強行採決許すな!
安倍政権は5月8日、検察庁法改悪の衆議院での審議開始を強行した。その後、ツイッター上で「#検察庁法改正案に抗議します」という投稿が、わずか3日ほどで500万件を超える規模で相次いでいる。
今回の検察庁法案は、検事の定年を63歳から65歳に延長し、63歳で役職を退くとしている。だが、政府の一存で最大3年間まで役職定年を延長できるとしているのだ。
政府が検察の人事に露骨に介入し、支配下に置こうというものだ。このあまりの無法ぶりに多くの人々が危機を感じて声を上げている。
だが、安倍政権は「でっち上げ」「民意ではない」などと〝白〟を〝黒〟と言いくるめて、あくまで今国会での成立にこだわっている。しかも、国家公務員の定年延長と抱き合わせるという卑劣な方法まで使って、今週にも衆院を通過させようとしている。
これは完全に改憲に向けた攻撃だ。絶対に許すわけにはいかない。
法を捻じ曲げて定年延長
安倍政権は1月31日、2月に退官予定だった東京高検の黒川検事長の定年を半年延長すると閣議決定した。今年7月と言われる検事総長の交代で、黒川が検事総長となる道を開くためだ。
安倍政権は当初、「国家公務員法の定年延長規定が根拠」と説明した。しかし、検察官らの地位は検察庁法で規定され、「国家公務員法は検察官に適用できない」というのが政府の一貫した説明だった。そのことを指摘されると、突如として「見解を変更した」と言い出したのだ。
だが、国家公務員法の定年規定には「別の法律の定めがある場合を除いて」と明記されている。検察庁法で定年が規定されている検察官の定年延長は、完全な違法行為だ。自分の手駒を検事総長にするために、法律まで捻じ曲げた。それを「コロナ」のどさくさに紛れて検察庁法を改悪し、あとから「合法化」しようとしているのだ。
「安倍人事」で改憲の土台つくる
しかも、この企みは16年の段階から始められていた。本来昇進する予定だった人間を官邸が拒否して名古屋に左遷させ、黒川を東京高検の検事長にさせていたのだ。
15年の集団的自衛権容認も、内閣法制局は一貫して「違憲」という立場だった。それを「長官を外部から送り込む」という異例中の異例の「安倍人事」で、見解を変えさせて強行した。そうでなければ集団的自衛権容認など絶対にできなかった。そして、改憲を持ち出す土台自体もなかったのだ。
安倍政権を打ち倒そう!
この法律が、「コロナ」で多くの人々が苦しむ中で、その危機に乗じて進められていることも許すわけにはいかない。
安倍政権の感染防止対策や生活保障はあまりに無為無策だ。だが、5月3日の憲法記念日には、安倍自身が改憲団体の集会にメッセージを送っている。「緊急時に国家や国民がどのような役割を果たすかを憲法にどう位置付けるかは極めて重く大切な課題」「憲法審査会の場で活発な議論を」「改憲を必ずやなし遂げていく」。危機に乗じて憲法に緊急事態条項を持ち込み、改憲と「戦争のできる国」の下地をつくろうとしているのだ。われわれは歴史の岐路に立っていることを片時も忘れてはならない。
検察庁法改悪粉砕! 改憲と戦争を絶対に阻止しよう! 闘う労働運動の復権をかちとり、安倍政権を打ち倒そう。