「日刊」6279号より続く
東労組千葉地本は、動労千葉が呼びかけた錦糸町派出廃止反対署名に多くの組合員が協力したことで大混乱をきたす一方で、機関紙の同じ紙面で、「一方でマル体質、他方ではストライキ、そこに見えない原因究明」などという動労千葉非難を展開している。
全く内容のない、しかも意図的に問題をすり替えた「批判」にもなっていないものだが、絶対に許せないのは「幕張車両センターでの脱線事故で見えてきたこ とは、『マルにできないか』ということが職場の雰囲気になっていたこと」「安全に対する職場風土改善が必要」などと繰り返し書きたてて、当該運転士への処 分をあおり、当局にけしかけていることだ。
処分をあおりたてる東労組!
事故を起こしたくて起こす者など誰もいない。だけど人間はミス犯し、あるいは一旦ミスをすればパニックに陥るもので、鉄道で働く労働 者である以上、「事故」という現実から逃れることのできる者は誰もいない。ひとたび事故を起こせば、当局の攻撃や世間の非難もその労働者に集中し、職場は 暗たんとした雰囲気になる。問題は、そのときに労働組合が、事故を起こした労働者を守って闘うことができるか否かだ。そうでなければ、労働組合など何の意 味があるのか。
ところが、東労組は、会社と一緒になって「マル体質だ」「風土改善が必要」「馴れ合いだった」などと、当局と一緒になって現場の労働者を責め立てる。今回の事故では、東労組の組合員も処分の対象とされているにも係わらずだ。
だが、本来「馴れ合い」だとか「風土改善が必要だ」とか言うなら、その責任者は構内助役だ。しかも助役は全員東労組の組合員である。自分が言っているこ との意味もわからずにこんなことを言って、動労千葉を非難した気になっているのだが、彼らは、安全対策を放置した会社の責任だけは絶対に追及しない。
会社を擁護し労働者を非難
これは今回に限ったことではない。事故に対する東労組の対応はいつもそうだった。例えば、大月駅事故のときも、事故直後の機関紙で 「原因は究明中だが、現時点ではっきりしている事実は運転士のミス」と書き立てた。結局、平成採用のこの運転士は当局から攻められ、組合からは見捨てら れ、孤立無援の状態で裁判にかけられて職場を辞めていった。
東中野事故のときもそうだ。千葉-三鷹間の運転時分を3分40秒つめて増発したことが事故の原因だったが、東労組千葉地本は、自らの組合員が事故で生命 を奪われたというのに「事故原因は究明中でありダイヤ改正が直接の原因ではない」という声明をだして会社を擁護した。
つまり「原因は究明中」などと言いながら、はじめから「会社は絶対悪くない、悪いのは事故を起こした労働者」言い続けてきたのである。
腐り切った松崎講演!
大月駅事故の1ヵ月後、当該の組合員は、連日、警察や会社の追及を受けて苦しんでいる状況のなか、松崎は、第10回政策フォーラムで次のように講演している。
責任追及から原因究明へという方向を明確に示し得たJR東日本の経営幹部は立 派だ。世界に冠たる資質を持っている。松田社長は大社長になった。経営哲学あるいは企業文化の極めて高いレベルの所産だ。責任追及から原因究明へという世 界に冠たるテーマ、概念、カテゴリーを明確にし得た労使の高いレベルをこれからも誇りにしていきたい。 |
当時は、この事故をきっかけとして、JR東日本の安全対策や安全指導のおそまつさが、連日マスコミで報道されている状態であった。そ の時に、歯の浮くような言葉を並べてて「ご主人様は立派です」と会社を全面擁護し、当該運転士に責任をなすりつけたのである。本当に腐り切っている。これ が東労組の本質だ。
自分の立場をはっきりさせろ
東労組は、われわれが「錦糸町派出は、安全を確保し、列車を安心して運転する上で欠かすことのできない存在であり、車両故障時の対応 について日々の不安を増大させる。また東京地下ルートはSNが設置されていないことから、P故障時の保安要員としても欠かせない」と訴えたことに対し「そ んな程度の理由で署名させた。要するに日々不安があるからストライキということ」「そこに見えない原因究明」などと言ってわれわれを非難する。だが、運転 士の不安を増大させるような安全無視の合理化攻撃に反対するのは労働組合として当然のことではないのか? そもそも東労組は、錦糸町派出の廃止に賛成だったのか、反対だったのか、それをはっきりさせてから言うべきではないのか。今回のストを批判するが、そもそ も東労組は、会社のドレイとなって、労働者の正当な権利であるストそのものに反対しているのではないのか?。
「原因究明」のペテン!
「原因究明」などというが、尼崎事故や羽越線事故、レール破断に頻発という危機的現実に対して、東労組は本気になって原因を究明した ことが一度でもあるのか。少なくともわれわれは、徹底的に原因を検討し、組合員にも明らかにし、だからこそ、労働組合として、運転保安確立に向けた闘いに たちあがらなければならないと決断した。それが今回の闘いであった。事実をすり替えた批判は非難でしかない。われわれは、会社の手先となって、事故起こし た労働者への処分をあおりたてるようなやり方を絶対に許さない。