JR体制が大きく動こうとしてる。いよいよ「国鉄改革の総決算」が本格的にはじまろうとしているのだ。
07年は国鉄分割・民営化20周年。国土交通省には「国鉄改革」の検証・総決算をするための人事配置もされたといわれている。分割・民営化から18年。 「国鉄改革」は成功であったことをうたいあげるために、1047名闘争をはじめ、これまで引きずってきた様々な問題をすべて清算しようという動きがはじ まったのだ。
会社と国労の和解?
それは、昨年末から今年にかけて「JR東日本と国労の和解」という、これまでにない事態となって動きだしている。
昨年9月、12件の「配属差別事件」が一括和解し、この1月以降、ベンディング職場(自動販売機の缶ジュースの補充作業)などに隔離されていた150名余りの国労組合員が元職に復帰した。
これを受けて、11月には中労委に和解のための「特別チーム」が設置され、昨年12月には「昇進差別事件」についても、今年6月の昇進試験までに和解することで会社と国労と中労委の間で合意が成立し、現在和解作業が進められている。
この過程でJR東日本は、「労務政策の変更として受けとめてもらって構わない。中労委の指導で和解を進めたい」と中労委に表明したと言われている。
これまでにない事態
一方東労組は、ベンディング職場の廃止提案に対し、「国労を職場に戻す気か、絶対認められない、廃止するなら全員出向にだせ」と噛みつき、この間も経協のなかなどで会社の経営姿勢をめぐって対立しているという。しかしJR東日本は国労との「和解」を進めたのだ。
この間、国労は一貫として「和解-労資正常化路線」であった。しかし、東労組・革マルとの結託体制を労務政策の中心にすえてきた会社は相手にされなかっ たのだ。その意味からすれば、この事態が会社の姿勢が転換したことによって起きたものであることは明らかである。やはり事態の本質は「国鉄改革の総決算」 が本格的に開始されたということに他ならない。
05春闘は、JRめぐるこの新たな情勢、今後、職場をめぐる激震となるであろう新たな事態と真正面から対決する決定的な位置をもつ闘いとなった。
労務政策の破産!
その背景にあるのはJR体制の危機であり、「国鉄改革の総決算」をめざしたニューフロンティア21計画の破産に他ならない。《革マル問題》や《安全問題》《1047名闘争の不屈の継続》という事態が、もはや放置し続けることはできない矛盾となって噴き出しているのだ。
何よりも、東労組・革マルと手を結んだ労務政策が、東労組の醜い内部抗争もからんで完全に破たんしている。浦和電車区の退職強要-逮捕問題にしても、事 の本質は、会社が革マルにやりたい放題やらせていたことの結果であり、JR東日本は断じて対岸の火事でない。
しかもその後、マンションへのビラまきで、住居不法侵入を理由に東労組の組合員が逮捕されてみたら、全員東京の人事課や勤労課の課員であったという事態まで起きている。これは文字通り18年間の労務政策の破産に他ならない。
1047名闘争潰し
また、JR東日本と国労の和解という新たな情勢は、1047名問題を清算し、終止符をうつという狙いを背後にはらんだ事態であることも明らかだ。
1047名闘争は国鉄分割・民営化の過程で吹き荒れた国家的不当労働行為を弾劾して不屈に闘いを継続しており、いうまでもなく、これを潰さない限り「国鉄改革」が成功したと言うことはできない。
だからこそ激しい闘争破壊策動が続けられてきたが、不当解雇された仲間たちは、国労本部酒田執行部や革同・共産党、政府が一体となったこの間の闘争収拾策 動をはね返して前進し、逆に、昨年1年間の攻防戦をとおして国労、動労千葉、全動労の三争議団・闘争団が団結する土台をつくりあげたのである。
05年、1047名闘争は、本当に腹をくくって勝負しなければならない正念場を迎えたのだ。
安全問題の破産!
さらにJR東日本は、「安全問題」でも深刻な危機に直面している。
とくに、中央線高架切替工事で大輸送混乱を引き起こし、国土交通省から「事業改善命令」がだされる事態にまで行き着いたことが、JR東日本の経営陣にとって衝撃的な事件だったのは間違いない。
この命令がだされたのは、後にも先にもこの件を含めて二件だけのことで、滅多にだされるものではない。しかも命令では「重大な事故が発生する恐れが懸念される」と指摘されたのである。本来なら経営トップの辞任問題に発展してもおかしくない事態だ。
東労組はこの改善命令に対しても「JR東日本会社にどす黒い攻撃の刃を向ける政治的意図をもった労使への攻撃だ」という奇妙キテレツな主張で会社との結 託体制を守ろうとしたが、JR東日本にとっては、そんな奇弁で済ますことのできるような問題であるはずもなかった。
なぜ新中期計画を
こうした状況のなかでJR東日本は、新中期経営構想=ニューフロンティア2008を発表した。これまでのニューフロンティア21を一年早く打ち切って新たな計画に仕切り直したのである。
これも「国鉄改革の総決算」と一体のものとして見る必要がある。JR東日本は、間違いなくニューフロンティア21の5年間で「総決算」をするつもりだっ たのだ。しかしその過程で起きたのは、先に述べたように、逆に矛盾が爆発的に噴き出すという事態であった。このままズルズルとこの計画を続けることはでき ない。まさに仕切り直しの新計画が「2008」であり、それは「国鉄改革の総決算」への意志を込めたものだと見て間違いない。
意味するものは?
いずれにしてもJRをめぐる情勢は大きく動きだした。問題は、この新たな情勢をいかに見、そしていかにたち向うのかということである。
この情勢を甘くみてはいけない。これが「国鉄改革の総決算」を意図したものである以上、それは、国労、動労千葉、1047名闘争を、東労組・革マルもろとも一掃する狙いをもったものであることは明らかだ。
しかも国労は、昨年秋の岡山地本での51名の集団脱退に続き、四国エリア本部がそっくり集団脱退する動きがあると言われていること、西日本エリア本部の 革同執行部がJR連合と一体となって1047名闘争の切り捨てに動いていることなど、事実上足元から崩れ、連合化しようとしている。この新たな情勢を契機 として反転攻勢にたとうという構えなど全くないのだ。
勝負のときがきた
しかし、この情勢は動労千葉にとって決して悪いことではない。諸悪の根源であった会社と革マルの結託体制がついに崩れようとしているのだ。国鉄分割・民営化から18年を経て、ついに勝負のときがきたのである。
東労組は今、見せかけの「団結」づくりに必死だが、松崎と嶋田らの抗争によって墓穴をほり、これまでのように経営にとり入る力を完全に失っている。
しかも、現在の状況はどう見ても、これをきっかけにして一斉に攻撃を強めてくるというよりも、むしろJRの側の矛盾があまりにも深く噴き出して破たんをきたしてし、二進も三進もいかなくなっているという面の方が強い。
これは敵の弱点だ
とくに、JR西日本や東海などと違い、「国鉄改革の総決算」を国労との和解というかたちで始めざるを得ないところに、彼らの弱点が示されている。
この背景には、1047名闘争が独自の運動・闘いを不屈に継続し、国労との一定の「労資関係正常化」なしにこれに終止符をうつことはできないことや、受皿となるJR連合の実体が東日本にはないという事情がある。
だが、昇進差別事件などで国労と和解するということは、JR東日本が、事実上差別をしていたことを認めることを意味し、それ自身が新たな矛盾をはらみ、必ずしもたたみかけるように攻撃をしかけてくるという関係にはならない。
そして何よりも、今後の進展いかんによるとしても、これは、東労組の最大の存立基盤が揺らぐことを意味する。
闘いが開いた地平
これは、われわれの闘いがきり開いた地平の大きさを示す情勢でもある。
首をかけて闘った分割・民営化反対の二波のストライキが無かったら、現在の1047名闘争は無かったと言っても過言ではない。18年間「国鉄改革」に決 着をつけさせなかったことが、当時から中曽根が公言していた「次は教育改革」を遅らせ、郵政をはじめとした大民営化攻撃を今日まで遅らせてきた。
また、第二の分割・民営化攻撃とのこの4年間にわたる組織をあげた闘いも決定的な意味をもつものだった。検修・構内業務の外注化攻撃をストップさせ、職場の力関係と団結を守りぬき、そして逆にJR体制の矛盾を引きずりだしたのだ。
さらに、強制配転者の職場復帰を実現した昨年の50日間に及ぶ闘争も、現在の情勢からとらえ返してみれば、非常に大きな意味をもつ闘いであった。ちょう どこの時期、JR東日本は、東労組に対して、ベンディング職場を廃止する提案をしており、激しい対立となっていたのだ。こうしたなかでわれわれは16日間 の闘いを貫いて配転者をとり戻した。この闘いが全体を動かしたと言っても過言ではない。
断固として闘いへ
いよいよ勝負のときがきた。この激流におし流されない闘いを実現することができれば、JR体制を打倒し、様々な課題を打開できる大きな可能性をもつ情勢が到来している。待ちに待った勝負のときがきた。05春闘への総決起体制をつくりあよう。
今年、1047名闘争をはじめ、反合・運転保安確立の闘い、強制配転者の原職復帰-士職発令に向けた闘い、シニア制度撤廃の闘い、業務外注化阻止の闘い 等、あらゆる課題が激しい攻防戦となり、正念場を迎えることは間違いない。しかしわれわれは、断固としてこれにたち向う。
ともに闘おう!
東労組の組合員にも訴える。今こそ東労組と決別し、職場にほんとうの団結をとり戻そう。
賃金も雇用も権利も、すべてなぎ倒そうという攻撃が激しく進められようとしている。憲法改悪と戦争への動きが急ピッチで進められている。今こそ労働組合 が本来の姿、本来の力をとり戻さなければならない。労働者は、本来団結すれば無限の可能性をもつ存在だ。団結してともに闘おう。