「もう一段の飛躍と、組織拡大へ闘おう」
――新年にあたってお話を伺います。昨年の闘いはいかがだったでしょうか?
11月集会には各支部組合員、シニア組合員、OB会、家族会の皆さんが結集していただきました。全国の仲間の力で3千人の結集をかちとりました。6千人を目標として闘ってきましたが、6千人を目指すだけの運動ができたということは重要ではないかと思います。
昨年は5月沖縄闘争、8・6ヒロシマの闘い、9・1練馬駐屯地闘争、10・7イスラエル大使館闘争など、実力で闘う中で大きな自信を持って闘いに臨んできました。その中で学生をはじめ多くの新たな仲間が結集してくれたことは、大きな成果だと考えています。「次」につながる11月集会、昨年の闘いだったと考えています。
私たちは昨年、「6000結集」を本気で目指そうと決断しました。それは、ウクライナやガザをはじめ世界戦争が現実化していく情勢であり、何よりも日本政府が自ら戦争に向かい、労働者の権利や労働条件を徹底的に破壊しようという攻撃とする中で、私たちが絶対に力を持たなければいけないという思いからでした。
昨年はまさに激動の年でした。トランプ再選や欧州での政権崩壊、日本での衆院選と石破政権誕生、何より韓国・ユンソンニョル政権が非常戒厳を強行し、これをわずか6時間で打ち破った韓国労働者階級の闘いです。この闘いの先頭に民主労総の仲間がたっています。「従北反国家勢力を一挙に撲滅する」と宣言されたこの攻撃の核心は、民主労総解体です。日米韓の軍事同盟が、まさに「対中国への侵略戦争同盟」として動き出そうという中で、闘う労働運動を何としても解体しなければならないという攻撃でした。しかし、韓国労働者階級はこれを粉砕して、歴史的な闘いを開始しています。
私たちはこの民主労総との連帯を03年以来築いてきたわけです。それも幹部同士の形式的なものではなく、実際の闘いの連帯を含めたかけがえのない連帯を築いてきました。そうやって連帯してきた仲間が、この非常戒厳との闘いの先頭にたっています。私は昨年も訪韓しましたが、民主労総ソウル本部が新たに移転した事務所にも、中野元委員長の写真が飾ってあるんです。改めて感動しますし、この連帯は伊達じゃないという思いを新たにしました。こうした連帯があるからこそ、「労働者の国際連帯で戦争を止められる」「戦争を止め、社会を変える力がここにある」という訴えにも力が宿ると思います。
だからこそ、民主労総の闘いは私たちに「何をなすべきか」を問うています。私たちは一昨年来、この時代に質、量ともにこれまでとは違う反戦闘争を作り上げようという決意で闘いに立ち上がってきました。また、昨年は11月集会に結集する仲間が40波近いストを職場から組織して、集会にのぼりつめました。ここから、もう一段飛躍して、階級的労働運動を甦らせていく挑戦に全国の仲間とともにうってでたいと思います。
――その中でもJRは日本の資本を代表して攻撃を押し進めています。
昨年1月16日に経団連が「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を発表したことを契機に、戦後労働法制を根本から解体する攻撃が一挙に動き出しました。厚労省は、1月23日に「労働基準関係法制研究会」をたちあげて、12月24日まで16回を開催して報告書が取りまとめられました。
経団連はその目的を、「生産性向上に資する労働法制に見直す」と語っています。「労働条件や権利の維持・向上」「団結権の擁護」が目的であったはずの労働法を、「企業・資本のための労働法」へと根本的に転換させようという攻撃です。
核心は「労使協創協議制」という制度を作って、代表者に「個々の労働者を規律する契約を締結する権限」まで持たせろという、「労組なき社会」化の全社会への拡大です。社友会のような「労働組合もどき」で労働者の権利を守れるはずがありません。また、戦争に反対できるはずもありません。
この攻撃を先導しているのはJR東日本です。攻撃のモデルはJR東の社友会であり、経団連の労働法規委員会委員長はJR東日本前会長の冨田です。前社長である深澤は社友会組織化を「前人未到」と誇っています。私たちの職場であるJRにおける闘いは、こうした攻撃との大きな攻防になっています。
今回発表された報告書では、この問題は「残された課題」となっています。改めて労働基本権をなきものにする攻撃に断固反対を貫いて闘いましょう。職場でも、社友会が経団連の尖兵として動いていることに対して、労働組合としての闘いを訴えていくことだと思います。
――国鉄1047名解雇撤回を巡っても決戦を迎えています。
やはりJRが国鉄分割・民営化から発足したというところに、こうした攻撃を推進する位置にいる理由もあると思います。
国鉄分割・民営化は、戦後最大の労組解体攻撃であり、闘う労働組合を解体することで改憲・戦争国家化を実現しようという攻撃でした。中曽根が「国労を潰して、総評・社会党を解体する」「お座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と語った通りです。
分割・民営化―総評解散によって結成された連合は今、労働者の権利を守るどころか43兆円の大軍拡を事実上容認して後押ししています。結局、連合が組織している大企業、軍需企業、原発企業の側の利益を代表しているわけです。排外主義と愛国主義で、労働者を戦争に動員していく産業報国会への道を進んでいます。
しかしもう一方で、「改憲」のために分割・民営化までやった中曽根は100歳まで生きても改憲を見ることはできませんでした。安倍も岸田も実現できませんでした。私たちが全国の仲間とともに1047名解雇撤回を貫き、国鉄闘争を守りぬいてきたことは、改憲を阻止する決定的な力です。極右・石破政権が登場する中で、この闘いはまさに「今現在の攻防点」です。東京地裁は11月13日の判決日、異常な警備体制を敷いたことも、このことを表しています。
裁判所は「時効」の一点でJR・国を擁護し、この時代に改めて国鉄分割・民営化と国家的不当労働行為、戦後最大の労組解体攻撃を正当化しようとしています。
しかし、判決文は「仮に」と前置きはしていますが、「JRが採用義務を負うことがあるとしても」とまで書いています。私たちが38年に及ぶ闘いで暴き出した真実は、裁判所といえども否定しがたいのです。闘いは「勝利まであと一歩」。戦争阻止と階級的労働運動の復権をかけて新たに開始した高裁署名に全力で取り組み、1047名解雇撤回・JR復帰へ大きな闘いの前進をかちとる1年にしたいと思います。
――3月ダイ改・25春闘に向けてはいかがでしょうか?
3月ダイ改では、鴨川派出の廃止提案は改めて許すことができません。会社は外注化を「雇用の場の確保」といって進めてきました。それを、鴨川駅での入換を2人体制から運転士1人でやらせて、派出は廃止するなど許せません。2人体制で入換を行っていたのは、踏切を止める時間を長くしないためです。それを時間がかかっても1人で良いというのは、廃線化と同じく地域切り捨ての問題でもあります。
また、特急の車掌1人化、首都圏主要路線・長編成でのワンマン拡大など車掌激減の攻撃も開始される重大なダイ改でもあります。
どちらも鉄道を徹底して軽視し、安全を切り捨てる攻撃です。職名廃止、融合化・統括センター化で「鉄道を持つIT企業」になるとして、鉄道業務を徹底して軽視していることの表れです。鉄道で働く労働者の誇りにかけて許すわけにはいきません。
また、久留里線廃線化との闘いも勝負の年になります。JRは廃線方針を打ち出し、君津市もJRともに「廃線前提」で進んでいます。
これは単に久留里線の当該区間を廃線化するというものではなく、内房線・外房線の廃線化につながる攻撃です。また、全国の廃線化の突破口にも位置づけられています。それは国力のすべてを戦争に集中させるという国家改造攻撃です。これに対して、久留里線と地域を守る会など地域の仲間とともに廃線化を断固粉砕する闘いに立ち上がっていきたいと思います。
25春闘は激しい物価高の中で大幅賃上げを獲得する闘いであり、激しい戦争情勢の中での闘いにもなります。こういう中での労働組合としての闘いを展開していきたいと思います。先ごろ自民党の小野寺が「なぜ学生が103万円まで働かなければならないのか」と発信して炎上しました。労働者の4分の1を非正規に突き落とし、権利と雇用を破壊し、学費をここまで上げて、生活を破壊してきたのは一体誰なのか。「失われた30年」を作ったのは誰なのか。自民党と大資本たちが「主犯」です。こういう連中に怒りを叩きつけ、闘いに立ち上がっていくことだと思います。
JRはグループ会社にコスト削減をゴリゴリやらせ、超低賃金を強制して、自分たちが巨額の利益を稼ぐということをやっています。こんな構造をぶっ飛ばす、JR―グループ会社を貫く闘いが必要です。
そして、何より組織拡大決戦としてかちとりたい。昨年は動労総連合に、東京で支部を結成した環境アクセスから、高崎では高崎鉄道サービスから新たな仲間が結集してくれています。今年1月1日、1年のスタートにCTS幕張事業所で新たな仲間が結集してくれました。今年を本格的な組織拡大に向けた年とする出発で、本当に重要な前進をかちとることができました。
JR本体でも、例えば北海道で若年退職が19年からすでに1千人を超え、四国では運転士不足でダイヤを維持できないほどになっています。東日本でも若年退職が急増しています。現時点では怒りが「退職」という形で表れていますが、真剣に闘いに立ち上がるなら、組織拡大を実現できる情勢です。この1年をかけてJR―グループ会社を貫く本格的な組織拡大を実現する、その出発として25春闘を「組織拡大」を掲げて闘い抜きたいと思います。
――戦後80年ということでは政治的な決戦の年でもあります。
「戦後80年」というのは「昭和100年」でもあるそうです。「戦後」といいつつ、戦前・戦中の時代が継続してきている。同時に今の情勢は単純に「継続」ではなく、米日の側から「対中国」で戦争に突き進んでいます。この戦争を絶対に阻止するという場合、日米安保の最大の実体であり、急速な軍事拠点化が進められる中での沖縄闘争は本当に重要です。また、8・6ヒロシマは「被爆80年」の中での闘いであり、改めて決戦的な闘いです。
労働組合は本来、反戦の砦であり、戦争を阻止する闘いは労働運動の本質的な課題です。「台湾有事」を掲げて戦争に突き進む石破政権を打倒しなければなりません。さらなる組合員の決起、闘う仲間の拡大を実現していきましょう。
また、こうした戦争情勢だからこそ、労働組合に対する弾圧も激化しています。とりわけ関生支部への大弾圧と港合同つぶしの攻撃を、全労働者の未来のかかった闘いとして絶対に粉砕することを訴えます。2月26日には関生支部・湯川委員長に対する反動判決が狙われています。断固粉砕に向けて、ともに闘いに立ち上がります。
――この間、シニア組合員制度を確立してきました。
一つは、動労千葉が培ってきたかけがえのない団結を、次の世代にも引き継ぎたいという思いからです。中途退職の激増ということも、闘う労働組合の団結があれば、こんな風にはなりません。そういう意味でも社友会ではなく、労働組合に団結して闘うことが重要です。そういう団結があるから、動労千葉は組合員がシニア組合員としても闘ってくれているわけです。
私たちには動労千葉として闘ってきた誇りがあります。そして、今のJRの状況や春闘をはじめ社会の状況を見ても、動労千葉が果たすべき役割はまだまだ大きなものがあります。反戦闘争の爆発を勝ち取るという点でも、さらなる国際連帯闘争の発展ということでも、シニア組合員の決起は大きな力です。
こうした闘いに立ち上がると同時に、何より本格的な組織拡大の実現へ全力で打って出るための方針でもあります。シニア組合員制度確立と、多くの組合員のシニア組合員への決起の中で、その土台は作られています。
JRの現状を見れば、考えられないような事故の多発です。「これからは価値創造だ」「社員の意識を創造的な仕事へ」など、鉄道を根本からないがしろにすれば、安全が崩壊するのは当然です。首都圏路線のワンマン化では、今回常磐緩行10両という長編成に拡大し、その後の対象には総武緩行線も含まれています。車掌の仲間はどう扱われるのか。運転士にとっては重大な労働強化です。こんなことを進めていけば、さらに重大事故につながります。
やはり会社の攻撃に対する最大の反撃は、動労千葉の組織拡大です。「これでいいのか」という思いは、多くの仲間が持っていると思います。その怒りを本当に結集し、本格的な組織拡大を実現しましょう。すべての組合員の総決起をお願いしたいと思います。