第2ラウンドの火蓋きる!
13春闘勝利、外注化粉砕、久留里線ワンマン化阻止のストライキご苦労様でした。外注化強行から丁度半年。外注化強行への怒りと悔しさをバネに、矛盾だらけの職場の現実を突いて新たな闘いが始まった。
外注化との13年間の闘いは、民営化・外注化・非正規職化攻撃に真正面から挑む歴史的な闘いであった。これまでの労働運動の歴史の中でもほとんど前例のない闘いであったと言っても過言ではない。そしてそれは、検修・構内のみならず、JR東日本全体の外注化政策を揺るがす大きな地平を切り開いた。
外注化は雇用と安全を破戒する攻撃だ。《雇用と安全》はどんなことがあろうと譲ってはならない問題だ。われわれは外注化攻撃を粉砕してJRに戻るまで絶対に闘いの旗を降ろさない。外注化・非正規職化攻撃に立ち向かうことができず後退を続けた労働運動の現状を絶対に変えなければいけない。闘いはこれからだ。10月計画業務外注化阻止、外注化のさらなる拡大を許すな! 新たな時代の反合・運転保安闘争をつくりあげよう。
これは業務委託ですらない!
そもそも、今回の外注化攻撃は「業務委託」とすら言えないものだ。当然のことだが、本来業務委託とは、特定の分野について専門的な知識や技術をもつ会社にその業務を委託することだ。だが、CTSは検修・構内業務についての専門的な技術や経験を全く持っていない。もっぱら電車や駅の掃除をやっている会社だ。もちろん検修・構内業務を処理するための機械、設備、器材など持っているはずもなく、全部JRのものを使っている。請負った業務はJRから独立して処理されているものなど何ひとつない。管理者も含めそこで働いている人間ごと業務をJRからCTSに横滑りさせただけで、業務委託というより、法的手続きを踏まないまま分社化してしまったに等しい違法行為だ。個別的に偽装請負に当たる実態があるというレベルの問題ではなく、委託できる条件など全く無い状態の中で「業務委託」をデッチあげたのが今回の攻撃だ。
解決不能の矛盾 を抱えたJR
それだけではない。動労千葉が抵抗し続けたことによって、JRは解決のつかない矛盾を抱えている。
そもそも今回の外注化攻撃は、「構内入換」「仕業検査」「派出検査」等の業務単位で委託するというのが提案内容であった。だが、実際は違っていた。どの業務を委託するのかが、毎朝JRから出される「発注書」によって決まるのだ。つまり、何が直営業務で、何が外注業務かも不明確で日々決まるというのである。
一体これは何なのか? 動労千葉のスト破り対策のために、包括的な基本契約があって、具体的には日々発注する業務を決めるという方法がとられたというのだ。動労千葉がCTSでストライキに入った時に、「今日はその業務は発注しなかった」という理由で、委託したはずの業務にJRがスト破り要員を送り込むことができるようにしたのである。実際、昨年10月1日~5日のスト時にこうしたやり方がとられた。今春闘ストでも一宮派出、鴨川派出にJRがスト破り要員を送り込んでいる。やっていることがあまりにもメチャクチャだ。これは明白な不当労働行為であり偽装請負に他ならない。
全部JRが指示している!
さらに、実際は全部JRが外注会社の労働者に指示している現実がある。
厚生労働省は、請負業務が適正に行なわれているか否かについて、次のような指針をだしている。まずこれをよく読んでほしい。
Q 発注者が直接請負労働者に指示を行なわないのですが、発注者が作成した作業指示書を請負事業主に渡してそのとおりに作業を行なわせてもいいですか。
A 適切な請負と判断されるためには、業務の遂行に関する指示その他の管理を請負事業主が自ら行なっていること、請け負った業務を自己の業務として相手方から独立して処理することなどが必要です・・・
発注者が作業の内容、順序、方法等に関して文書等で詳細に示し、そのとおりに請負事業主が作業を行なっている場合も、発注者による指示その他の管理を行なわせていると判断され、偽装請負と判断されることになります。
JR―CTSの間で行なわれていることは、まさにここで指摘されているとおりのことだ。JRは、日々発行する「構内作業・車両清掃発注書」「指示書兼発注書」によって、作業の内容、順序、方法等に関して詳細に示し、CTSにそのとおりに作業を行なわせている。そればかりではない。CTSとJRの間で取り交わされた「個別仕様書」では、JRの規程類(運転取扱実施基準等)に則って作業をすることを定めたと言う。つまり、全ての作業について、「内容、順序、方法等」を文字通り詳細にJRが示し、そのとおりに業務を処理させているのだ。まさに、絵に書いたような偽装請負だ。
全てが誤魔化しに満ちている
しかも、鉄道の運行は、指揮命令系統が厳格かつ一元的に管理されていなければ安全を保つことのできない業務だ。JRの指揮命令系統から独立してCTSが構内運転や検修業務を行なうことなど不可能なことだ。それを誤魔化して「偽装請負ではない」という形を整えるために、JRは、業務指示を「作業発注」と「情報提供」に区分けし、「情報提供についてはJRが直接CTSの労働者に伝達しても構わない」というペテンを使うことを「発明」した。そして、規程の条文で「通告」「指示」と明記されていることも含め、日常的な業務指示のほとんど全てを「指示ではなく情報提供であり情報伝達だ」としてしまったのである。
さらに、厚生労働省の指針では、発注者が請負会社の労働者に技術指導を行なうこともできないと明記されているが、JRがCTSの労働者を集めて平然と教育訓練を行なっている。CTSの管理者すら出ていず、JRがCTSの労働者の点呼までやっているのだ。まさに偽装請負だ。
すべてが誤魔化しに満ちている。こんなことをしていたら間違いなく重大事故が起きる。新たな闘いの火蓋は切られた。職場は矛盾だらけだ。われわれは外注化を粉砕するまで全力で闘い続ける。