「進行の指示運転」を直ちに中止しろ!
われわれが言ったとおりのことが!
場内信号機に対する進行の指示運転が導入されて3ヵ月余り。早くも、われわれが危惧し、警鐘を鳴らしつづけてきた事故が起きてしまった。
指令まで違法指示
2月4日19時44分頃、総武緩行線・津田沼駅構内で、保安機器のリレー故障による軌道短絡が発生した。 駅員の調査では原因が判明せず、また短絡で在線表示が点灯したため、駅ではポイントを鎖錠し、機外停車の列車を代用手信号で進入させる手続きをとった。信号現示は第一場内も、第二場内も停止現示であった。 ところが、第一場内で手信号による進行現示を受けた列車に対し駅長は、停止位置まで進行して良い旨の指示を行い、指令も、運転士からの確認に対して、ATSの開放扱いを行なって第二場内信号機をくぐり抜けて良い旨の指示をして、列車を所定の停止位置まで進めてしまったのである。 しかも同じ取扱いが、次々と5本の列車に対して行なわれた。 代用手信号による場合は、進行できるのは第二場内までである。さらにその先に列車を進めるためには、第二場内で再び代用手信号による進行現示を受けなければならない。 しかし「進行の指示運転」の、第二・第三場内等は無視して所定の停止位置まで進行させるという取扱いと混同し、駅からも指令からも、運転士に信号違反をさせる指示が行なわれたのだ。
われわれの指摘!
われわれはこの点を、本社交渉の際にも、また支社交渉の際にも強く指摘し、次のように警鐘を乱打してきた。
代用手信号の場合は進行できるのは第二場内までであるのに、「進行の指示」だった場合は停車場の所定停止位置までとなるという混乱の要素がある。 「進行の指示運転」によって、場内信号機故障の場合の取扱いは複雑怪奇なものとなった。率直に言って、運転士がこうしたことを全て明確に記憶しつづるなど不可能に近いことだ。実際、教育・訓練が行なわれたばかりの現時点ですら、こうしたことを全て理解できている運転士や駅の係員はほとんど居ないといっていい。それどころか、指導員や指令員、支社の幹部ですら大差ない状態だ。 こんなことを教育された場合、運転士の記憶に残るのは「信号機が故障していようが、停止現示だろうが、指令や駅から何か言われたら、とにかく列車を動かさなければいけない」ということだけになるのはごく自然な流れに他ならない。 これが1年経ち、3年経ち、5年経ったらどうなるのか、恐ろしいことだ。 「進行の指示運転」は、運転士に「事故を起こせ」と言っているに等しいものだ。 (1月7日付「日刊動労千葉」) |
断じて運転士に責任はない!
だが、会社はわれわれの指摘を「充分に教育をするので問題はない」のひと言で斥けた。そして実施からわずか3ヵ月で、まさに言ったとおりのことが起きたのだ。「進行の指示運転」などという取扱いを導入したらこうなることは始めからわかりきったことであった。それも5本の列車に相次いで「信号違反」を指示するという前代未聞の事態を引き起こしたのである。 運転士には断じて責任はない。今回の事故の原因は「進行の指示運転」そのものにある。この事態の一切の責任は、「進行の指示運転」によって安全の基本を解体してしまった会社にこそある。また、これほど重要な運転取扱いの変更を何ひとつ問題にしなかった東労組も同罪だ。 あらためて言う。運転士に責任はない。一切の責任は会社にある!
われわれは求める
われわれは要求する。「進行の指示運転」を直ちに中止せよ! 規制緩和を口実とした安全の切り捨てを中止せよ! 指令万能主義・無線通告万能主義を改めよ! 運転士への事故責任転嫁を許すな! この間明らかにしてきたように、「進行の指示運転」がはらむ問題点は、今回の事態に限ったものではない。今回は結果としては事なきを得て、残された問題は責任の所在だけとなっているが、このまま行けば間違いなく重大事故が起きる!「進行の指示運転」を直ちに中止せよ!
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