「スト」空叫び―断崖絶壁の東労組 革マル結託体制の崩壊へ 東労組東京地本が6月本部大会に「ストライキ」を要請!?
今、東京地本を巡って東労組と会社が激しく衝突している。発端は去年12月、東労組東京地本の運転士30数名が強制配転されたことだ。東労組はこの配転は「組織破壊攻撃」であるとJR当局と激しく対立した。 JR東日本は、資本の側から革マル結託体制の精算を本格的に始めたのだ。東労組東京地本は4月15日から4日間、全運転士を対象に「全運転士集会」を開催した。 だけど奇妙なことに、当初は「30数名の不当配転」「高齢者は配転しないことが確認されているのに…」「新幹線から一般線区への配転は問題」「ライフサイクル協定違反だ」と抗議の声をあげていたが、現在では言わなくなった。今、彼らが言っているのは、「京浜東北線、根岸線、横浜線の乗務員基地再編問題」で、一体何が問題なのか全く要領えない。
東労組東京地本が本部大会で「戦術行使」決定を要請 |
「スト決定」できる はずもない
5月27日に開かれた東労組東京地本臨時委員会で、「ストライキ戦術行使決定」「本部大会で戦術決定を要請する」ことになったが、一体何を要求し、何を目的にしたストライキなのかも明確にしていない。そして6月8日から東労組本部大会が開かれたが、東京地本の要請に応えて、「スト戦術行使」が決定されたという報道も全くない。大会を終わって「申1号」としてJR当局に申しいれた項目の中にも、スト問題は取り上げれれていない。つまり、「スト方針」を大会決定できなかったのだ。 労使共同宣言を結んで国鉄分割・民営化の尖兵に成り下がり、JR会社によって組織を維持してもらい、甘い汁を吸ってきた東労組にストライキができるはずがないのだ。さらに、東京地本以外の東労組の組織は革マルではなく当局派に握られていて、本部大会で「スト決定」ができるはずもない さらに、ストライキを叫びたてた瞬間に、JR当局と革マルの今までの関係が全て崩壊し、何が起きるかは、革マル自身が一番知っている。1990年の1047名清算事業団からの解雇の時のスト権問題で、政治的介入で1047名問題が解決されたら、JR総連革マルは使い捨てられるという危機感で、当時の東労組委員長の松崎明が、JR総連に「現場にスト権を委譲せよ」と叫んで、「政治解決反対!清算事業団解雇者を絶対にJRに雇用するな! 首を切れ」を要求して日比谷野音で3日間にわたって首切り要求総決起集会をやった。松崎が「ストライキ」を言葉にした瞬間、JR資本によって西日本、東海、九州。四国のJR総連は事実上崩壊させられたのだ。
ストライキでも何でもない!
「基地再編問題」などと東労組が言うが、基地の再編という問題は今更始まったことではない。今まで大規模な基地再編はさんざんやられてきた。現場がどれだけ反対の声を上げても、東労組は一度たりとも反対したことは一度もなかった。それどころか職場が無くなる以上は配転は仕方がないとその尖兵になってきたのだ。 さらに千葉では、成田運転区、勝浦運転区、館山運転区、習志野電車区が廃止されきた。どこも動労千葉の拠点職場だった。JRと革マルが結託して、動労千葉の組織破壊のためだけを目的に廃止された。しかし少数とはいえ東労組組合員もいたし反対の声も上げていた。しかし全く取り上げなかったのだ。 今回の基地再編で東労組が問題にしているのは、「やり方が従来のプロセスから逸脱している」ことだけだ。では「従来のプロセス」とは何か? たとえ現場の労働者が東労組組合員で配転されようが、革マルの活動家だけは希望どおりの配転をさせるという裏取引、それが「従来のプロセス」でしかなかった。 つまり今回のストライキの問題は、JR当局と東労組革マルとの裏取引が打ち切られ、基地再編で革マル分子がバラバラに配転され、運転職場での革マル支配が解体されようとしていることに対する断崖絶壁の叫びでしかない。現場の労働者の権利や労働条件など全く関係ない、甘い汁を吸い尽くしてきた革マルの生き残りだけを問題にしている全く卑劣際まわりないしろものだ。ストライキでも何でもない。このことは現場労働者はすでに全部見抜いているのだ。
労務政策の変換の背景
なぜ、JR東日本は、革マル結託体制の清算という労務政策の変換を行うのか。 JRという鉄道会社が変わろうとしている。 現場の鉄道業務はすべて下請けに丸投げ外注化して、JR本体は 実態のない持ち株会社に変貌しようとしている。その背景にあるのは安倍政権の成長戦略の柱の一つである鉄道の海外パッケージ輸出だ。それに乗っかって徹底して外注化して生き残るという選択に舵を切ろうとしているのだ。 もう一つの背景は、2~3年後ぐらいから 国鉄採の最終的な、そして膨大な大量退職が始まろうとしている。 革マル支配の実態もここにあった。大量退職が企業に激甚な変化をもたらす。JR資本は、大量退職を奇禍として40年以上鉄道で働いていた労働者を最終処理するという形で使い捨てて、その過程でより全面外注化・非正規職化に拍車をかけ、同時に革マル支配を完全に清算し、当局が職場を完全支配しようとしているのだ。ではこれが何をもたらすのか。安全の全面崩壊だ。この過程で鉄道の技術継承 は全部崩壊していく。JR北海道のような事態がJR全体に広がっていく。韓国セウォル号のような事態が蔓延する。 われわれの課題は、もう一回国鉄分割・民営化とその後の外注化との闘いの原点に返って闘争を強化することだ。すでに分割民営化の矛盾が爆発的に噴出する過程にはいっている。これを突いて徹底的に闘おう!