●ワンマン化の急速な拡大
JR東日本は、3月ダイ改後も、分かっているだけで横浜線、相模線、宇都宮線、日光線、八高線、川越線にワンマン運転を導入することを明らかにしている。多くが中編成(3~6両)ワンマンだ。2024年を当面の目標にしてすさまじい勢いで車掌削減が進められている。
内房・外房・鹿島線では、ワンマン化の結果2両編成での運行でも、乗降の際にお年寄りがドアに挟まれて転んで怪我をするといった事態が相次いでいる(一人は大腿骨骨折という重傷)。それなのに、これからは長編成列車もワンマン化するというのだ。安全を犠牲にして毎年何百人という規模で車掌の仕事が消えて無くなろうとしている。
●駅で何が?
一方、駅でも「駅業務の変革」と称して大変なことが始まっている。
現状でもわずかしか残っていない『みどりの窓口』をほとんど廃止(7割削減!)し、「指定席券売機」にしてしまうことはすでに発表されている。だが、それだけではない。
ラッシュ時間帯等にホームで行われている乗降合図や案内放送も、終着駅での車内点検も廃止するという。ホーム転落等は駅事務室でモニター監視し駆けつける。それが「駅社員がホームに居なくとも、安全性が担保される仕組みの構築」「ホーム業務の働き方改革」だとうたっているのだ。
さらに何と「車いす案内の削減」(社内資料にはこう明記されている!)まで打ち出すに至っている。今でも駅の要員体制には「車いす案内」のための余裕など全く考慮されていない。それなのに段差などを解消して“居ない人間”まで削減するという。
ホームだけではない。「常に改札窓口に立っている常態を減ら」し、コールセンターや「駅遠隔操作システム」で対応するというのだ。
これでは障害者やお年寄りは列車に乗ることができなくなってしまう。大きな社会問題になっているというのに“ホームの安全など全部乗客の自己責任だ”というのだ。
さらにこれからは一人が「複数駅の業務を担当」することになる。
●駅が駅でなくなる
今でさえJR直営駅は4分の1ほどしか残っていない。多くが「無人」「委託」だ。それなのに乾いた雑巾を絞るように徹底的に要員削減を現場にせまっている。
さらに、「業務領域と業務内容の拡大」「価値創造・収益拡大の取組みの主役」になれと言い、「無人店舗の運営」「店舗の開店・閉店対応、商品補充」「荷物の積込み、荷下ろし」「産直での物販・観光PR」「ベビーカーレンタル」等をするのが駅員の業務になる。駅と店舗の入出金機まで統合してしまうというのだ。そしてエリア内の除草・除雪業務まで融合化される。
列車と乗客の安全を守り、乗客を案内し、輸送混乱時や災害時に備えるという駅の最も重要な機能をかなぐり捨てて、とにかくコストカットとカネ儲けのために突っ走れというのだ。
(「下」に続く)