安倍「働き方改革」8法案粉砕!
10・10出向裁判反動判決を打ち破り闘いぬこう
10月10日に出された出向無効裁判の東京地裁判決は、安倍「働き方改革」を合法化するための徹頭徹尾政治的な判決だ。「働き方改革8法案」として提出されようとしているのは労働法制の最後的解体、正社員ゼロ、総非正規職化と解雇自由化の攻撃だ。
雇用対策法から「雇用破壊法」へ
その主な内容は、①雇用対策法の抜本的な変更、②残業代ゼロ+残業時間100時間合法化、③裁量労働制の拡大、④「同一労働同一賃金」だ。
とりわけ雇用対策法の変更は重大だ。雇用対策法は勤労権に基づく雇用保障や失業対策を定めたもので「労働者の雇用を守る」ことを一応の目的にしている。しかしその名称を「労働施策総合推進法」と変更し、目的も「多様な事情に応じた就業」「労働生産性の向上」へと真逆のものにしようというのだ。
「多様な就業形態の普及」で挙げられているのは、「雇用関係によらない働き方」だ。労働者を「個人請負事業主」にすることで、労基法も最低賃金も適用されなくする。雇用対策法から「雇用破壊法」への転換であり、戦後の雇用政策の大転換攻撃だ。
労働者をさらなる過労地獄に
残業代ゼロ法案では、〈業務に従事した時間と成果との関連性が高くないと厚生労働省令で定める業務〉について、労基法の労働時間、休憩、休日、深夜の割増賃金の規程を適用しないというものだ。「朝までにこの仕事を仕上げろ」「深夜のネット国際会議に参加しろ」と指示しても深夜割増も残業代も必要ないということだ。
残業時間の上限規制は、その名前とは裏腹に三六協定制度をさらに無意味化し、過労死ラインの80時間を超える100時間の残業も「法律の範囲内」と合法化するものだ。
裁量労働制の拡大は、さらに危険だとも言われている。新たに法人向け営業のほぼすべてが含まれるようになり、過労自殺が起きた電通の労働者の3分の1が対象となるとも言われている。「事業運営に関する事項の実施管理業務」といった定義が曖昧なものを導入し、「名ばかり管理職」「定額固定残業制の悪用」を軒並み合法化することまで狙われている。
電通で過労自殺に追い込まれた髙橋まつりさんの裁判で、電通に課せられた罰金はわずか50万円だ。これほどまでに労働者の命が軽く扱われていいはずがない! 過労死が続出し、長時間労働と低賃金に膨大な労働者とその家族が苦しめられているのだ。
それにも関わらず、8時間労働制を解体し、労働者をさらに過労死地獄に突き落とす。人の道を外れた絶対に許すことのできない攻撃だ。
「同一労働同一賃金」で雇用破壊
安倍政権はこの究極の雇用破壊攻撃を「同一労働同一賃金」「この国から非正規という言葉をなくす」「多様で柔軟な働き方」という美辞麗句をもって進めようとしている。
18年4月から「5年で無期転換」の制度が開始する。その前に、雇い止めや労働者の選別を行おうという卑劣な攻撃が吹き荒れている。その対象は約450万人と言われている。選別をくぐり抜けても賃金や労働条件は最低賃金ギリギリのままの「名ばかり正社員」が膨大に生み出されようとしているのだ。派遣労働者も来年9月以降、3年ごとに派遣切りされ、派遣先を転々とする状況が生み出されようとしている。
そして、「賃金制度の決まり方が複雑」「職務や能力等の明確化とそれとの賃金・待遇との関係をはっきりさせることが必要」「年功ではなく能力で評価する人事システムを導入する企業に支援する」といい、同一労働同一賃金を口実に賃金制度の抜本的改悪まで狙っている。
同一労働同一賃金とは、総非正規職化、解雇自由化、就業規則に書けば解雇も何でも自由という就業規則万能化、これら三位一体で雇用を徹底的に破壊していく恐るべき攻撃なのだ。
外注化粉砕へ全力で闘おう
この雇用破壊の攻撃を完成させる上で、外注化との闘いは決定的な位置がある。
「多様な就業形態」の名の下に行われる個人請負の拡大は、まさに究極の外注化攻撃だ。そこでは必然的に偽装請負にならざるをえない。全労働者を非正規職に叩き落としていく際に用いられるのも外注化だ。その中で安倍「働き方改革」を進めるためには、10・10東京地裁判決でどんなに矛盾だらけでも「偽装請負でも外注化は合法」と言わなければならなかったのだ。
われわれがクビをかけてまで外注化に反対して闘ってきたことが、敵をギリギリまで追い込んできた。安倍政権もJRも、ここを乗り越えなければ一歩も前に進めない状態だったのだ。
だからこそ、第3の分割・民営化攻撃としてかけられている全面外注化・分社化と転籍強制攻撃に全力で反撃にたちあがろう。10・10判決を打ち破り、外注化粉砕まで闘いぬこう。