外注化を今すぐ撤回しろ!
またしても衝突事故が発生した。
6月6日午前1時すぎ、JR常磐線北松戸―松戸駅間で最終電車が線路保守用機材を運搬する台車に衝突した。
幸い乗客27人にけがはなく、線路にいた作業員2人も逃げて無事だった。しかし、乗客を乗せた列車は時速約80㎞で走行していた。脱線して多くの犠牲者が出てもおかしくない重大事故だ。
京浜東北線事故と全く同じ
事故の構図は、京浜東北線川崎駅での脱線転覆事故とまったく同じだ。
予定では、11区間の線路閉鎖をすべて行った後に除草剤の散布作業を開始するはずだった。
しかし、なぜか現場で引上線の線閉は作業開始後に行うことに変更された。
十分な人数が確保されなかったために、少しでも早く作業を始めなければならなかったとしか考えられない。そのために最後の線閉までのわずかな時間を惜しんで作業開始を早めたのだ。
除草作業の回数はこの間どんどん減らされてきた。一回の作業量自体が増加していたことも考えられる。どちらも外注化による徹底したコスト削減の結果だ。
実はタブレット端末には1台で10区間の線閉しか登録できない。11番目の区間だけは2台目に登録されていた。
線閉責任者は11番目の区間も線閉をかけたと勘違いした。
工事管理者は端末を確認したが、2台に分かれていることを知らずに気づかなかった。工事管理者も全体像を把握しないままに作業が行われたのだ。
こうして線閉がかけられていない区間で作業が行われ、事故が発生した。
「事故対策」何も実施されず
この事故では、京浜東北線事故後にJRが打ち出した事故対策は何一つ行われていなかった。
一つは、作業を行う区間の線路すべてに線閉をかけてから作業を開始するというものだ。やむを得ず一部車線の線閉をかけずに作業する場合は、標識を設置することになっていた。
もう一つは、3線以上にまたがる工事などに、JR社員を立ち合わせるというものだ。今回は「3線以上にまたがる」作業だったが立合いは行われなかった。
結局のところ、JRは「安全対策を進めている」かのように世間にアピールするために、形だけ事故対策を打ち出したにすぎなかったのだ。
同時に、外注化した業務にJRから直接業務指示を行うことはできない。事故への対策も責任も、下請会社に押し付けられている。その結果、JRは事故対策を行う力まで失っているのだ。
労働者に責任転嫁するな!
JRは6月7日、下請け会社を含む関係者を集めた会議を開いた。そこで冨田社長は「初歩的な作業が形式的に行われている」「人任せにせず自分たち自身は何ができるか、各支社、各社で真剣に考えて実行せよ」と語っている。
自ら外注化で安全破壊を進めながら、すべての責任を下請け会社と労働者個人に押し付けようというのだ。乗客を利用した「運転士叩き」による締め付けの強化、責任転嫁とまったく同じだ。
今回の事故を労働者個人の問題にしてはならない。事故の責任はすべて、外注化を進めてきたJRにこそある。外注化で人員も削られ、責任体制や連絡体制、保安体制が破壊された中で作業を強制しているのはJRなのだ。
JRは直ちに外注化をやめろ! すべての仕事と仲間をJRに戻せ! 労働者への事故責任の転嫁・締め付けの強化をやめろ!
外注化粉砕、反合・運転保安確立に向け、全力を尽くして闘おう。