会社の「6項目要求」と東労組
会社は3月9日の新賃金交渉の席上、東労組に6項目の要求(別掲)を突きつけて、「見解を明らかにするまで具体論には入れない」と迫った。その内容は、会社への「完全屈服」を要求するものだ。もちろん、それを全部呑んだところで「東労組切り崩し」を止める気などないことは明らかだ。しかし、完全な足下を見透かして東労組を揺さぶっているのである。
抗議することもできず!
しかし、東労組本部はそれに抗議することもできず、ヘビに睨まれたカエルのように頭を下げている。2万人も脱退させられているというのに! 労働組合として完全に終わっている。 東労組『業務部速報』№71に、「6項目」に対する東労組の態度が掲載されているが、例えば、①項目の「紛争状態の根源的解消を図れ」という会社の要求に対しては「紛争状態はすでに解決しスト権は消滅している」と応じ、②項目の「業務改革・生産性向上にスピード感をもって対応せよ」に対しても、「施策に向き合っている。地方で知恵を出し時間軸も意識している」と答え、⑤項目の「脱退した組合員に対する嫌がらせや残留強要をやめよ」に対しても、「直す必要があれば対応する」と応じている状態だ。
スト権放棄・合理化丸呑み
あまりに卑屈な対応だ。「紛争状態は解決し、スト権は消滅した」と言うが、一体何のためのスト権だったのか? 「格差ベア」反対のスト権だったはずだ。新賃金交渉が具体論に入っていないのに、なぜ紛争状態が解決するのか? つまり、実は「格差ベア問題」は、組合幹部たちがスト権を政治的に利用するための口実に過ぎなかったのだ。組合員不在。その結果が現在の組織崩壊を招いたのである。
さらに、「業務改革・生産性向上」に対し、「施策に向き合う。時間軸も意識する」と表明している。それは、外注化の全面的な拡大をはじめとしたあらゆる合理化を全部「提案即丸呑み」していくと表明したに等しいことだ。 それは、すでに千葉検査派出縮小攻撃の丸呑みや保線業務の外注化拡大を丸呑みしようとしていることで、具体的に始まっている。すでに労働組合の意味が完全に無くなっている。会社の手で準備されている新たな御用組合ももちろん同じだ。
絶対忘れてはならないこと
会社や会社と一体の御用組合が労働者の権利や労働条件を守ってくれることなど絶対にない。今回会社が東労組すらつぶすハラを決めたのは、JRに働く労働者の雇用や労働条件を抜本的に解体・再編するような攻撃を考えているからだ。
しかし、絶対に忘れてはならないことがある。鉄道を利益だけで考えてはいけないということだ。鉄道は人々の生きるための手段だ。鉄道輸送の最大の使命は安全だ。それを守るためには闘う労働組合が絶対に必要だ。職場に闘う労働組合を作り直そう。
会社から東労組への要求 6項目 ①労働組合の権利に介入することは出来ないが、紛争状態の根源的解消を図り、労働協約に則り、労使間の諸問題は速やかに団体交渉における話し合いにより解決すること ②業務改革と生産性向上のための各種施策の確実な実行に向け、時間軸を意識してスピード感を持って対応すること ③この間、36協定の短期での締結が、現場を疲弊させ現場管理者に不要な苦労をかけ、社員に不安を与えていることを認識し、36協定を安定的に締結すること ④ My Project など、職場における業務改善や自己啓発を尊重すること ⑤脱退した社員等に対する嫌がらせや残留強要、業務上での非協力の教唆といった行為を行わず、職場規律の厳正に関して、組織として指導すること ⑥「不当労働行為」といった事実と異なる喧伝をやめること |