全ての故障に対してタブレットでの撮影・送信を指示するものではないー千葉支社
「輸送障害への迅速な対応」のためにタブレット導入?
JR千葉支社は、7月以降、検修職場にタブレット端末の導入をはじめている。各車両センター毎の配置数は、以下のとおり。
◎幕張車両センター本区 18台
〃 千葉派出 1台
〃 木更津派出 5台
◎京葉車両センター本区 18台
〃 西船橋派出 1台
しかし、タブレット端末の導入にあたっては、タブレット端末を導入する目的や使用方法、どのような場合に使用するのか、使用するにあたっての管理の問題等が全く不明であることなどから、千葉支社に対して申第36号により申し入れを行い、団体交渉を行った。
団体交渉において千葉支社は、タブレット端末導入の目的について次のような回答を行ってきた。
① 車両故障等が発生した場合、その場所や部位をタブレット端末で撮影し、会社の情報蓄積サーバーに送信することにより、本社・支社・車両センター間での情報の共有化を図ることができる。
② 車両故障等が発生した場合、タブレット端末で撮影した場所を具体的に見ることにより、処置の指示を車両センター本区から行うことができる。
③こうしたことから、輸送障害への迅速な対応が可能になる。
④ タブレット端末は、故障時の撮影以外にも、車両の図面や各種の取扱マニュアル等を入れることができるので、いろいろな場面で活用することが可能になる。
乗客が乗った列車の修繕中に撮影・送信する余裕などない!
千葉支社は、導入にあたっての一番の目的は、「輸送障害への迅速な対応が可能になる」との考え方を示してきた。
しかしこれは、現場での作業実態を無視した回答だ。とくに派出検査の場合には、2人1組で作業を行うことになっているが、これは、作業を行っている間の安全を確保するためだ。このため、1人が作業を行っている間、もう1人がタブレット端末を扱うことなど到底無理な話だ。しかも、派出検査の場合は、本線で故障が発生して派出検査がある駅で修理をする場合、乗客が乗っている中での作業になり、時間との勝負になる。タブレット端末で撮影し、撮影した内容を送信し、送信された中身を見て本区から指示を受けて作業するなどという余裕などないのだ。
千葉支社は、「輸送障害への迅速な対応が可能」というが、逆に時間や余分な労力を使うことになるだけなのだ。
CTSへのタブレット端末導入は、偽装請負そのものだ!
こうした組合側からの追及に対して千葉支社は、①今後、各区所ごとに、1時間~2時間程度の訓練により取り扱い方法等について周知を行う、②タブレットは常に携帯しなければならないわけではない、③使用する場合には指令や区所から指示する、④破損や紛失した場合には、リース品であり、事情聴取する場合がある、⑤各車種(EC、DC、DL)同一のタブレットを使用することになる、⑥今後、CTSにも導入することを考えているとの回答を行ってきた。
この中で、CTSへの導入に関して組合側から、JRで使用している図面やマニュアルをそのままCTSが使用することは、「独自の技術、経験に基づいて業務を処理する」との規定に違反すること、指令や区所から撮影・送信の指示を行うことは、JRからの直接の指示であり偽装請負であることを追及したところ、千葉支社は「貸与するから問題ない」との回答を行ってきた。タブレットを「貸与」すること自体問題だが、その中に入っている図面やマニュアルに基づいて作業を行うということは、JRからの指示であり、さらにCTSが鉄道や車両に関する技術や経験がないためにJRの図面等を使用するというものであり、明確な偽装請負だ。
こうした追及に対して千葉支社は、結局、まともに回答できないままとなった。
これを受けて組合側からは、タブレット端末での撮影を優先するような指示等は行わないこと、派出検査の場合には2人1組の作業体制でありタブレット端末を扱うことはできないこと、仮に派出検査で使用する場合には、千葉派出のように4名2組の体制があり、故障対応とは別の組が対応することができる場合等に限ることなどをあらためて要求し、団体交渉を終了した。
反合・運転保安確立!組織拡大へ全組合員が起ち上がろう!