はじめに
高市政権は、安保3文書の再改訂、改憲に政治生命をかけて社会全体を戦時体制へと突き落とそうとしている。マスコミを制圧して批判の声を封殺し、排外主義を煽り、反戦の声を「お花畑」だとあざけり、スパイ防止法によって社会を窒息させ、「安全保障環境の変化」や「台湾有事」を魔法の言葉のように操って戦争を正当化し、トランプと一体化して中国への侵略戦争に突進してゆく以外に選択肢がないのが高市だ。しかしそれは消費減税、ガソリン減税等でごまかしを重ねてとりつくろってきたことが全部破たんすることも意味している。
イラン侵略戦争とそれによってもたらされた際限のない物価高騰、生活の困窮を契機に、激しい怒りの声と行動が予想をこえた速度で拡大している。国会をとりまく怒りの声は1ヵ月の間に十倍に膨れ上がり4月19日には3万6千となった。その多くが若者・女性で、残念ながら労働組合の旗はほとんどない。戦争反対の声をあげるとネットなどで袋叩きにされる風潮への危機感が一つのきっかけになっているという。「現状を変えたい」という切実な思いが高市「支持」にかすめとられてゆく情勢が急速に変わろうとしている。今こそ労働組合が闘いの最前線に立たなければいけないときだ。戦争突進の高市政権を打倒しよう!
1開始された労働法制の抜本的再編攻撃
高市政権の下で、労働基準関係法制の抜本的な見直し攻撃が進められている。現在焦点があてられているのは、裁量労働制の適用拡大や変形労働時間規制の緩和等で、それが「労働時間をベースとしない処遇」の確立と称して進められている。さらには「解雇金銭解決制度」導入についてもその検討が大詰段階に入っている。それらは確かに労基法の根幹を破壊しようとする攻撃である。しかしわれわれは、そうした次元を遥かにこえた攻撃が進行していることを見すえなければならない。労働法制の全体系を、文字通り抜本的に解体・再編する攻撃が準備されているのである。
①国鉄分割・民営化以来の大攻撃
厚労省はそれを、「労働基準関係法制の将来像の抜本的な検討」「40年ぶりの大改正」と大上段から位置づけている。「40年ぶり」とは、1987年以来の大改訂だということを指しているが、この年、国鉄分割・民営化攻撃と一体で、変形労働時間制や裁量労働制等、8時間労働規制の適用を除外する仕組みが労基法に導入されたのである。それは、罰則付の強行規定によって労働条件の最低基準を一律に設定するという労働基準法の基本原理に修復不能な穴が開けられたことを意味するものであった。労基法はその後、2007年の「労働契約法」制定、2018年の「働き方改革関連法」制定等、悪貨が良貨を駆逐するかのように改悪・侵食が繰り返されボロボロにされていく。労基法の適用を逃れることのできる例外規定は次々に拡大され、厚労省自身が「規制の内容が複雑化し、労使双方にとって分かりづらいものになってしまっている」と言わざるを得なくなっていった。
「大改正」の先鞭をつけたのは安倍政権であった。それは安保戦争法の制定と一体で、「安倍政権の最大の挑戦」と称された。その後、この攻撃を一気に加速させたのが、22年の安保3文書改訂であり、同時進行した底が抜けたような社会の崩壊であった。「国力としての国防」という考え方が国の基本路線とされたことに伴って労働者保護法、あるいは権利法としての労働法制を解体していく動きが急速に頭をもち上げていったのである。経団連はめざすものを「生産性向上に資する労働法制」という言い方をしているが、それは労働法制の性格を文字通り真逆なものとすることを意味している。
②厚労省の二つの報告と経団連提言
その基本的な内容は、23~25年にかけて厚労省や経団連から出された次の3つの報告書、提言によってすでに明らかにされている。攻撃はすでに具体的な姿形をとって提示されているというのに、これほど重大なことが社会的問題にもされず、ほとんど議論の俎上にものぼっていないのが現実だ。高市政権は意図的に焦点から外し、連合やマスコミが沈黙し容認する。こうした構図で攻撃が進められていることが最大の問題である。
▼新しい時代の働き方に関する研究会報告書(『新時代研報告』)/厚労省・2023年)
▼労使自治を軸とした労働法制に関する提言(『経団連提言』/経団連・2024年)
▼労働基準関係法制研究会報告書(『労基研報告』/厚労省・2025年)
③「法令全体」「基本的概念」の解体
厚労省が見直しを進める「労働基準関係法制」とは、「労働者の保護及び個別的な労働条件の設定に関する法令全体」と定義されている。『労基研報告』で見直しの対象となる法令として例示されているのは、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働契約法、労働者災害補償保険法、労働時間等設定改善法、育児介護休業法、労働基準監督機関による監督・指導等の公的権限の行使の手法、ガイドラインによって法目的の実現を図る手法などで、まさに「法令全体」にわたっている。『新時代研報告』ではそれが、「労働基準法制における基本的概念についても、経済社会の変化に応じて在り方を考えていく」という言い方で、幅広く全部変えるというだけでなく「基本概念」を変えるのだということを明記している。
一方、『経団連提言』は、後に述べるように、厚労省をさらに右から突き上げる形で、労働組合の存在そのものを駆逐しようとしている。「労使協創協議制の創設」と称して、労働組合ならざる従業員代表組織に、労基法の適用を除外する権限や、「個々の労働者を規律する契約を結ぶ」を与えることによって、労働組合の存在やその憲法上の権利を根本から解体しようとしているのである(厚労省はそれを「将来的な課題」としている点で一定の「対立」がある)。
『経団連提言』のもう一つの特徴は、JR東日本がそれを主導し、2018年以来、それを労組なき社会化=社友会路線として、JRの職場で既成事実化している点にある。つまり、経団連=JR東日本の提言は、労働基準関係法制どころか、労働組合法や憲法28条までを解体しようとしているのである(つづく)。
●新宿反戦メーデー2026
5月1日(金) 14時 新宿駅東口広場
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5月10日(日)13時 DC会館
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5月23日(土)13時 DC会館
●65歳以降雇用延長裁判
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