JR東日本は12月23日、来年3月12日のダイ改でCTS幕張事業所銚子派出への仕業検査と入出区業務、同鴨川派出への仕業検査の業務発注廃止の提案を行ってきた。これを受けてCTSは12月24日、銚子派出の廃止と、鴨川派出の体制見直し(1徹1日勤→1徹に要員削減)を提案してきた。断じて許すことはできない。
なぜ、いきなり「廃止」なのか?!
仕業検査はなくなっても他の業務はすべて残る
JRとCTSは「仕業検査周期の延伸(6日→9日)により、銚子と鴨川での仕業検査がなくなる」と理由を説明しているが、入出区にともなう入換、出区点検など他の仕事はすべて残る。なのになぜ、銚子派出はいきなり「廃止」なのか。
何よりも検査派出は、車両故障や大きな輸送障害が発生したときに真っ先にかけつけ、列車の運行を支えてきた安全運行の拠点だ。「定例的な業務があれば残す。なければなくして良い」というものではない。安全のために維持すべきものだ。
とりわけ銚子駅は始発駅でもあり電留線もある以上、検査派出があり車両検査係が常駐して当然なのだ。
JRは「入出区や出区点検は本線乗務員で対応可能」(銚子運輸区、佐倉運輸区の行路に組みこむ)と言っている。これ自身が運転士へのこれまで以上の負担増・労働強化になる。また、出区点検中に車両不具合が発生したらいったいどうするのか。
提案時の説明でCTSは「大きな輸送障害が発生した場合にはJRとCTSで協議した上で、千葉派出、幕張車両センターの本区から行くことになる」と説明しているが、検査・保守体制が一気に弱体化することは明らかだ。昨年5月に安房鴨川駅付近で発生した脱線事故でも、まっさきに駆けつけたのは鴨川派出の仲間だ。
安全と地方を切り捨てるな
安全よりもコスト削減を優先する検査派出の廃止・縮小を絶対に許すことはできない。JRとCTSは「検査派出の廃止・縮小」提案を白紙撤回しろ!
JR東日本は、コロナ禍の大赤字を絶好の口実として、運輸区と駅の「融合化」、統括センターの設置など、すさまじい勢いで合理化を進めている。すべてにコスト削減が優先され、まっさきに列車の安全運行が切り捨てられようとしている。
鉄道会社であるJRにとって、車両の検査・修繕は基本中の基本業務ではないのか。209系や255系での車両故障が日常的に頻発している中で、銚子・鴨川という地域の拠点駅で検査派出を廃止・縮小するのは暴挙としか言いようがない。
来春ダイ改での「過去最大の列車削減」、ワンマン運転拡大とあわせてみるならば、銚子派出・鴨川派出の廃止・縮小は、地方ローカル線の切り捨てそのものでもある。
外注化の破たんだ!
銚子と鴨川の検査派出はCTSに業務外注化されて以来、主に出向したエルダー社員が担ってきた。JRは、派出検査を含む検修業務の外注化を強行するとき「これからは委託先のCTSで車両検修のプロパーを養成する」と言った。だが、あまりの低賃金と将来展望のなさからプロパー社員の退職が続き、いまだにCTS独自で委託業務を遂行するにはほど遠いのが現実だ。
各所の検査派出では、出向の目的であったはずのプロパー社員への「技術継承」どころか、ほぼエルダー出向者のみで検査や入換業務を行ってきた。エルダー出向者が65歳の大量退職期を迎える中、本区から送り込む要員のメドも立っていない。これは、業務外注化の破たんそのものだ。
〝要員補充のメドが立たないなら潰してしまえ〟と派出の廃止・縮小を提案したJR・CTSの姿勢は断じて許すことはできない。JRとCTSは廃止・縮小提案を白紙撤回しろ!