幕張車両センター構内で割り出し事故
外注化による安全崩壊だ!
鉄道は外注化してはいけない
鉄道の業務は本来外注化などしてはならないものだ。一度事故を起こせば、多くの乗客の生命を奪うことになるからだ。尼崎事故では107名もの生命が奪われ、その賠償や責任問題は今も全く解決していない。羽越線事後では5名の乗客の生命が奪われた。そのことを忘れてはいけない。
車両の検査や運転、保線・電力・信号通信等のメンテナンスは綿々と技術が継承され、蓄積されてきた鉄道会社の根幹をなす業務だ。「コスト削減」「カネ儲け」のためだけに、それを全部放り出すなど絶対にやってはならないことだ。JR北海道の現実をよく見る必要がある。「利潤追求」には限度というものがない。ついに行き着いたのは、時給750円の何の経験もない労働者に車両の検査・修繕や線路の保守をやらせるという現実だった。そして安全は全部崩壊した。
誰も責任をとれない!
幕張車両センターでは、昨年10月、仕業検査、派出検査、構内運転業務の外注化が強行された。本来、全部が深く関連している鉄道の業務がCTSとJRに分断された。働いている者も半分が強制出向に出された。どんな委託契約に基づいて働かされているのかも、直営と外注の区分もはっきりしない。会社が別々になったため、トータルに責任をもつ管理者は誰もいなくなった。確かに、別な会社の業務に口を出したり、指示したりはできないのだ。結局、職場にまん延したのはとんでもない無責任体制であった。今はJR側も、CTS出向者も現場はみんなベテランだ。だが、このままいけば必ず多くの乗客の命を奪う事故が起きる。だから外注化は絶対認めてはいけないのだ。
構内で事故が起きた!
それは現実のものになりはじめている。10月8日、幕張車両センターで、保守用車がポイントを割り出す事故が起きた。これは外注化によってひき起こされた事故だ(詳細は別途)。当日構内では、南引上げ線にある列車洗浄機の検査があり、同時刻にそのすぐ脇の線路を使う保守用車の作業があった。保守用車は、洗浄機検査で作業員が出ていることを報せる赤色灯を見てポイントを跨いだ位置に停止。信号所がその状況を把握しないままポイントを転換したために起きた事故だ。
作業はいずれもJRが発注したものだが、保守用車は「東鉄工業」、洗浄機検査は「メカトロ」、信号所は「CTS」とバラバラに外注化されている。JRとそれぞれの会社間には委託契約関係があるが、外注会社同士は全く関係がないため、お互いに連絡をとり合うことはできない。さらにJRも、それぞれの外注会社の責任者に作業を発注することはできるが、現場作業員に直接指示することは法的に禁止されている。
つまり、密接に関係するひとつの作業をしているのに、外注化によってその作業は4つの会社にバラバラに分断されていて、現場には、全体に責任をもっている者は誰もいない。責任をもつべきJRは、現場とは関係ない机の前に座っているだけ。 これが外注化によってもたらされた現実だ。
共に運転保安確立の闘いを
この事故の対策についてJRは、「連絡の徹底」の一言で済ますかもしれない。しかし、この事故は明らかに外注化の必然的な結果だ。どんなきれい事を言おうが、外注化は鉄道の安全を確実に蝕む。「安全は輸送業務の最大の使命」だったはずだ。「安全の崩壊」はJR北海道だけの問題ではない。JR東日本でも外注化とコスト削減の結果、事故率は私鉄15社合計の8.9倍(11年)に及んでいる。
しかも、結局事故が起きれば、その責任は全部ミスした労働者に負わせられる。だが、ミスが起きるような職場の現実を生み出したのはJRであり、外注化だ。鉄道は、本来一元的で厳格な指揮命令系統がなければ安全を保てるはずのない業務だ。外注化に対し、共に闘いに立ち上がろう。