JR東日本は、秋葉原駅の全面外注化を来年3月1日に実施すると提案した。また、吉祥寺駅も12月1日から全面外注化が実施されようとしている。
秋葉原駅は1日平均の乗降客数が25万人を超え(17年度・東日本管内9番目)、土日・休日には特急列車も停車する大規模駅だ。吉祥寺駅は、船橋駅よりも多い1日平均14万人を超える中央線の中枢を担う重要駅だ。
駅業務の完全別会社化
秋葉原駅が全面外注化できるなら、他のどの駅でもできるということだ。これまでの駅外注化とはまったく違うレベルの攻撃だ。その先には明らかに駅業務の完全別会社化と転籍強制が準備されている。全系統でこれまでとは次元を画する攻撃が一気呵成に開始されているのだ。
駅が完全別会社化されれば、駅から車掌、運転士へという養成体系も崩される。そして、乗務員というあり方も解体し、「輸送サービススタッフ」という形で無権利化することを狙っているのだ。
安全の基盤そのものが崩壊
「安全の要」である駅業務の外注化は鉄道の安全を崩壊させる。
2015年4月より「業務委託駅における業務の委託範囲拡大」が実施された。
人身事故などが発生し輸送障害が起こった場合、今までは最終的な安全確認は管理駅社員(JR社員)が行っているものを、業務委託駅社員が行うことができるというものだ。また、列車非常停止警報装置の復帰扱い業務についても、業務委託駅社員が自らの判断で復帰扱いを行い、管理駅に事後報告する。つまり、駅における安全の確保に関してJRが全く責任を取らなくなるということだ
本来、事故の場合であれ、線路に落ちた物を拾う作業であれ、駅が指令に伝え、指令が列車抑止手配を行い、列車が駅に入らないことが確認されてから作業が行われる。駅も指令もJRが統一した責任をもっていて初めて安全な作業ができる。しかし、駅が本線と分断され、本来の共同作業が外注会社とJRとに分断されれば、安全の基盤そのものが崩壊し、現に事故が多発している。
阪急、京急は委託解消
私鉄の阪急電鉄や京浜急行電鉄では、駅業務などの分社化でコスト削減を進めてきたが、「偽装請負」の問題、「社員の士気の低下」「安全強化」「情報伝達を一元化すれば災害やトラブルに素早く対応できる」と駅業務の外注化を取りやめ、子会社の社員を直接雇用に切り替えた。
乗務員勤務制度改悪阻止を
会社は15年3月ダイ改で東京支社管内の出発指示合図をすべて廃止した。秋葉原駅は運転取扱駅でなくなり、全面外注化がその当時から狙われていた。それでも会社が踏み切れずにきた最大の理由は、現場の抵抗力を恐れていたからだ。
秋葉原駅全面外注化提案が、乗務員勤務制度改悪について東労組・国労の妥結が確実になった段階で行われたことにも大きな意味がある。「最大の攻撃」といっても過言ではない乗務員勤務制度改悪を東労組・国労に認めさせたことを契機に、全系統でこれまでと次元の違う攻撃を開始しようとしているのだ。
乗務員は鉄道の中心をなす職種だ。労働者の抵抗力が最も強いのも乗務員だ。その労働条件と抵抗力を打ち砕くことで、全体の権利を解体する狙いなのだ。だからこそ、乗務員勤務制度改悪に現場から反対の声をあげることは、会社施策全体への大きな反撃になる。
一丸となって組織拡大を
この攻撃に真正面から立ち向かい、職場から、「鉄道業務の外注化反対!」「乗務員勤務制度改悪反対!」「分社化・転籍反対!」の怒りの声を組織しよう。闘う労働組合の必要性を訴えJR本体、エルダー、CTSの組合員が一丸となって組織拡大にうってでよう。 第3の分割・民営化攻撃粉砕の闘いに立ち上がろう!