職場・地域に国鉄闘争全国運動をつくりあげよう!
昨年の6・29判決は、動労千葉12名が採用候補者名簿から排除されたことを不当労働行為だと明確に認めました。年頭にあたり、東京高裁における勝利獲得、そして国鉄闘争全国運動の今後の闘いの課題と抱負をうかがいました。 ◎座談会参加者(敬称略) 動労千葉争議団 高石 正博 同 中村 俊六郎 同 中村 仁 動労千葉を支援する会 山本 弘行 (文責 編集委員会) |
不当労働行為=解雇撤回以外ない
●「6・29判決」では不当労働行為を認めさせました。
高石 6・29判決は、本当に画期的な判決だと思う。あれだけはっきりと不当労働行為を示したというのは、初めてだと思うんですよね。ただ、改革労協(現JR総連)が会社側と結託して不採用基準を作って排除したことを明確に示したのに、最終的には「解雇は有効」としたわけでしょ。僕としては絶対納得できないね。これまでの国労の判決以上の中身をかちとった以上、「解雇有効」を如何にひっくり返すのかが勝負ですね。
中村仁 この判決は、逆に考えれば、不当労働行為があっても解雇は有効だという前例を作ることにつながるんじゃないかって感じました。だけど、裁判というのは力関係だと言われているように、不当労働行為=解雇撤回に結びつけていくには、われわれの力量が問われているんだと思います。国鉄分割・民営化攻撃に対して、われわれの裁判が一番最後の裁判になったわけだけど、ここでわれわれが全力を尽くして勝ったら、今の情勢が変えられると思うんです。
中村俊 この判決は、動労千葉が、25年間、1047名闘争と現場の闘いを一体で取り組んできた大きな成果だと思います。東京高裁での闘いが始まりましたが、ここでの勝利に向けて、現場と一体となった闘いが必要だと思いますね。
山本 「6・29判決」は、非常に分かりにくい判決だと思います。ただこの中で「バックペイ」を言っていますが、これは、不当労働行為の現状回復を裁判所が触れたということです。「解雇有効」と言いながら「バックペイ」に触れているのは、ものすごく矛盾に満ちた判決です。
● 控訴審では、中村仁君が感動的な意見陳述を行いました。
中村仁 12月17日の意見陳述では、不当労働行為を認めたんだから、解雇撤回しかないじゃないかという部分を一番訴えました。今回の控訴審は、国労などがやってきた1047名裁判とは全く問題が違って、名簿から削除したという新しい事実がはっきりした中で始まった裁判であり、これまでの前例云々ではなく、1047名裁判としては全く新しい裁判なんだということを東京高裁の裁判官に分かってもらおうと思いました。われわれとすれば、真実が知りたいわけですよ。ですから、張本人である葛西証人を引っ張り出して、証言させることが最大の課題だと思います。
高石 俺たちの裁判は、国労の裁判で判決を書いた難波裁判長が担当しているけど、この前の控訴審の中で「もう解決していると思った」なんて発言したのには頭にきたね。裁判長が言うべき言葉じゃないし、こんな考え方で裁判をやられたらひっくり返されるという危機感を持ってる。だからわれわれとすれば、初審で認めさせた不当労働行為を絶対に逃さずにがっちり掴んで追い詰めていくしかないね。
山本 難波裁判長は、05年の「9・15判決」の中で、名簿に記載しなかったことは不法行為、しかし記載されていたとしても採用されていたとは限らないとか、不採用基準自体は明確で合理的だと言っていたわけ。それに対して6・29判決は、不採用基準自体が明確に不法行為だと言ったんだから、そんなに簡単にひっくり返すことはできないと思う。そういう意味でも葛西証人を絶対に引っ張り出すしかないということです。
● 動労千葉の物販運動や高裁署名運動にすごい反響が出ています。
高石 物資販売運動が始まる前に署名の要請や署名用紙を全国に発送して、その後、各地の労働組合を回ったけど、すでに署名ができてたり、支部から回して分会で取り組んでいるなど、今までと違う動きが出てるんだ。6・29判決というのは、全国運動を広げていくには、ものすごい武器になっていると思ね。
中村仁 年に2回しか行っていない物販だったんだけど、高裁での解雇撤回を求める署名をもって回ることによって、地域とつながることができたと思います。現場によっては、物販はできないけど署名ならできるというところも出ています。各地の支援する会や全国運動ともつながりができて、それが署名という具体的な数として集まっているという点では、本当にこの署名運動は大きいと思います。
山本 署名運動については、呼びかけ人や賛同人が増え続けているので、多いときは週に2回更新しています。全国から来るので申し訳ないけど名前を知らない方が多いですが、これは、ものすごい広範な広がりを持った形で運動が動き出したということですね。いずれにしても2月17日の国鉄集会までには1万を獲得したいということで頑張っているところです。
中村俊 今、社会的問題になっている非正規職が増えたとか、人件費コスト削減や効率化ー外注化など、労働運動全体が分割・民営化以降、徹底的に潰されてきたわけです。こうした中で、動労千葉が25年間、歯を食いしばって頑張ってきて、鉄建公団訴訟もそうだし、外注化も10年以上止めたり、平成採が加入したりそれなりの成果がでているのも確かです。そういう意味で言えば、今回の署名運動は、動労千葉はこういう闘いで頑張っているのかという新しい評価が出てきたのかなと思いますね。
高石 JRの中でも外注化が強行されて、いずれは非正規の労働者を増やそうとしているわけだけど、こういう時だからこそ、1047名闘争は、外注化ー非正規職反対闘争と一体でやることが何よりも重要だと思うね。動労千葉の場合には一貫してやってきたから実感するけど、全国運動もそういう形で広げていかなければいけないと思うんだ。国鉄闘争だけをやっていればいいわけじゃなく色んな闘いとリンクする場を作っていかなければいけないと思うね。
中村仁 動労千葉が、今、何をやっているのかと言えば検修業務外注化やライフサイクル問題だけど、実際には強行されている状況があるじゃないですか。だけど、それに対して絶対反対だと言ってやりきった中での強行と、東労組みたいに賛成して外注化されるのかは、全く違うと思うんだよね。やっぱり闘いの中でこそ労働者は団結することができると確信することが何よりも重要だと思うんですよ。
労働組合が右傾化して、分割・民営化で総評が解体されて連合になっていった歴史があるけど、われわれはただ連合が悪い、悪いと言っているだけではダメだと思うんです。歴史を総括して、労働者の立場に立った労働組合がいかに必要なのかをしっかり言える労働組合を作らなければいけないということですよね。そこから非正規や正規の人が一緒に団結できるんだと思います。
山本 今、世の中では、非正規職化や外注化に対するものすごい怒りが噴出しているわけ。その一番根源的なところの闘いがまだ闘われていて、なおかつひょっとしたら勝つかもしれないという状況を、この動労千葉の裁判で作り出しているというところが、単に国鉄闘争だけじゃない大きな広がりをもち出しているということだと思うんですね。
● 最後に、今年の抱負をお願いします。
中村俊 先の選挙結果を見て、こんな世の中でいいのかとか、なんとかしなくちゃいけないと思っている人がまた増えてきたと思うんです。こういう時代だからこそ動労千葉が労働運動の中で大きな位置をしめていくんじゃないかなというふうに思っています。1年間、頑張りましょう。
中村仁 2月27日に第2回控訴審がありますが、やはり不当労働行為を認めさせ、解雇撤回ー原職復帰に向けて闘いを強めていきたいと思います。
それから動労千葉の組合員一人ひとりがものすごく頑張っているので、組合員の闘いにしっかり応えていけるように頑張っていきたいと思ます。
高石 今年は、裁判を通していかに自分たちの闘いが正義であったのかを知らしめていくことと、1047名闘争をもって全国運動をさらに拡大していくことですね。昔から言うように、数は力だから、増えていかなかったらしょうがない。
しかも、裁判官は、世の中の動きを見ながら判決を出すわけだから、俺たちの運動が大きく広がっていると見れば、それなりの判決が出るんですよ。だから俺はそういう面で言えば、今の状況を打破して、どんどん大きい闘いの渦を作っていくというのが、今年の最大の目標です。
山本 6・29判決から半年が経ちましたが、この半年間でこれだけの運動が展開できるとは、昨年の初めでは考えられなかった。1047名闘争=国鉄闘争を闘えば闘うほど敵のボロがどんどん出てきます。動労千葉が団結を守っている中で、支援する会や国鉄闘争全国運動がどうするのかということが問われるわけです。あらゆる地域・職場から動労千葉とともに闘う支援する会、全国運動の会員を増やしていきたいと思います。
こういう中で2月17日の国鉄集会と6月の全国集会に向かって、具体的に職場から声を上げていくということで、頑張っていく決意です。
● ありがとうございました。
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