日刊6889号より続く
いよいよ闘いが始まる
動労総連合は、「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進」に対し、JR東日本に別掲のとおり解明要求を提出した【下記参照】。いよいよ闘いが始まる。これは、JRで働く労働者の将来を決めてしまうような攻撃だ。
われわれは、2001年に構内・検修業務の外注化攻撃が始まって以来、「この攻撃は絶対にこれで終わらない。こんなものを認めたら検修職場で働く労働者は強制出向・転籍という所まで突き落とされていくことにならざるを得ない」と訴え、闘い続けてきた。
実際、そのとおりの事態が起きている。先に述べたとおり、今回の攻撃もこれで終わるものではない。どう考えても、検修部門は別会社としてJR本体から切 り離してしまうという所まで行き着かざるを得ない性格のものだ。今回の攻撃はその布石だ。そうなれば、賃金も労働条件もJR本体とは全く別なものとなる。 そんなことを許してはならない。
何のための組合か ?
しかし攻撃は矛盾だらけだ。絶対に破たんする。現場の怒りの声を結集すればこんな攻撃は粉砕できる。例えば、民営化された郵政でも、 宅急便部門を「JPエクスプレス」という別会社にし、転籍・賃下げを強要するという攻撃がかけられた。だがそれは、現場の労働者の怒りの声の前に予定どお り実施することができずに延期されている。
なぜ千葉支社だけが、この8年間、構内・検修外注化に手をつけることが出来なかったのか。動労千葉が必死に抵抗し闘い続けたからだ。JR全体から見れば 動労千葉は小さな力かもしれない。始めから外注化を阻止できる展望があったわけでもない。だが、自分の手で自分の首を絞めることが始めから分かっていなが らドレイのようにそんなことを認めていいのか、というのがわれわれの思いだった。
それだけじゃない。本来、労働組合が反対だと言い続ければ、絶対出来ないことなのに、なぜ東労組は会社の手先になってズルズルと認めてしまうのか。こん な組合のあり方を続けていたら、労働者は最底辺に向かって蹴落とし合うだけの惨めな存在になってしまう。それは、何のために労働組合のもとに団結してきた のか、という根本が問われる問題だ。
闘えば阻止できる !
外注化攻撃は「シニア制度」と抱き合わせにして、定年後の「再雇用」と引き替えに、組合に外注化を呑ませるという汚い手口で始められ た。東労組は、何とそれを「他の企業にぬきんでたすばらしい制度だ」と言って積極的に受け入れた。われわれは、外注化推進条項を含む「シニア協定」の締結 を拒否した。それは当然のことだが、厳しい選択でもあった。40年以上国鉄-JRで働いた仲間が、動労千葉の組合員だというだけで、再雇用の道を断たれる ことを意味したからだ。理屈だけでは済まない身をきるような激論をし、組合自身でも再雇用先を何とか確保する努力も行い、何度ものストライキを構え、最終 的には多くの退職者が同じ仲間として組合の方針を支持してくれた。
こうしてハラを据えて闘いぬくことを決断した結果、小さな動労千葉が、シニア制度を5年間で廃止に追い込み、外注化も止めたのである。
今回の攻撃も同じだ。闘えば阻止できる。労働者の団結した力は捨てたもんじゃない。そのことに気がついてほしい。今こそ東労組と決別し、自らの未来を自らの手でつかみとるために闘いに立ち上がろう。
組合破壊を許すな!
この1年余り、幕張車両センターでは、動労千葉の組合員に対する交番検査からの業務外しや露骨な組合つぶしの配転等が相次いできた。 今回の提案が出て、一体何のためにこんなことが行われてきたのか、その狙いはますますはっきりしてきた。構内・検修業務の全面的な外注化を強行するため に、動労千葉を潰すということだったのだ。
職場の現実を見すえてほしい。列車を検査し、安全に走らせることなどそっちのけで、始めから外注化=コスト削減ありきなのだ。
幕張車両センターではこの1年のうちに30名余りが退職する。完全に業務が回らなくなるということだ。誰がこんな状態を生み出したのか。外注化で当座を しのいだとしても、その先はどうなるのか。なぜ退職者に見合うだけの新採を入れないのか。そんな余裕が無いほど経営が危機なのか。そんなことはない。なぜ 検修技術を継承するために全力を尽くさないのか。そして何よりもなぜ本来の仕事をかなぐり捨ててまで、くだらない組合潰しだけに執着するのか。全ては矛盾 だらけだ。
もうこれ以上こんなことを続けさせてはならない。こんな現実を断ち切ろう。職場に闘う労働組合を甦らせよう。東労組の裏切りを許すな。構内・検修外注化を許すな。動労千葉に結集しともに闘おう。
「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進」に関する申し入れ
JR東日本は、10月29日、「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進について」の提案を行ってきた。
今回の提案は、新系列車両の保全検査業務を除く検修・構内業務のほとんどを外注化するものであり、労働者の働く場を奪うとともに、これまで培ってきた車 両の検査修繕に関する技術力を解体し、車両の安全を脅かするなど、運転保安を確立する観点からも到底認められるものではない。
従って、下記のとおり申し入れるので、団体交渉により誠意をもって回答すること。
記
1.次の点について、明らかにすること。
(1)2000年9月の「グループ会社と一体となった業務体制の構築(運輸車両関係)」提案以降、今日までにグループ会社に委託された業務について、検修・構内業務の要員規模及び、業務委託に伴って発生した問題点について。
(2)現在の車両センター、総合車両センターの要員規模及び、年齢構成、車両検修職場への今後の新規採用計画について。
(3)今次提案及び2000年9月提案の未実施部分により発生する車両センター、総合車両センター毎の委託業務の要員規模について。
(4)次の各業務について、新たに委託できると判断した具体的根拠について。
① 仕業検査業務
② 機動班業務
③ 駅派出業務。なお、「首都圏のホーム検査を専門に行う駅派出」とは具体的に何処の派出を差しているのか。かたそれを除いた根拠。
④ 信号業務。
⑤ ホームでの分割・併合作業
⑥ 資材・倉庫関係業務
2.構内・車両検修業務の将来のあり方について、どのように展望しているのか、次の点を明らかにすること。
(1)将来的に直営に残すべき業務をどのように考えているのか。
(2)今次提案によれば、車両センターに直営を主体として残る中心的業務は、技術管理部門及び新系列車両の機能検査のみと考えられるが、車両センター及び総合車両センターの将来的あり方について。
3.車両センターにおける委託業務に対する指揮命令系統や検修指導、技術・品質管理、教育・訓練等についてどのように考えているのか明らかにすること。
(1)「鉄道車両固有の技術を継承する社員が少ない」「専門的な技術・技能のレベルアップが低下する」等が指摘されている状況の中で、検修・構内業務の全 面的な外注化を行うことは、技術力の維持・継承や技術者の養成がより困難になると思われるが、どのように考えているのか。
(2)業務を委託した場合、日常的な故障の解明・加修等について、JR東日本が、直接委託先労働者に技術指導する等の行為はできなくなり、列車の運行等に支障を来すことにもなりかねないが、どのように考えているのか。
また、直営に残る技術管理部門のあり方はどのように変化するのか。
(3)現在でも、委託先労働者をJRが直接指導しているような偽装請負的な現実があり、委託拡大はこうした現実を一層顕著なものにせざるを得ないと考えるが、いかに対処するつもりなのか。
(4)グループ会社における技術管理部門は、具体的にどのように構築されるのか。
また、「グループ会社におけるプロパー社員」は、具体的にどのように養成しようと考えているのか。
(5)「(エルダー社員の)技術力・ノウハウを後進へ確実に継承し育成していく」「当社として、技術レベルを確保するためのフィールドを持つ」等としているが、JR本体における技術継承について具体的にどのように考えているのか。
(6)本線上での車両故障の発生、事故復旧等異常時の対応及び、指揮命令系統は具体的にどうなるのか。
4.「一括して委託する」とあるが、それは「2 委託する業務」に掲げられた各項目の業務について、全てを一度期に委託するという趣旨なのか、具体的に明らかにすること。
また、2000年9月提案の委託対象業務で現在も直営で施行されている部分はどのように考えているのか明らかにすること。
5.JR東日本では、大手私鉄と比べても、車両故障等による輸送障害が極端に多く発生していることが報告されているが、会社はこのような現状についてどのように考えているのか明らかにすること。
6.60歳時点では年金が未支給となる状況を目前にして、現在のエルダー社員制度も不可避に見直しが求められているが、会社の考え方を明らかにすること。
7.運転保安確立、技術の維持・継承、検修職場で働く者の労働条件の維持・改善の観点から、構内・検修業務は直営で運営することを基本とし、今次提案は撤回すること。
-以 上-