「回送扱い」の車掌省略で団交
デタラメがまかり通るこの現実
突然の掲示→撤回、そして提案
6月3日、千葉運転区の指導事項掲示板に、指令の指示により「回送扱い列車」について、ATOS区間は防護係員を省略することができるという主旨の掲示が突然張り出された。 しかも、実施は掲出されたその日からになっており、さらに表題ではATOS区間としていながら、具体的な実施区間は違っているなど、デタラメ極まりない掲示であった。 この掲示そのものは、支部からの強い抗議で撤回されたが、今度は千葉支社が、8月1日から担当線区全域で、回送扱い列車の車掌省略ができることにするという提案を行なってきた。 これは運転保安上重大な問題である。本部は直ちに申し入れを行い、7月4日10時より支部代表の参加のもと、団体交渉が開催された。主なやり取りは次のようなものであった。
不手際があった
組合 この件での本社・支社・現場の係わりについて事実経過を明らかにしてもらいたい。会社 東京指令が以前より異常時に回送扱い列車の車掌省略の扱いを行っており、それに合わせたものであるが、伝達の部分で不手際があり迷惑をかけた。 組 千葉転では、指導訓練も行っていないにも係わらず通達を掲示してしまい、6月3日に出してその日から実施とはどういうことか。運転士には些細なミスも許さないにも係わらず自分たちのミスはどうするのか。 会 手違いがあったのはたしかであったし、迷惑をかけた。 組 支社に対して意見が言えない様な体制になっているのではないか。 会 その様なことはない。
同一線区で違う取扱い
組 迷惑を掛けたというだけではすまない問題が多数ある。 支社間の調整はどうなっているのか。同一線区で運転取扱い上の取扱が違っているという問題「回送扱い」自体規程上の根拠がない取扱いだという問題、現場では指導訓練も行われていないにもかかわらず一方的にやらせようとしたことなど、今回だけでなく、どれも以前から問題にしてきたことだ。 会 支社間の調整は必要であることは承知しているが地方の特情もあるので難しいことも ある。 組 今回の改正の問題のように東京がやっているから千葉と東京で行うではおかしい。事の性格から言えば、本社が主体的に行う問題ではないのか。全社的な問題である。 会 認識はしているしこれから統一できるよう努力していきたい。 組 同一線区で取扱いが違うのでは運転保安上問題であるし乗務員に無用な混乱を招くおそれがある。 会 その通りと思うし、これからもその都度調整し同じ取り扱いにしていく考えに変わりない。
規程上の根拠は
組 携帯時刻表は乗務員にとっては業務指示書である。指示書と違うことをやらせることにより運転士に対する負担は重くなるばかりである。 そもそも「回送扱い」は規程上の根拠のない取扱いだ。それを車掌省略も構わないとして、指令の判断だけで行う事は、指令万能主義・コスト主義であり我々は非常に危険に思っている。 会 東京ではすでに行っており、総合的に検討した結果の判断であり問題ないと考えている。運転取扱実施基準で防護係員を省略できる条件を定め、実施基準細則で省略できる線区を「旅客が乗車する列車」、「旅客が乗車しない列車」に分けて定めてあるが、「回送扱い」は規程上明確ではない。そもそも旅客を乗せないで走ることを規程は想定してないからだ。 組 ATOSの訓練の時、渡された資料に、列車としての使命を残して動かすのが「回送扱い」であると指導を受けた。車掌を省略したら列車としての使命が無くなってしまうのではないか。 会 使命が無くなったと判断することになる。 組 運転士にとって同じ事象に対し何通りもの扱いがあっては事故の基である、場内信号機に対する進行の指示運転では津田沼駅で事故を起こしているし、「回送」と「回送扱い」 をめぐっても現実に事故が起きたばかりではないか。 会 今回の改正は新たに指令の判断で回送扱いも車掌省略が出来るように追加しただけであり数多く発生するとは考えていない。
異常時こそ重要
以上が主なやり取りである。異常時こそ、充分な人、時間をかけてミスを発生させない様な体制、規程の運用を考えなければならないのに、最も重要なことを無視・軽視して、いかに早くダイヤを平復させるかしか考えていないところに今回の「改正」の問題がある。 規程の拡大解釈、指令万能主義、コスト主義と対決し運転保安確立に向け起ちあがろう。
次回労働学校 7月19日13時 「社会主義と戦争」
|