組織拡大闘争に総決起を!
3月ダイ改に向けた闘争体制の確立を
新春インタビュー 田中委員長に聞く(後 編)
■JRでも分割・民営化の矛盾が噴出していますね。
「JR崩壊」と言っても過言ではない。その最大の象徴的事態がJR北海道における安全崩壊であり、JR貨物の経営破たんです。莫大な追加支援で1兆円近い経営安定基金を積んでも経営破たんは止まらず線路を直すことも車両を直すこともできず、社長が2人自殺する北海道の現実。もう鉄道会社の体をなしていない。しかも、来年新幹線が開業したらその借金の返済も始まる。すでに大規模な廃線以外に打つ手がないと考えているふしがあります。30年経っても、民営化が地域社会を全部殺して暴れまわる。
しかも、安全崩壊の深刻な危機は北海道だけの問題ではない。JR全社を蝕んでいる。京浜東北線・川崎駅の脱線転覆事故はそれを明るみにだしました。保安担当、線閉責任者、重機安全指揮者、重機オペレーターなど、鉄道業務の基本的な作業が6社もの関連会社にバラバラにに外注化されていた。事故が起こらない方が不思議です。
貨物会社も、「日航の次はJR貨物だ」というかけ声で、日本郵船から「再建屋」を会長に送り込んだものの、すでにほとんどサジを投げてしまった状態で、ひたすら賃下げと要員削減をやっているだけ。一時金を削り、福利厚生費を削り、今度は諸手当の全面的削減、人事賃金制度や動乗勤改悪が画策されています。しかも、いよいよ大量退職が始まろうとしているのに再び新規採用を停止してしまった。二進も三進もいかない状態です。
さらに、安倍政権が成長戦略の軸にすえ、JRが「第4の柱」とした鉄道パッケージ輸出もほとんど破産しています。何もかもがうまくいってない。
■大量退職問題も国鉄時代に民営化に向けて新規採用を長期間ストップさせたことに端を発する問題ですね。
「57年採用」(1982年)が国鉄時代の最後の採用です。それがゆがんだ年令構成をつくり、この8~9年の間に4割以上が定年退職を迎える。この大量退職問題に突き動かされてJRは大再編攻撃にふみ出しています。大量退職に追いたてられるように、際限のない外注化が進められている。例えば、東京駅の新幹線出改札業務など、中枢的な業務がボンボン丸投げ外注化されている。さし当たり退職者を超低賃金で再雇用し動員する。そして、今後の採用は全部下請け会社にする。その労働条件は生涯3度しか昇給しない「名ばかり正社員」です。
一番恐ろしいことは、安全上の問題など何も検討されないまま外注化が強行され、その場しのぎと無責任が横行していることです。
さらに最悪なのが、大量退職問題を千載一遇のチャンスのように見て、国鉄的なものを一掃する労組破壊に利用しようとしていることです。
JR東日本は、民営化の手先として利用し尽くした東労組革マルすら使い捨てようとしている。革マルは居たたまれなくなって、会社の譲歩を引き出そうと「ストライキ方針」を掲げてみたものの突っぱねられてなす術ない状態だし、日貨労革マルは「汗を流すだけでなく血も流す」と、会社に全面的にへつらうことを選択した。国労本部も全国組織を解散して会社ごとに連合に潜り込むしかないという方向に舵を切ろうとして大混乱している。東日本ではJR連合の組織まで消滅してしまった。
闘わなければまさに「去るも地獄、残るも地獄」の現実がのしかかる。そうした意味でも2015年は国鉄闘争の正念場です。
■3月ダイ改が当面する闘いの焦点ですね。
ダイ改での特急列車廃止・削減だけでなく、秋には千葉運転区廃止・運輸区化が画策されています。3月ダイ改から3年くらいかけて大規模な再編攻撃が画策されている。すでに本社は「ハンドル率をあげろ」「列車キロに対し行路・要員数が多すぎる」と、各支社に徹底的な労働強化を命じている。「本線運転士が担当する入出区は全部委託する」という話まで出ています。ローカル線切り捨ても特急列車だけで終わらないことは明らかで、「東京から70~80㎞以遠の運行は切り離す」というこの間進められている構想も本格的に動きだそうとしています。 さらに、千葉支社では昨年秋にも9駅の丸投げ外注化が強行されました。外注化攻撃もこれまでとは全く次元の違う段階に入っています。こんなことを許したら権利や労働条件、安全は間違いなく地に堕ちる。生み出されるのはまさに地獄のような職場です。
でも、地域の総反乱が起きているように、あらゆるところから矛盾が爆発することも間違いない。職場に闘う労働組合が絶対的に必要な情勢です。労働運動復権のチャンスでもある。当面、3月ダイ改に向けて全力で闘争体制を確立しなければなりません。
■職場に闘う労働組合を甦らせるチャンスだと言われましたが、そのその点についてもう少しきかせて下さい。
韓国での理念交流集会でも議論になったんですが、「階級的労働運動とは何か」という原点を今こそ考えなければいけない。その答えは、自らの闘いの中に全部あるように思います。
何よりも、われわれは日本の労働運動がトラウマのように繰り返してきた「闘えば分裂する」という歴史をのり越えられることを示しました。資本と労働者は非和解的関係です。だけどそれは、例え国家権力が全力で襲いかかってきても打ち砕かれない団結をつくることは可能だと示せなければ簡単には言えないことです。動労千葉の30年余にわたる闘いはそれを示しました。
第2に、資本の攻撃に対し、労働組合は常に受動的な力関係でしかないという「常識」をひっくり返しました。それはとくに反合理化闘争において顕著でした。日本の労働運動には反合闘争を攻勢的に展開できた例がほとんどない。だから、労働者こそ社会の主人公であり、変革の主体だと実感できる階級的団結が生まれようがなかった。われわれはそれをのり越える闘いを実現した。その基礎を作ったのが反合・運転保安闘争路線です。
第3に、15年に及ぶ外注化との闘いの中で、非正規職に突き落とされた結果に対してだけでなく、非正規化されていく過程に非妥協的に闘いを挑み続ける新自由主義攻撃下での新たな闘いのあり方を生み出しました。
第4に、個別の要求だけでなく「労働組合はいかにあるべきか」ということ自体が労働者にとって何よりも大切なことであり、強い団結をつくる課題だという運動のあり方を確立したことです。そういう闘いの中でこそ時代認識や政治闘争が自らの問題になったのです。それは分離・独立の過程から今日まで貫かれています。
第5に、これまでに前例のない階級的な労働者の生きた国際連帯運動をつくりだしました。それも国鉄分割・民営化攻撃と対決して団結を守りぬいていることへの信頼が土台となって形成されたものです。
こうした闘いの路線は、世界中で新自由主義攻撃が崩壊しはじめた今こそ必要とされるものです。それは、本格的な組織拡大が実現できたとき必ず全労働者を獲得する力をもちます。
■やはり組織拡大の実現こそ2015年の最大の課題ですね。
現場の必死の努力で動労千葉に加入してくれる仲間が毎年途切れることなく続いていますが、今年は何としてももうひとつ壁を破りたいですね。
この1年間の闘いは、何よりも激しい組織破壊攻撃との攻防戦になると考えています。分割・民営化以来の組織破壊攻撃が画策されている。それを打ち破って逆に組織拡大を実現する。できると思います。職場は間違いなく矛盾の固まりみたいになるからです。職場だけじゃない。労働者が置かれた現実、社会全体が沸騰点に近づいている。
JRの労働者の意識も絶対変わってくる。千葉ではCTSから3人の仲間が結集してくれた。間違いなく動き出しています。
外注先のCTSでは、普通に生活することすらできない超低賃金と苛酷な労働条件が強制されています。その一方でJRから天下ってきた幹部たちは1千万円からの高給を手にしている。JR―CTSを貫く職場闘争を全力で強化し、組織拡大を実現したい。そうすれば外注化も粉砕できます。
われわれが組織拡大という一番困難な課題を成功させることができれば、これまでの労働運動の限界をほぼ全部のり越えたと言えるんじゃないか。そのくらい大きな挑戦だと考えています。そして、動労総連合を全国につくりあげたい。
■最後に当面する課題について聞かせて下さい。
戦後70年という歴史の分岐点です。戦争と民営化を絶対に許さない。安倍政権を打倒する。そのために全力をふり絞って労働運動を甦らせる。これが全ての基礎です。その上でいくつかの課題について述べたい。
第1に、1047名解雇撤回、最高裁勝利判決獲得の闘いへの総決起をあらためて全国に呼びかけたい。
不当解雇から28年の2月15日に集会を開催しますが、そこまでに10万筆の署名を集めきって、さらに最高裁を追いつめる。 さらには、韓国の鉄道労組との交流をもっと深め、民営化・労組破壊、新自由主義攻撃を粉砕する国際的な戦線もつくりあげて、国鉄闘争の本格的な発展をかちとりたいと考えています。
第2の課題は、外注化粉砕闘争の前進をかちとることです。
その最大の力は組織拡大の実現です。今年は強制出向から3年目を迎える。ものすごい勢いで外注化が拡大されようとしている。それが雇用と安全を破壊して暴走する。裁判闘争もついに委託契約書を出させるなど重要局面です。不払い残業代請求の闘いなどCTSでの新たな闘いも始まっています。あらためて外注化粉砕闘争を全ての闘いの焦点におし上げるときです。
第3の課題は、大量退職問題を逆手にとった組織破壊攻撃を粉砕し、65歳まで働ける職場・労働条件を確立するために全力で闘いぬくことです。
われわれは、外注化を直ちに中止して定年延長を実施するようを求める。40年以上鉄道で働いてきた仲間を使い捨てるようなやり方、外注化推進の道具にしていくようなやり方を許さない。とくに本線運転士の高齢者対策はもはや一刻の猶予もならない切実な問題だ。
3月ダイ改、千葉転統廃合攻撃に対してストライキを含む闘争体制を確立します。ローカル線廃止には地域の総反乱をつくり出したい。それは、労働運動再生に向けた不可欠の要素をなす闘いです。基地統廃合攻撃に対しては、組織破壊攻撃を粉砕するために絶対反対の立場で臨みます。
第4の課題は、貨物の賃下げ攻撃を粉砕するために全力で立ち上がることです。賃下げの手先・日貨労を許さない。分割・民営化体制を粉砕する決意で臨みます。貨物会社は、55歳で賃金が7割に削減される制度を放置し続けるだけでなく、扶養手当や乗務手当まで削減し、賃金制度や乗務員勤務制度も変えようとしている。一方、職場は年休が一ヵ月一つも入らない現状です。我慢も限界だ。全力で15春闘に立ち上がります。
第5の課題は、戦争・改憲、原発再稼働に突き進む安倍政権を打倒するために全力で闘いぬくことです。
水戸の仲間たちが職場からのストライキをもって先頭に立っています。福島がおかれた現実は今年ますます非和解的になる。仮設住宅など劣悪な現実の中で「関連死」がすでに3000人を越えています。子供たちが次々に甲状腺ガンになっている。原発推進・原発輸出に延命をかける安倍政権は、全てをなかったことにするために原発間近まで帰還を強制する。「3・11」4周年が大きな転期になろうとしています。
さらに、5~6月が「安保国会」「戦争国会」になる。声をあげては収束してきた怒りはどこかで大爆発する。これまでの延長線上ではない事態が間違いなく起きる。起こさなければならないですね。東アジア・朝鮮半島をめぐる戦争の危機がいつ爆発するかもしれない情勢です。第三次安保闘争をつくり出さなければならない。戦争を止めるために労働者の国際連帯闘争が決定的な意味をもつ時代です。
あらためて訴えます。全組合員が組織拡大闘争にたち上がろう。組織拡大で階級的労働運動を甦らせよう。動労総連合を全国につくりあげよう。