(①から続く)
攻撃の核心は分社化・転籍
今JRが進めている攻撃の核心は、鉄道業務すべてを分社化することにある。JRは「外部化」「水平分業」と称している。JR本体はホールディングス(持株会社)化して、ごく一部の経営戦略や企画・管理に携わる部門だけにしようというのだ。現場で働く者に転籍を強制する攻撃だ。
実際、『変革2027』が示す将来像の中には現業機関は存在しない。駅も、運輸区も全く無いのだ。あるのは新幹線関係区ぐらいだ。分社化攻撃の本質は何なのか? 労働者のさらなる低賃金化、無権利化、非正規職(名ばかり正社員)化に他ならない。
NTTは民営化後900もの子会社に分割された。労働者は「あなたの仕事は子会社にしかない」と選択の余地がない状態に追い込まれ、3割もの賃下げを伴う転籍の承諾書にサインさせられていった。こうした攻撃を経て民営化は「完成」したのだ。
「人ならではの仕事」?
JRは「人ならではの仕事にシフトする」というが、その本当の正体がこれだ。要するに、「鉄道の現場業務など何の価値もない」「鉄道業務は“利益を圧迫するリスク”」かのようにみなし、駅に集まる人を相手にどれだけ儲けられるかだけを「価値創造的な仕事」としているのだ。そして、運転士や車掌、検修、駅、施設等で働く労働者を下請け、孫請けに突き落としていく。本当に歪みきった発想だ。
鉄道の現場業務はIT化で無くすことなどできないものだ。ドライバレスなどと言っても、莫大な投資をして徹底的に管理されたごく一部の線区で「可能」なだけだ。安全の根幹をなす様々な分野のメンテナンスも、下請け会社に丸投げしているだけで、必要なくなることなどあり得ない。結局、IT化を労働者を攻撃する口実に使い、安全等に関する自らの責任をいっさい放棄してすべての犠牲をJR―グループ会社の労働者に転嫁しているだけのことだ。
JR東が「みどりの窓口を7割廃止」と発表したことも、その重大な攻撃だ。深澤社長は「駅は切符を売る場所ではない。ビジネスをどう作るかだ」とまでいう。駅業務を徹底してさげすみ、要員を削減して、分社化・転籍に突き進もうとしているのだ。
分社化・転籍攻撃は止められる
分社化・転籍攻撃は止められる。動労千葉は20年以上、検修・構内外注化攻撃と闘い続けている。外注化攻撃は1999年に始まり2001年に実行に移された。その時点の会社と東労組の確認では「7~8年で最終段階までもっていく」とされていた。
しかし、「7~8年」どころか、千葉支社では2012年まで外注化に全く手をつけさせなかった。12年には強行されたが、われわれはその後も全力を尽くして闘いを継続した。そして、12年当時の会社の主張=「10年でCTSだけで業務を遂行できる体制を確立する」を粉砕した。
9年目に入った今、外注化体制は完全に破たんし、まともに業務を行うこともできなくなっている。団交でもJRやCTSはそのことを認めざるをえず、「JRに戻すこともあり得る」とまで言わざるを得なくなっているのだ。
8年間でCTSが採用した検修・構内のプロパー社員は58名。しかし、その内19名がこの職場に展望を見いだすことができなくて退職している。〝何年働いても20万円にいくかいかないか〟という超低賃金だというだけではない。経営幹部はJRから天下ってきた者ばかりで、そうした者たちが仕事もしないで高給をとっている構造そのものに嫌気がさすのだ。そして別会社に合格すれば退職。こうしたことが日常化してしまっている。
結局、毎月何十日という“休日勤務”で辛うじて業務を維持するという事態に行き着いた。しかも、その仕事を回しているのは未だ約100名にのぼるJRからの出向者だ。これが20年目の外注化攻撃が行き着いた現実だ。
外注化阻止闘争の再構築を!
外注化攻撃は新自由主義政策の核心をなす攻撃だ。外注化攻撃によって2千万人の労働者が非正規職に突き落とされた。
“子供たち、孫たちの世代に非正規職だけの社会を渡すわけにはいかない”――動労千葉はそういう思いで闘い続けてきた。そして、20年がかりで外注化を破たんに追い込んだ。その闘いは外注先のCTSで働く仲間たちの圧倒的な支持を獲得するところまで発展した。この闘いをさらに進めることができれば分社化・転籍攻撃を止めることができる。その闘いは、外注化のみならずJR東が進める国鉄分割・民営化型の大攻撃―「労組なき社会」を作ろうとする攻撃全体に対する新たな挑戦、新たな時代の反合・運転保安闘争でもある。
われわれはこうした到達点にふまえ、2月定期委員会で「外注化阻止闘争の再構築」という方針を掲げて新たな一歩を踏み出すことを決断した。われわれはいよいよ新たな闘いに突入する。JRは検修・構内業務を再直営化しろ! CTSプロパー社員は無条件でJR社員に転換しろ! 鉄道現業の分社化・転籍攻撃を直ちに中止しろ!
すべての仲間に訴える。ともに闘おう。進む道は困難でも自らの権利・未来は自ら手で作りあげよう。労働者こそ社会の主人公だ。労働者にはその力がある。団結さえ崩さなければ展望は必ず開かれる!