歴代自民党政権でも突出して極右・反動的な高市政権の登場。「台湾有事」を「存立危機事態」(日本も交戦状態に入ること)と発言し、中国に対する軍事的挑発となって厳しい緊張状態が続いている。自民と維新の連立合意書では、憲法9条改悪、安保3文書の前倒し、スパイ防止法の速やかな策定を打ち出した。
なにより、9月19日に公表された、「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」の報告書(要旨別掲)そのままに、長射程ミサイルなどの敵基地攻撃能力整備の加速化、原子力潜水艦の導入、武器輸出規制の撤廃などが並んでいる。
11日の衆院本会議で可決された補正予算案は、43兆円の大軍拡を前倒し、今年度で防衛費(軍事費)のGNP比2%化を達成するとんでもないものだ。防衛費が雪だるま式にふくれあがり、今年度は11兆円を超える。財源には無制限の国債の発行(高インフレ)、所得税の増税などが狙われている。
社会保障も切り捨て、「すべての国力を戦争に注ぎ込む」攻撃がごまかしなく進められようとしている。すでに物価高等で日々の生活にあえぐ労働者の生活をいっそう直撃するものとなる。
大軍拡・核武装、戦争国家化=「何のため、誰のため」。戦後80年、同じ過ちを繰り返してはならない。11月集会から、2026年の闘いへ。「反戦」の二文字を労働組合の第1の任務として高く掲げ闘おう!
「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」報告のポイント
▽「継戦能力」を強調
・「ウクライナが戦闘を継続できている背景としては、国民の国防意識、防衛基盤、西側諸 国からの装備品等の支援による継戦能力が挙げられる」
・「防衛産業における装備品等の製造能力が重要」「長期的な投資に値する環境を構築する ことが必要」―さらなる防衛費増を要求。
・「人的な側面の継戦能力も重要」「隊員に対する医療体制の強化について、衛生職域は後 方職域ではなく、最前線の職域であると発想を転換」
▽軍事経済化を主張
・「安全保障と経済成長との間の好循環を追求することも求められる歴史的転換点に入った」
・「防衛と経済は、『大砲かバターか』という言葉に代表されるような二者択一のものではない」
・「防衛力の抜本的強化を進めれば日本経済の課題の解決にもつながり得る」
・「強い防衛力を持つことが経済活動や経済主体を守り、国際的な発言力と影響力を高める」
▽原潜導入・大軍拡を主張
・長射程ミサイルを搭載する潜水艦への原子力導入を示唆
・AIや無人機、民間などの協力を活用した省人化とともに自衛隊の組織構成の見直しを求める
・軍需関連企業の集約と国営工廠の導入、武器輸出の積極推進を主張
・軍事費増額の「便益」を国民に伝える努力を求める
・GDP2%にとどまらない軍事力の強化を示唆



