
だが、問題は17日にまで混乱が続いたことだ。新大阪での分離運転が行われたが、ホームも引き上げ線も列車が詰まって動かせない状態に陥った。これは列車運用で最もやってはならないことだ。
また、8月5日には東海道線の藤沢―大船駅間で約80㌔で走行中の列車と傾いた電化柱が衝突するという衝撃的な事故が発生した。
衝突で電化柱は折れ、張力調整装置も落下している。列車も先頭車両の前面が大きく損傷し、いくつもの車両の屋根に穴が空き、車内では天井板や吊手棒が落下した。最悪の場合、脱線などさらに深刻な事故になり、亡くなる方が出てしまってもおかしくない重大事故だ。
JR東日本は事故の約10分前に列車が通過していたこと、事故3日前(8月2日)の列車内からの点検では「異常なし」とされたことを発表したが、原因については「調査中」として明らかにしていない。6月の感電死亡事故についても、なぜ信号高圧が加圧中にも関わらず作業が行われたのか、その事実関係すらいまだに隠されたままだ。
「IT企業化」攻撃うちやぶろう
JR東は15年にも山手線で電化柱倒壊事故を起こしている。電化柱の傾きを把握しながら運行が継続され、「大事故が起きなかったのは偶然。間一髪だった」と言われた。
だが、そもそもJRが発表した「事故原因」は「基本的な作業手順が守られていなかった」「運行を止める基準がなかった」など、本質からかけ離れた表面的なものでしかなかった。そして、打ち出された「事故対策」も付け焼き刃的で、問題の本質は何一つ解決されなかった。そして今度は、走行中の列車と電化柱が衝突するという重大事故が発生している。
問題の根本はJRが進めてきた業務外注化であり、合理化、コスト・要員削減だ。そして、「鉄道も経営するIT企業になる」などといって、鉄道の安全を守る現場の業務、技術や経験をかえりみなくなった結果が続発する重大事故だ。
鉄道業務は、膨大な本数の列車を、気象条件等のさまざまな条件も判断しながら運行しなければならない。日々、車両の検修、保線、電力などのメンテナンスも欠かせない。24時間、365日にわたる業務だ。
それを「鉄道ありきで考えるな」「これからは価値創造」「人ならではの業務を」などと言って軽視し、鉄道の現業部門はことごとく外注化し、現場労働者を強制出向させ、「何でも屋」のように扱ってないがしろにすれば、鉄道の安全が崩壊するのは当然だ。
この間の重大事故の連続は、それがまさに現実のものになっていることを示している。必要なのは職場の団結を取り戻し、声を上げ、闘いにたちあがることだ。闘いなくして安全なし! 今こそ職場に闘う労働組合を! 「鉄道も持つIT企業」化攻撃を粉砕しよう。
内房線の電化柱からひび見つかる
JR東日本は電化柱との衝突事故を受けて設置から40年以上経過し、設置場所が同種の電化柱8700本を緊急点検し、一度は「異常なし」と発表した。
その後、一定方向に力がかかりやすい構造の63本について根元の劣化具合などを調べる追加点検を行ったところ、内房線・浜金谷駅近くの1本から根本にひび割れが発見されたことを公表した。