昨年の第44回定期大会で新たに本部執行委員(共闘担当)に就任したに渡辺靖正(佐倉運輸区)が、新春に当たって動労千葉国際連帯委員会の山本さんの新春インタビューを行いました。
山本 弘行くさん
(動労千葉国際連帯委員会事務局長)
聞き手 渡辺 靖正
(本部執行委員 共闘担当)
▽渡辺 動労千葉の国際連帯を振り返って思うことを述べてください。
○山本 動労千葉の国際連帯が始まったのは2003年7月訪米からです。(写真①)現在の書記長の川崎さんと私が訪米して、ILWUな どサンフランシスコの労働組合と交流し、「内なる戦争は外への侵略戦争だ」というスローガンのもと、アメリカの港湾労働者との連帯行動が始まりました。偶 然なのですが、同じ年の8月15日の集会に韓国民主労総ソウル本部のキム・チャンソプさん(写真②)が参加し、そこで初めて民主労総と動労千葉との接点が 生まれました。動労千葉と韓米労働者の国際連帯が2003年7~8月に始まったのです。
そして、2003年10月には、当時の中野常任顧問と田中委員長そして動労水戸の辻川副委員長の3人が訪韓し、民主労総委員長のタン・ビョンホさん、ソ ウル地域本部長のコ・ジョンファンさんと話し合い、動労千葉と民主労総ソウル地域本部との血盟的関係の扉が開かれました。(写真③)
▽渡辺 なぜ動労千葉の闘いが国際連帯を作り出しえたのか。世界の労働者は動労千葉のどこを評価しているのでしょうか?
○山本 私は03年10月の訪韓には加わっていないのですが7月の訪米時点で言われたことは、動労千葉とILWUは非常に似ているということ。一つは、動労千葉 は、原則を曲げないで1987年の国鉄・分割民営化に反対を貫いていること、もう一つは、ランク&ファイル(一般の現場組合員)を信頼し、その怒りと闘い に依拠し、そこを基礎に闘っていること、この2つの点がILWUとソックリだと強調していました。
▽渡辺 「宗教では世界は一つに出来ませんが、労働者の力は世界を一つに出来る」という話を聞いたことがあるが、どう思いますか。
○山本 宗教で世界を一つにすることはできません。「労働者は一つだ」という民主労総のスローガンがありますが、「労働者と資本との絶対的対立関係」とい う共通性、そして外注化・非正規職化という新自由主義攻撃が全世界に吹き荒れ、全世界の共通の課題として闘いが巻き起こっています。世界の労働者が動労千 葉を注目するのはこの点だと思います。
動労千葉は、「第2の分割・民営化」である鉄道業務の全面外注化と闘っています。世界の労働者も同じ課題で闘っている。10年ほど前の話になりますが、 アメリカのAMFAという航空機整備の労働組合が外注化攻撃によって解体された。ノースウエスト航空の整備業務を全て中国の企業に委託することで職場が奪 われ、団結が破壊された。AMFAの労働者も11月集会に参加するのですが、動労千葉が「民営化の本質は外注化だ」ということを突いて闘っていることに強 い共通性を感じ、共に闘っていくことを表明していました。
▽渡辺 動労千葉の国際連帯と、JR総連や既成の労働運動の国際連帯との違いは何ですか。
彼らの国際連帯は、先ほども強調しましたが、ランク&ファイル、つまり現場労働者の共通の怒りと闘いのうえでの国際連帯になっていない。たとえば韓国で 鉄道の大事故が起きればカンパを持って行って握手をして帰ってくる。 非常に表面的で儀礼的・形式的な「国際連帯」に終わっている。民営化・外注化と闘わず手を貸しさえしてきたことの必然的帰結でしょう。動労千葉の13年に わたる国際連帯の過程でこの点が突き出されている。
国際連帯で得た教訓などを大きなバネにして、自らの職場での闘いに環流していくことが、本来の国際連帯のあるべき姿だと思います。その点が既成労働運動には決定的に欠けている。
昨年の6・7国鉄闘争全国運動の集会で日韓の鉄道労働者が共同声明を出しました。外注化攻撃に対する共同声明を出して共に闘っていくことを世界に発信するまでになっている。外注化に協力しているJR総連や既成の労働運動には望むべくもありません。
▽渡辺 12年間つづけられてきた国際連帯の到達地平は何か?
2003年国際連帯が始まった時に、動労千葉の組合員から率直に『俺たちとどういう関係があるのか?』という声が聞こえました。
今はどうか? 毎年11月集会には民主労総からは30人近くが集会に参加し、動労千葉の組合員を先頭に100人もの労働者が訪韓する。そして結婚式に招待されたり、お互 いが旅行に行く時も必ず立ち寄る関係になっています。日常の闘いと国際連帯が非常に近く感じられるようになっている。このことが決定的な飛躍だと感じてい ます。
到達地平という意味では、新自由主義の極致である外注化・非正規職化攻撃を同じ言葉と捉え方で語れるようになったこと。昨年はトルコの国際労働者連帯協 会(UIDーDER)の労働者が、彼らの友人や同じ職場の労働者が、10月10日の爆弾攻撃によって殺される状況にもかかわらず、中東の血の海の中から 11月集会に参加してくれました。そして動労千葉との強い共通の闘いを見出し、今年はトルコに来てほしいと強く訴えて帰っていきました。
トルコは人口7千万で、中東では有数の労働者階級の国で、UIDーDERは若い労働組合活動家の結集体です。彼らが闘いの課題にしているのは、毎年千人 を超える労災死亡事故を引き起こす新自由主義の攻撃に対する激しい怒りと闘い、帝国主義の侵略戦争に反対する闘い、クルド労働者民衆に対する差別を許さず 連帯していく闘い、この3つの課題に挑戦する中で、私たちとつながりができました。
つい最近、ブラジルのサンパウロ地下鉄労働組合から、民営化・外注化攻撃と対決する運輸労働者の国際会議を開催するので、参加してほしいと招請がありました。全部に対応できるか、今苦慮しているところです。
▽渡辺 動労千葉の闘いが世界の労働者から評価されてきたということですが、今後の課題は。
○山本 一番大きな課題は、安倍政権の東アジアでの戦争放火を絶対に阻止することです。それと対決する基軸は、職場から戦争協力を拒否 すること、そして国際連帯の圧倒的推進だと思います。民主労総、動労千葉、そしてILWUを中心とするアメリカの労働組合、中国の鉄道労働者との連帯が生 まれつつありますが、日韓米と中国の労働者がほんとの意味で一つになれば、東アジアでの戦争は絶対に阻止できます。
2番目は新自由主義攻撃の核心である外注化攻撃に対する闘い、共通の課題を世界的な課題に押し上げ発展させること。以上2つだと思います。
▽渡辺 ありがとうございました。