軸箱支持金具装置吊り金具が外側に変形ー車軸が脱落する危険性があった!
5月8日に外房線・安房鴨川~安房天津間で発生した脱線事故に関して、脱線復旧後、脱線した当該車両を80km/hで回送した問題について、8月18日に千葉支社との間で団体交渉を行った。
団体交渉の概要は以下のとおり。
90km/hで走行中に突き上げるような衝撃で脱線
組合 事故の原因及び当日の状況について経過を説明すること。
会社 事故の原因は、現在も事故調査委員会で調査中であり、結果は来ていない。
15時53分 脱線事故発生。209系6両編成。ほぼ直線で、90km/hで走行中、突き上げるような衝撃を受け、左側に脱線。
15時55分 支社対策本部設置。
16時26分 現地対策本部設置(鴨川駅長)
16時48分~ 幕張、京葉から出動。
17時15分 運輸安全委、現場保全命令
18時14分 幕張、到着、その後京葉到着
20時34分 運輸安全委、調査開始
21時32分 車両調査終了、保全命令解除
この後、JRで車両点検
1時40分 載線作業開始
7時06分 載線作業終了
8時00分 車両点検、回送準備
その後、出区点検開始
8時46分 当該車両、運転開始。安房天津まで速度制限25km/h。 到着後、車両点検。
9時17分 点検終了、安房小湊まで回送再開 速度制限45km/h
9時28分 車両点検後、制限80km/hで回送再開
12時48分 幕張車両センター入区
車両関係の責任者は、80km/h走行の判断はしていない
組合 事故後、幕張車両C内で調査を行っているが、その内容は。
会社 内容はまだ公表できない。
組合 回送に当たっての点検内容は。
会社 回送前は、台車、軸箱などの損傷の有無、空気バネの状況等を点検した。
組合 80km/h回送中、途中で点検したのか。
会社 車両職社員が添乗し、安房天津、安房小湊で点検した。異常があれば停めて対応できると判断した。
組合 安房天津まで25km/h、安房小湊までは45km/h、それ以降は80km/hとしているが、小湊からなぜ倍近い制限速度にしたのか。
会社 回送前に目視で点検し、問題ないと判断した。
組合 制限速度80km/hの判断は誰が、どのような根拠に基づき行ったのか。
会社 車両の専門家が判断したわけではないが、現地からの報告等により、支社対策本部で判断した。
組合 脱線車両は、車輪の踏面やフランジに相当の傷があった。曲線での脱線も考えられたはずだ。
会社 ブレーキ軸割合に基づき、制限80km/hの判断を行った。
組合 台車のブレーキを閉じただけなら話はわかるが、90km/hで走行し、下から突き上げるような衝撃で脱線した車両であり、フランジや軸箱への影響等を考慮して判断すべきだったのではないか。
会社 ブレーキ軸割合により判断した。
組合 幕張で事故車両を見たが、軸箱支持金具装置吊り金具が外側に変形し、車軸が抜ける状況になっていた。台車が傾いたら車軸が抜け、新たな脱線や転覆も考えられる状況だった。
会社 抜けてはいないですよね・・・。
組合 抜けなかったからよかったという問題ではない。会社として事故車両の回送には慎重になり、再発を防ぐことを最優先に考えるべきだ。
会社 慎重に判断したと考えているが、組合の指摘は受け止めた。