この文章は、05年動労千葉を支援する会総会(05.7.23)での動労千葉からの提起をもとにしたものです。JR東日本における羽越線事故の原因と責任を明らかにするうえで重要であり、ここに再録しました。
尼崎事故と動労千葉の闘い
田中康宏 動労千葉委員長
はじめに
どうご苦労様です。冒頭、本当に長年にわたって動労千葉のたたかいを支えていただいて心から感謝いたします。あらためて支援する会総会などで感じることは、これは動労千葉だけでがんばってきた闘いではなかったんだなということです。みんなが動労千葉を中心にして支えていただいたことが今日の動労千葉があるということで、本当に感謝したいと思っています。
今年は国鉄分割・民営化に反対して、第1波のストライキをやってからちょうど20年になるわけで、本当に一昔も二昔も前ということなんですが、私達は昨日のことのような思いで闘っています。ということは、あの時から何も思いを変えていないということで、これも皆さんのご支援があったおかげというふうに感じています。
昨日も支援する会で市川の駅で、17回目のビラまきになるかと思うんですが、安全運転行動が始まってからということですね。やっていただきまして、ものすごい反響だったと聞いています。ビラまきといっても、ビラをまけないほど通りかかった人達が話しかけてくるというんですね。まいたビラはレールがガタガタになっているビラなんですが、別にカンパを集めているわけではないんですがカンパをおいていったり、「署名をやっていないんですか」ということを言ってきたりということです。
今朝、市川のビラを受け取った若い女性の方から電話がありまして、このビラをもってすぐに駅長室に怒鳴り込んだらしいんですね。だけどろくな対応をしてくれなかったらしくて、「今度は警察に行こうと思っているんですが」という話で電話があって、「警察に行ってもたぶん警察はJRに行ってくれということで終わっちゃうから」と言うことで、国土交通省と県の交通計画課の電話を教えて、ぜひここにお願いしますということをいったら、「必ず行きますから」という話でした。
つまり安全運転行動はみなさんのビラ撒きなどの力もにあって、これまでにない反響を呼んでいます。
たぶん皆さんもそうだと思うんですが、世間から何と言われようとゴリゴリがんばるという感じでがんばってきた人が多いと思うんですが、動労千葉が闘いをやってこれほど周り中から支援をされた闘いというのは結成以来、初めてのことです。これは時代がそういう時代にきていて、みんな尼崎事故とか、このレールの現状のなかから社会のあり方がおかしくなっているということを敏感に感じとっているんですよね。「俺たちも殺されるかもしれない」、そういう憤りというか怒りの声が渦巻き始めているということの現れだと思っていますので、確信を持って進みたいと考えます。
安全運転行動と不当処分の発令
7月19日、処分発令
さて、私の方からは国鉄闘争の現状、あるいは尼崎事故闘争等について、そこに絞ってお話をさせていただきたいと思います。実は皆さんもご存じのとおりで、7月19日から21日にかけて、安全運転行動に対する不当処分が出されました。不当処分は本部執行部、役員ですね。8名に対する厳重注意という不当処分でした。厳重注意というのは就業規則上からいうと、一番低いランクの処分で、しかもこの行動を行った現場の運転士、組合員を処分することができずに、本部執行部だけの指導責任をとうという処分です。
もちろん、処分は処分で、どんな軽い処分でも満腔の怒りを込めて弾劾しなければいけないと思うんですが、結局JRはこの処分で墓穴を掘ったと考えています。社会全体に恥をさらした、こういうことじゃないかというふうに私は考えています。もう困りに困って困り果てて、しかし処分しないわけにはいかない。それが今回の処分だったんだろうというふうに思うんですね。
当たり前の闘い
しかし僕らはこれがいったい何を示すのかということについては、本当に真剣に考えなければいけないというように思っています。今回の処分の一番の特徴は何かというと、尼崎事故という現実が目の前にあって、つまり107名の命が奪われたという、JRにしてみれば107人を殺したという、これだけの重さがあって、それに対して動労千葉がやったことは何かというと、当たり前の闘いでしかないわけですね。だから動労千葉も今回、安全運転行動と名前をつけましたが、安全運転闘争というにはちょっとはばかられたわけですね。これを闘争というにはちょっと恥ずかしいかなという感じで、安全運転行動というふうに言ったんですが、やっていることはご存じのとおり回復運転をしないとか、無線で運転の通告があった時には列車を止めてメモをとって受けるとか、最高速度を厳守しようとか、特にレールがひどいところは組合で運転速度を決めて、減速闘争、安全闘争をやりなさいということを2ヶ所やっただけの話で、別に遅れがそんなに出ているわけではありません。1分程度です。
安全ということそのものを処分
つまり安全ということそのものを処分した、処罰したというのが今回の当局の処分の特徴だと思っています。8名が処分されたわけではないんですね。労働組合が安全という問題で発言するということ、ものを言うということ、必要最小限の努力をするということ、これ自身を認めないということですから、どんなに危険だろうと、人を殺そうが何をしようが、会社の命令通り、「お前らは走っていればいいんだ。労働者なんて、そんな存在にすぎないんだ」という意味を込めた処分だというふうに考えています。ですから動労千葉としてはこの不当処分、軽い処分だというふうに思わずに、ここにJR東日本の、つまり安全よりも組合潰し、安全よりも営利優先という腐りきった経営姿勢が一番鮮明に現れている。分割・民営化の結果生まれたことがこの処分に全部現れているんだよということを、全体に訴えていきたいというふうに考えています。
動労千葉の正当性が満天下に
その一方で、今度の処分は動労千葉が闘って、いまも継続をしていますが、安全運転行動、動労千葉の主張し続けてきたことの正当性を、本当に満天下に明らかにしたんじゃないかと考えています。
実際考えてみると、JRが安全運転行動を開始後、やったことは何かというと、これもご存じのとおりでしょうけれども、動労千葉の運転士が出勤すると点呼の時に「あなたのやろうとしている行為は違法行為です。厳重に処罰します」という点呼を受けて乗務するということが今日も続いています。もう2ヶ月間、延々とそれをやって、動労千葉の組合員のところには2名の管理者がくっついてまわって、運転台にのってきて、べったり後にくっついて、速度メーターをのぞき込んでメモをとって、監視、ストーカーするという中で乗務するということをやっているわけで、つまりもうすでに2ヶ月ですから、少なくても数千人の管理者をそのためだけに朝の4時ぐらいから夜中の12時過ぎまで動員し続けているということなんですね。その結果の処分が本部執行部8名に対する厳重注意ですから、これは釣り合いようがないですよね。どう考えても釣り合いようがないわけで、ですから動労千葉のたたかいということが本当に正当で、本来だったら処分のしようのないものだということをJR自身が社会に本当に明らかにしてくれたんじゃないかと思っています。今日、電話をいただいた若い女性の方も「処分された運転士さんがかわいそうです」と言うんですけれども、「僕らは大丈夫ですから」と答えておきました。
明るい!?処分弾劾集会
動労千葉は一昨日、この処分に対する抗議集会をこの会場を満杯にしてやりまして、これからも処分が積み重なるかも分かりません。積み重なろうが安全運転行動は断固継続するということを全体で確認しました。安全に関する問題だけは、ここでもし動労千葉がこれを譲ったとしたら、動労千葉は動労千葉の看板を下ろすしかない。これは乗客と乗員を守ろうという行動で、しかも本当にささやかな行動にしかすぎないわけで、この闘いの旗を降ろすわけにはいかないということも確認して、明るい処分弾劾集会をやって新しい闘いに入りたいと思っています。
尼崎事故は我々に何を突きつけたのか
労働組合の問題
さて、もう一度あらためてごく簡単に尼崎事故という問題について考えてみたいと思っています。今日、別に詳しい話をするつもりはまったくありません。尼崎事故という大変な現実が私達につきつけたことはなんだったのかということについてです。もちろん原因をいえば数限りなくあります。でも、結局つきつけたのは労働組合の問題だというふうに僕らは考えています。
つまり労働者の団結がつぶされて、今の民営化路線、小泉とか奥田とかがやっている市場原理で突っ走る、社会全体を競争原理で、弱い者は全部切り捨てていく。こういうことが労働組合の団結を破壊することで暴走しているわけですよね。つまり労働組合の団結が破壊されたら何が起きるのかということ、自分たちがどういう目に遭うのかということ、これをつきつけたのが尼崎事故だったと考えています。
ですからこれはJR西日本だけの問題ではないことはもちろんですし、東日本、貨物とか、JRだけの問題ではないことははっきりしているんですね。
社会全体があれと同じことが起きてまったくおかしくない状況に全部がたたき込まれているということだと考えています。もちろん起こり方は違うでしょう。だけどよく考えたら、たとえば私はよく言いますけれど、今生活保護世帯が100万世帯、143万人。100人に1人以上がそうなっている。この現実自体が尼崎事故とどこが違うんだということです。この10年間で無権利の非正規雇用に突き落とされた労働者たちが数百万人。10年前から比べると倍になっている。この現実とどこが違うのかということです。
世の中で発生している膨大な労災事故はもちろんですけれど、結局労働組合の団結が破壊された結果、世の中全体がこうなっているじゃないか。そのある種の象徴が尼崎事故で、それに過ぎないんじゃないかということです。だからこれに対する闘いというのは、単に尼崎事故という個別に起きた問題に対する闘いだけじゃなくて、本当に普遍的な意味を持つ、そういうふうに尼崎事故をとらえています。
動労千葉も問われた
それと尼崎事故の問題で問われたのは、動労千葉自身でもあったわけですね。言うまでもなく尼崎事故は国鉄分割・民営化という犯罪的な政策の結果、ある意味で言うと必然的に行きついた事故です。だから僕らはまさかこういう形で、という思いもありましたけれど、驚かなかったんですよね。こういうことになるんだというのは目に見えていたのが現状です。
だけどあれは国鉄分割・民営化の結果だというふうに批判することは、マスコミだって多少はやっていますし、言うのは簡単です。「営利優先がこういう事故を起こした」「安全軽視の経営姿勢がこういうことを起こした」。だけど現実に考えた時に、100万べんそう言ったところで物事は一歩でも前進するのかということが動労千葉自身に問われたというふうに考えています。
つまり単なる口舌の徒に終わるのかどうかということですね。ですから動労千葉としては安全運転行動という形で、具体的な闘いの行動を起こさなければいけない。それこそさっき言ったとおりです。「労働組合の看板を下ろすしかなくなるんだよ。口先で批判することは簡単じゃないか」、そういう思いで安全運転行動を開始しました。
「闘いなくして安全なし」
その中であらためて動労千葉が掲げてきた「闘いなくして安全なし」という、これはスローガンはその時代時代、状況状況で変わりますけれど、このスローガンだけは過去から現在まで、これから先も絶対に変えないスローガンですよね。日教組で言えば「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンと同じぐらいの意味を持っているということですけれども、この持つ意味を動労千葉があらためて考えさせられました。
それはどういうことかというと、このスローガンはそもそもはじめから動労千葉のスローガンだったわけではないんですよね。これも皆さんご存じだとは思います。炭労という炭鉱の労働者達が掲げてきたスローガンだったわけですね。ご案内のとおり、落盤だとか炭塵爆発だとか、仲間が無数に殺され続けて、そういうひどい条件の中で働かざるをえなかった炭労の仲間たちがこのスローガンを掲げて闘いを起こして、このスローガンを中心に団結をして本当に強い労働組合に生まれ変わり、そして最終的には労働協約をかちとり、労働組合が危険だと判断した時には労働者は炭鉱に降りなくていいよ、ここまで来て労働の安全が守られた。その炭労の仲間たちも、あの60年の三池闘争でガタガタに団結を崩された結果、3年後には大炭塵爆発を起こして、これは三池の閉山を免れた三川坑という鉱山ですね。500名近い労働者の命が奪われている。
安全運転行動で再確認したこと
労働組合の死と再生の問題
だからその意味で言えば、事故、安全という問題と労働組合運動というのは、これは労働組合の死か再生かという問題です。労働組合が潰されたら3年間で500名が殺されるという、こういう現実の中でそういう重みをもったスローガンが「闘いなくして安全なし」なんだということを、動労千葉自身、あらためて尼崎事故という現実を突きつけられて、自分たちが安全運転行動に立つなかで確認したということなんですね。
これは今の労働者がおかれている現実を考えれば、先ほど言ったとおりです。戦争と民営化、労組破壊攻撃が社会全体に蔓延しているということを考えた時に、かつての三池闘争の時以上の痛切な問題を突きつけているんじゃないかという思いで今闘っているわけです。
11月集会の成功の展望を切り開く
ですからこれは絶対、無数の労働者に通用するということを、この闘いのなかで確信したわけですね。「こういう闘いをやらなければいけないんだ」「労働組合はこうなんだ」ということは、今まで動労千葉のことを色メガネで見ていたような労働組合だって、この闘争だけは「がんばってますね」というのがこの間、物販のオルグなんかでまわった感覚です。だったらこのもとに結集して、この力を11月集会に結集しようという展望も切りひらいたような思いでいるわけです。
尼崎事故以降のJR職場の現実
携帯メールで即解雇
さて、こういう思いで安全運転行動を闘っているわけですけど、それから以降のJRの職場の現状ということについてなんですが、これも「やっぱりこういうことなのか」ということを動労千葉としてはあらためて再確認する思いで、今のJRの職場の現状ということを見ています。つまり尼崎事故が起きてから、JRの職場の現状というのは、世間ではどう見ているかというのはあるんですが、たぶん「多少なりともJRとはいっても、安全のことを少しは考えているんだろうな」とか、日勤教育だとかああいうことがいっぱい問題になったですよね。「あんな非人間的に労働者を痛めつけて、回復運転に駆り立てるようなことは多少緩んでいるんだろうな」というふうに世間の人は見ていると思うんですね。 だけど実際職場で起きていることは逆です。いったいこれはなんなのかということなんですね。千葉運転区という職場で、25歳の東労組の若い運転士が、運転台で携帯電話でメールをやったというだけで即刻解雇になりました。尼崎事故以前だったらこんなこと、ありえない問題です。
非和解的関係
つまり尼崎事故ということは、分割・民営化政策の大破産なんですよね。JR体制は分割・民営化政策が破産したということを絶対に認めることはできないですよね。できない結果どうなるかというと、徹底的に労働者を締め付けるという道しか残らない。つまり尼崎事故以降、職場の状況というのは完全に非和解的関係になっているということです。
結局今、労働組合運動を本当に再生させようという闘いをやっている僕らの闘い自身が、こういう状況の中なんだと。日本の国家ということを考えたら、戦争をする以外に道はないという、つまり国家としての破産ということを認められない以上、徹底的に労働組合運動を破壊して、戦争に突き進む。だけど矛盾を抱えているのは全部向こうの側であって、いつ足元から崩れてもおかしくない。こういう関係のなかに僕らがいて、この壁を突き崩すかどうかなんですよね。そのことも全然運転行動に立ってみて、あらためて僕らは学ばされたことです。だから動労千葉の運転士に2名ずつ管理者がくっていてまわっているということをやらざるをえない。こういうことも含めて、ここには大きな展望が開かれているということですね。二進も三進もいかなくなっているということですね。
闘いが切り開いた成果
20㎞のレール交換を約束させる
さて、闘いは大きな成果を切りひらいています。レール交換みたいなことなんですが、僕らはどちらかというとレールを交換したところで、根本のところは解決がついていないと。つまり業務の全面的外注化が解決つかなければ成果としても言えないなという感じで考えていたんですが、7月15日の1047名の集会があった時に、演壇の裏で皆さんご存じだったと思うんですが、立山学さんという、JRの安全問題ずーっと追及していて、本なんかをいっぱい出している人に、「委員長、これはすごいことなんですよ」と言われて、あらためて「ああ、そうか」というふうに受けとめました。「これはイギリスの国労だってできなかったことなんですよ」というんですよね。つまりイギリスの国労の委員長があいさつに来ていましたけども、まったく同じ状況があって民営化された結果、レールが折れて何度となく脱線転覆事故が起きて、何十人という死者を出す大事故を繰り返したんですね。その結果、イギリスの民営化された鉄道会社は、その損害賠償に耐えきれなくなって、倒産しちゃうんです。今、再国有化という問題になっていて、その過程でイギリスの国労というのは一回民営化で徹底的に団結を破壊されたんですが、息を吹き返して、今200万をロンドンで集めた反戦集会などを組織したのはイギリスの国労中心だったんですね。つまりイギリスの戦闘的労働運動の牽引車になっているんですが、実際にはイギリスの国労だって、自分たちの闘いでレールの交換をさせるということはできなかったんですよというんですよね。ああ、そうかと。やはり2年間、去年以来ですけれども、2回のストライキと2回の安全運転闘争で総計20キロからのレール交換で、今管内あっちこっちで大変な勢いでレール交換工事が始まっていますけれども、これは「闘いなくして安全なし」だということを再度確認しました。
「給料よりも仲間が大事ですから」
もう一つはこの闘いの渦中で19歳の若い仲間が動労千葉に結集をしたということです。やはり労働者の気持ちが動いているということなんですね。19歳ですから級が一番下ですし、動労千葉に入ったらこれで給料が上がらないということを承知で、腹を決めて来たということはすごいことなんですね。「給料よりも仲間が大事ですから」と言ってくれた、その思いに僕ら自身が大きな責任を負ったわけですから、絶対にこんなJR体制を打破して、内山君というんですが、「ウッチーの給料を上げてやるからな」と約束もしましたから、これに続く流れを絶対つくりたいと考えています。
これも結局は、損得のことを考えたら東労組にいた方がいいと決まっているんですよね。昇進試験を受ければ昇進する。給料も上がっていく。会社からもいじめられない。だけど労働者は損得で動くんじゃないんですよね。動労千葉にいたら処分もされる、配転もされる。それを百も承知で、そのことを目の当たりにして職場の中の現実を見ながら来てくれた。
これだって今、別にJRという職場のなかだけのことでは絶対ないと思っています。労働者は我慢できなくなっているんですよね。なんでこんな現実なんだ。やはり一番大事なことは、労働者がもっている思い、つまり労働者である以上、仲間け落としたって一銭でも給料がほしいなという思いだってもっているはずなんですよね。だけど正義の闘いには命をかけるというのも労働者じゃないですか。人間は両方持っているのを、僕らがどっちを引っ張り出せるのか、こういうことだということを、今回の闘争と内山君の加入という問題のなかから感じました。
すごい反響
それともう一つは、ものすごい反響の闘争となったということですね。これはごく普通の市民ということだけじゃなくて、労働組合のレベルなんかでもそうです。これを否定できる労働組合はどこもなくなったということなんですね。だから動労千葉は過激派だとかなんとかと言われてきた動労千葉のイメージが、たぶんこれで一新したんじゃないかと思いますので、全力で11月集会に結集していきたいと思っています。
国鉄-JR労働運動の現状
全ての勢力が瓦解状況
1047名闘争も含めた国鉄、JRにおける労働運動の現状ということです。一言だけです。実際上は大変な危機にあります。国労もそうですし、もちろんJR総連、鉄産労、あらゆる労働組合がなすすべなく展望を失って、方針を失って、転向しようとしています。歴史的に見てくると、労働組合に解体させられた時に起きるようなことが全部で起きています。それが現実なんですね。
たとえば国労にしても、例の4党合意なんかでチャレンジグループだとか共産党の幹部達が、ゴリゴリ反動的に突っ走っていた頃はまだしもだったんですよね。いいとは言いませんよ。だけどそれなりに反動的方針をもってゴリゴリ突っ張った。そういうものすら一切なくなっちゃっている。
東労組もそうです。革マル的にごりごりと逆らう人間を組織のなかでも徹底的に反組織分子なんてやっていたことはまだしも、なんの方針もなくなっている。労働組合の崩壊過程で起きることが、全部で全て起きているという現状です。
これは一時的、あるいは個別的なものではないんですよね。大きく言うと、帝国主義の危機という情勢、歴史的なあらゆる勢力がふるいにかけられて、分岐するという状況の中で、国労も東労組革マルも鉄産労も、全部がこれまでやってきたことが通用しなくなって、自分で瓦解始めているということです。これが簡単に言うと国鉄労働運動の現状じゃないかと思っています。
崩壊から再生へ
しかし国鉄労働運動の再生ということを考えたときに、一回全部崩壊しなかったら、再生しないんですよね。その意味で言えばもう一回、国鉄、JRの労働運動が新しい一歩を踏み出すのかどうかという、結局解体されて分割・民営化は成功だったといって終わるのか、本当に新しい芽がでるのか、それが潰されるのかというところにいよいよ来たんじゃないかというように私としては感じています。だけどここにはすごく大きな可能性がある、そのことを今回の安全運転行動のなかなどからつかみ取ったわけで、この時期にこの闘争をやったということは、今から考えると本当にまちがっていなかったと。
国鉄分割民営化の総決算攻撃
こういう状況の背景にあるのはなんなのかということです。それは国鉄分割・民営化の総決算という状況なんですね。再来年4月、あと1年半で分割・民営化20年です。結局、政府の側も決着をつけなければいけない。国鉄分割・民営化闘争というのは今でも延々と続いている。動労千葉も小さいながら存在している。つまり決着がつかなかったんですよね。20年ということをたぶん見すえているんでしょうが、完全に決着をつけるということを今始めています。だから国労東エリア本部とJR東日本が和解するみたいなことが起きているんですね。和解して国労を完全に連合化する、こういうことまで起きてます。
これは、分割・民営化の時に、潰しきれなかった労働組合をもう一回潰すということです。ですから国労も東労組だってそうです。1047名闘争もそうだし、もちろん動労千葉もそうです。もう一回全部潰すということです。これは当たり前なわけで、たとえば今郵政民営化の問題で、自民党は大変な危機に陥っているわけですよね。だけどあれを突破口にして、国だろうが地方自治体だろうが、あらゆる業務を社会をローラーかけるように全部民営化する。弱肉強食の世の中にたたき込んで、労働組合を破壊する。行政権力機構のなかに労働組合の存在なんか認めないということをやっている時に、国鉄分割・民営化反対闘争が1047名闘争という形で継続しているなんてことを認めるはずがないんですよね。それが分割・民営化の総決算攻撃で、国労も鉄産労も東労組もこういう攻撃のなかで方針を失い、展望を失って組織が崩れようとしているわけです。
しかし再生は不可能ではない
別に威張って言うつもりはないんですが、動労千葉はこんな小さな力で、皆さんのこれだけの支援を受けながらここにいるということは、考えてみたら本当に大きなことなんじゃないかと。ここが結集軸になってもう一回国鉄労働運動を再生するということは、不可能じゃないんじゃないかということを実感として感じるんですね。そういう危機とチャンスがせめぎ合っているなかで、動労千葉はこれまでの闘いの旗を絶対にゆずらずに頑張り続けたいということをあらためて決意したいと考えています。
正念場の1047名闘争
「7/15集会」の画期的成功
さて、その焦点の1047名闘争なんですが、7月15日に国労の闘争団、動労千葉の争議団、全動労争議団、この三争議団の団結ということを中心にして、日比谷野外音楽堂で5800名が集まって、大きな闘いの成功を勝ちとりました。
実はこれまでの集会(昨年の日比谷公会堂であった4/17集会や日比谷野音の12/1集会にしても、)は、表面上はなんとかギリギリまで「1047名の団結」という形だけは維持していたがが、実際水面下であったのはなんだったかというと、口先では1047名の団結と言いながら、ずーっと一貫して動労千葉排除ということだったんですよね。これは闘争団のなかにもあった。あるいは共産党系、全労連などは露骨にやっていた。
これに対して、動労千葉としては柔軟かつ非妥協的に、「そんなことをして1047名闘争に勝てるんですか。1047名闘争は今だって国労はガタガタ。とにかく被解雇者が団結すること以外に勝利の展望はないじゃないですか」という論争を、この数年間ずーっと水面下では彼らと続けてきてきた。去年の12月の集会なんか、集会が開会されて、まだ楽屋裏でそういうことをやっていたんです。
だけど結局、その時突っ張ったのは全動労で、「千葉動労とは一緒にできない」なんてことを言うもので、周り中から「お前ら、いい加減にしろ」と全部動労千葉に着いてくれるような関係になった。
だけど今回の集会はそうじゃなかったです。そういう現状のなかで、「こんなことではこの闘争は勝てない」と、集会の中心になって呼びかけた人達、芹沢先生、山口先生、下山先生らの先生達が、「動労千葉の言うことはまったく正しい」と言ってくれた。つまりこの間の安全闘争のなかで、動労千葉の闘いを理解してくれたんです。
それで結局は「自分たちが呼びかけ人だから、責任をもってこの集会を仕切って、そんなことはさせません」ということで、動労千葉の本部までわざわざご老体に鞭を打ってきてくれた。動労千葉も、「ありがとうございます。私達も全力で協力します」と約束した。
そういう意味では激しい分岐のなかから新しいものがこういうふうに生まれてくるということを、これが7・15集会の一番の成果だったんじゃないかと考えているんですね。
動労千葉排除の策動に対して、僕らは途中で腹くくったんです。「こんなことだったら僕らは1047名から分かれる。9名を引いた1038名でやってくれ」と言って、そこまで腹をくくった。だけどやはり動労千葉の主張は通用したということです。
教基法改悪阻止闘争、20労組の闘い、1047名闘争
これと同じことが、たとえばどこで起きているかというと、教育基本法反対の画期的なナショナルセンターの枠を超えた統一戦線のなかで起きています。たとえば松山大の大内先生がこの前の集会(5/7代々木集会)での最後に「1047名の団結と、教育基本法反対の団結と、20労組の団結と、これを3つくっつけたら勝負になる」と発言したら、これに対して全労連、共産党が激しく反応して、「お前はなんなんだ」というふうになっているそうですし、20労組の問題も詳しくは言いませんけど、ここでも同じことが起きているんですね。つまり全部の運動に、動労千葉も参加し関係している、皆さんも関係し参加ている。
われわれ言っていることは正論じゃないですか。「ナショナルセンターの枠を超えて、本当に団結しよう」と言っているだけの話で、これが社会を動かし始めている。こういうことをこの間の闘いのなかで感じています。
激しい分岐と新しい流れ
つまり激しい分岐のなかから新しいものが生まれ出ようとしている情勢なんですよね。今度の尼崎事故反対闘争もそうです。こういうことが尼崎事故や郵政民営化法案をめぐっても、小泉骨太方針というのは公務員制度改革で、公務員労働運動解体ですけれども、敵の側はぐらぐらで、郵政民営化法案が通らなければ自民党が崩壊し、自民党が崩壊するということは民主党も割れますから、大政界再編が起きるということまで来ていて、われわれはそこまで闘いを前進させてきたということを、これは動労千葉だけじゃなくて、今日はみんなで確認したいということです。「いい線行っているじゃん」ということですよね。こんな小さな力だって世の中動かせるぜ、これだけ支持を受けている。言ってきたことが通用し始める時代に来たということじゃないですか。
11月集会1万人結集を!
とするならば、最後、11月集会に1万人を集めたいと。1047名、20労組、教育基本法、そして11月集会勢力と、日比谷野音に1万人ぐらいづつ集められる勢力が4つ集まったらこれは相乗効果で、もう10万ぐらい都心でも集まって小泉政権を倒そうぜ、というところまで今日、私達の闘いはきているんじゃないかと