内房線上総湊~竹岡間感電死亡事故―根本原因の外注化ただちに撤回を(9/20千葉支社団体交渉)

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動労千葉は9月20日、内房線上総湊~竹岡間での感電死亡事故について、JR千葉支社との団体交渉を行った。会社は、事故詳細や原因は「調査中」としているが、根本的な原因は業務外注化だ。「IT企業」化を掲げて鉄道業務をないがしろにする施策が安全を崩壊させている。ただちに外注化を撤回しろ!

事故当日(6月16日)の時系列

0:01  上総湊~竹岡間で線閉作業着手
0:25頃 白狐踏切で作業前点呼を行う
0:30  佐貫町変電所~竹岡間変電所間のき電停止
0:37  白狐踏切から軌陸車を搬入
0:40  佐貫町~那古船形変電所間の信号高圧停止時刻。那古船形変電所の遮断器が開放にならず。
0:41  停電責任者がシステムにより作業着手申し込みを行った。信号高圧が加圧状態だったが、システムは作業着手を受け付けた。
1:42  工事指揮者から作業員が感電したと連絡があった

組合 協力会社の社員が亡くなられた。3大労災(触車・感電・墜落)の一つだ。原因の根本に外注化がある。作業内容はどういうものか。

会社 高圧配電線から分離されている引下線の取替だ。現場では、S層とR層の2本の線のうちS層のみ検電して電気が来ていないと判断した。

組合 検電の他の防護策は何か。

会社 停電作業で一番大事なのは「接地」だ。検電した上で接地を取り付けるはずが行われなかった。また、最後の停電確認も行われなかった。現場で電気が流れていないかの最終確認で、検電器を当てる作業だ。

なぜ加圧状態で作業開始?

組合 加圧状態でなぜ作業が始められるのか。

会社 遮断器の入切はシステムで制御している。だが、一時的に遮断機を制御する手順をスキップした。原因は調査中だ。現場の遮断器の状態などはまだ調査できていない。

組合 システムというのはいつから使い始めたのか。

会社 02年くらいからだ。

組合 「スキップ」の仕様は今回のことで発覚したのか。

会社 顕在化したのは初めてだ。

JR社員の関わりは?

組合 JR社員は現場にいないのか。

会社 いない。停電工事でいえば、ずいぶん前からそれが基本だ。パートナー会社の責任施工となったのは、システム導入より前だ。

組合 外注化にあたって、教育訓練はどうなっているのか。

会社 教育機関はある。停電責任者であればその資格を取ってもらった上で作業させる。JRの方で教育する場面もある。

組合 作業の現地でJR社員とのやり取りはあるのか。

会社 現地での作業着手場面では、基本的にシステムで完結する。電話機の応答で機械メッセージが流れる。電力指令システムとつながる。かつては電話で直接やり取りしていたが、システム化された。

組合 接地の確認も行うのか。

会社 システムで行うのは「着手」「終了」のみだ。検電、接地などは現場作業の基本動作だ。

事故後の対策について

組合 6月以降も同様の工事は行われている。事故後の対策はどうなっているのか。

会社 システム上で遮断器を切る動作をスキップしてしまった。手順は特定できており、対象作業では現地の作業員、作業責任者から電力指令に、遮断器が切れていることの確認を取った上で、作業着手する形を当面の対策としている。JR直轄作業も含めて対策を行う。

組合 システムは全社共通か。

会社 支社によって違う。同じシステムでも仕様が違うこともある。

組合 他に対策はあるか。

会社 停電責任者は接地取付状態を写真等に記録し、接地を確実に行える仕組みを構築しているところだ。また、感電事故防止教育という点で、検電、接地、停電確認の実技訓練を含めた教育をしている。今後の調査で新たな課題があれば柔軟に対応していきたい。

外注化が根本原因だ

組合 パートナー会社、協力会社と二重三重に外注化されている。それが事故の根本原因だ。

会社 一つの作業集団としてパートナー会社の体制の中に協力会社も入り込んでやっている。指揮命令系統はきちっとしている。そごが発生することはない。

組合 パートナー会社と協力会社は一体だと。

会社 そうだ。協力会社にも事故や対策の話はいっている。外注化が要因になっているとは考えていない。

組合 鉄道業務はJRとして教育訓練を行い、JR社員が現場で責任を持って行うべきだ。外注化すべきではない。

以上

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