人が住めない避難区域に
電車を走らせる!?
動労水戸は常磐線竜田延伸阻止を掲げ、全乗務員が5月30日から31日までのストライキに決起した。同日、JR東日本は6月1日から常磐線広野―竜田間の運行を再開すると発表した。
しかし5月29日に出された楢葉町長の見解は、「帰町を目指す時期は来春以降になる」というものだった。すなわち、JRは運転再開の前提が崩壊したにもかかわらず、何が何でも運行再開を強行するというのだ。楢葉町は避難区域(福島第一原発から半径20㌔圏内)が解除されていない。誰一人住めない場所に電車だけ走らせるというのだ。
いま政府は、「年間20㍉シーベルト以下なら住んでも大丈夫」と避難住民の帰還を強制している。ちなみにチェルノブイリ原発事故での避難基準は5㍉シーベルトで、住民は直ちに避難させられた。そして、放射線管理区域は3か月あたり1・3㍉シーベルト以上、年間で5.2㍉シーベルト。法律で一般の人が立入禁止されているのだ。
「復興と安全のシンボル」
本来、人が住むことが禁止されている所に JRはなにゆえに30億円もかけて電車を走らせるのか。それも避難住民から運転再開の要請もないのに。
運転再開を「福島復興と安全のシンボル」に仕立て、それを既成事実として住民に帰還の圧力を加え、政府・東電が行っている補償を打ち切りるためにだ。そして福島原発事故がまるでなかったかのように原発再稼働と海外輸出を行う安倍政権の福島切り捨て政策に、JR東日本が一役買って出ているのだ。
労働組合として
絶対認められない
原発事故は何も収束していないのに、その原発に向かって放射線量の非常に高い地域に電車を走らせ、乗員・乗客を被曝させることは絶対に許されない。汚染地域を走った電車は当然汚染される。その検修は勝田車両センターで行うのだ。
動労水戸の組合員は、「乗務員・乗客を被曝させ、死ねというのか。JRのしていることは無差別大量殺人だ」と激しい怒りをJRにたたきつけ、ストライキに突入した。安全は鉄道の最大の使命だ。安全を破壊する竜田延伸を認めることは労働組合として絶対にできないのだ。
歴史的な闘いだ
福島原発事故は何ひとつ終わっていない。しかし福島現地では、政府の嘘で真実が徹底的に覆い隠される中、民衆は不安や怒りを声に出すこともできない状態を強いられてきた。この状況のなかで、動労水戸は、職場から実力で打ち破る闘いを開始したのだ。これは日本の労働運動の歴史に新たな1ページを記すような闘いであり、闘う労働組合を取り戻す闘いだ。
国鉄分割・民営化攻撃に立ち向かって団結を守り抜いた動労水戸の闘いの力、そして闘いの圧倒的な正義性は、本格的な組織拡大の展望を開くものになることはまちがいない。
動労水戸につづけ!
6・8集会へ総総決を。
5月31日、動労水戸の呼びかけで「福島切り捨てを許さない!竜田延伸反対!5・31総決起集会」がいわき市内の公園で開催され、520名が結集した。集会後、炎天下のなか市街地をデモ、沿道やビルの窓からデモ隊に手を振る市民が多数見られた。デモ終了後、いわき運輸区前に移動し、JRを徹底弾劾するとともに、竜田駅への乗務を強いられる運転士、車掌への激励行動を行い、共に決起することを訴えた。 |