外注化によって、列車が事故を起こした場合でもまともに対応できないJR東日本の実態

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千葉派出から80km先の事故も対応?
外注化の弊害ー臨検対応が集中する千葉派出

七月九日、内房線・安房勝山~岩井間で発生した事故対応について、申第29号に関する団体交渉が行われた。
浮き彫りになったことは、派出検査の外注化が強行された結果、JR本体が直接指示が出来る千葉派出に、臨時検査対応が集中する矛盾と弊害であった。

千葉派出の守備範囲は、一体どこまでなのか?
組合 内房線・安房勝山~岩井間で発生した猪との衝撃による故障対応について、なぜ千葉派出への出動要請となったのか?派出範囲について把握している中身を出してほしい。時系列からの説明を求める。
会社 当日は千葉派出の方には大変な御苦労をいただきありがとうございました。5月13日(火)、保田~勝山間69K900mの踏切近くで、21時54分に発生、22時47分に運転士が自力運転可能か点検中、23時12分自力運転困難の報告を受けた。それにより派出要請を判断した。
組合 事故発生から千葉派出への出動要請まで一時間半程度ある。なぜ千葉派出への要請となったのか?
会社 指令から連絡あり、幕張車両C当直、CTS副所長との間で、鴨川派出、木更津派出を含めて検討をし、千葉派出への要請となった。
組合 一時間半の間、どのような検討をしたのか?
会社 幕張本区、千葉派出、鴨川派出、木更津派出について出動が可能かを検討した。鴨川派出の場合、5271Mの入換作業が23時00分にあること、木更津派出はDCが主体であり徹夜勤務者が一名で22時45分から休憩に入ること、幕張本区よりも速いことから千葉派出に出動を要請した。

内房線は、鴨川派出で対応するという確認だった!
組合 館山派出廃止の際に、内房線(館山周辺)での故障対応については、鴨川派出で対応するということであった。作業の中身の変更?例えば乗務員担当として出動要請は考えられたのか?また入換作業の終了は何時なのか?
会社 乗務員の予備を入換作業に使うことはあるが、当日予備はいなかった。鴨川派出の入換作業の終了は23時25分となっている。当直という話しも出たが資格がなかった。
組合 千葉派出から現地まで60分では行かない。契約しているタクシー会社の手配に5分以上、インターまで15分はかかる。運転手の人も現地場所に詳しくないことからカーナビ頼みとなる。鴨川からは現地まで30分程度だと聞いた。周辺地域の人なら地理的にも詳しいのではないか。
会社 鴨川派出からは、概ね、50分とみている。
組合 千葉派出の担当範囲として、この間、成田、成東、大網などには出動している。今回は80Km以上も距離がある。これは千葉から銚子まで行ってしまう距離だ。今後もありうるのか?
会社 近辺から行くのがベストだが、作業体制など検討によってはありうる。
組合 雪害の時など、巖根寮在住者や木更津周辺在住者の非常呼び出しで対応したことがあるが、それは検討したのか?
会社 幕張車両C本区、千葉派出、鴨川派出、木更津派出での検討と聞いている。
組合 千葉派出の担当区域=守備範囲をどう考えているのか?
会社 範囲は体制を見てから判断することになるため、一概には言えない。
組合 千葉駅では、23時30分以降、発着する列車が23本ある。千葉派出のC・D担当二名の出動により臨検対応がいなくなった。何かあればどうしたのか?
会社 臨時検査が発生した際には、休憩中の千葉派出A・B担当に依頼することとしていた。
組合 近場にある、各拠点の派出を優先するようにしてもらいたい。派出検査体制についてどう考えているのか?
会社 現在は、同じ体制でやっていく考えだが、輸送体系の変更によっては検討の対象となる。
組合 千葉派出では、輸送混乱時など、千葉駅でブレーキ試験、動力看視を指令より依頼されることがある。以前は入換作業を行っていたが現在はやっていない。全ての人が出来るものではない。また動力看視はハンドルなど資格が必要だが、持っている人がいないため、出来る状況にはない。
会社 出来る状況にないことを運用指令に伝えることとする。
組合 車両点検において、指令の指示がバラバラだ。「ホーム上からの点検」、「ホーム下で点検」、「抑止手配」、「線路閉鎖」と、人によって、いろいろ言われている。現場の作業員は混乱するばかりだ。
会社 指令の指示が、指令によって違うということのないようにしていきたい。

外注化によって、列車が事故を起こした場合でもまともに対応できないJR東日本の実態が改めて浮き彫りになった。
外注化絶対反対!仕事と出向者を全員JRに戻せ!

事故当日の経過について

★発生 5月13日(火)内房線1139M
保田~安房勝山間69K900m付近
21:54 猪と衝撃→車体下部へ巻き込まれる。
床下より漏気音
22:00 指令に乗客50~60名程度の連絡
22:04 自宅から蘇我駅社員が現地に到着
22:39 館山駅社員に現地派遣の指示
*衝撃した猪が見当たらないこと、救済手配等を依頼)
22:47 運転士-自力運転可能か確認中の連絡
23:12 運転士-指令に自力運転困難の連絡
23:23 千葉派出に出動依頼⇒タクシーで担当者2名出発
23:37 乗客全員降車→現地にて代行手配
*鴨川運輸区長、蘇我副駅長、館山駅助役、木更津運輸区助役等が現地に到着⇒対応に当たる)
23:55 運転士-単独走行可能の連絡
0:10 1139Mを回送列車として入区計画
0:15 運転再開指示-岩井駅に回送
0:57 千葉派出2名が岩井駅に到着
*処置→確認→供給空気溜めコック破損、
ディスクブレーキ装置緩めバネ取付ボルト曲がり
2:28 本区より、助役+1名到着
3:30 派出担当2名が添乗し回送
5:00 千葉駅到着→千葉派出の他の2名と添乗を交替
5:35 幕張車両センターに収容

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