今こそ現場から反対の声を
東労組が、ライフサイクル問題で、現場からの反対の声、怒りの声の前にあえぎ、右往左往している。「時がたてば、どうせ現場はそのうちあきらめるだろう」とタカをくくっていたのが、今回ばかりはそうはならなかったのだ。
会社との間ではすでに認めてしまっているにも関わらず、強引におし進めたら現場からの反乱が起きかねない状況の前に、進むことも、引くこともできない状態で「働きがいのあるライフサイクルを実現しよう」などと言って、現場をだまし続けているのが現状だ。
ライフサイクル提案は東労組にとっても、会社にとっても爆弾になろうとしている。こんなものを認めたら、現場の労働者は将棋の駒と同じになる。今がチャンスだ。もっと反対の声をあげ、この提案を葬りさろう。
「ライフサイクル」の真実1
改めて訴えるが、ライフサイクル提案は、会社と東労組の合意の上で、2001年に「組織*労働政策ビジョン」と称して、実は次のように、東労組の側から会社に逆提案されていたのである。
※駅→車掌→運転士のライフサイクルのあり方について検討し、多様なニーズに応えられる制度を実現します。 ※駅の将来像を主体的に想像し雇用形態のあるべき姿を確立します。 |
会社が最もやりたかった駅業務の外注化と「ライフサイクル」を、その意を受けて、組合が提案していたということだ。もちろんそのことは現場には全く知らされなかった。
この提案に基づいて、その後会社と東労組の間で検討され、具体的な形となったのが、今回のライフサイクルの深度化 + 駅社員を管理者と運転取扱い担当者以外は全て契約社員に大規模に置き換えるという提案だったのである。
裏では、組合員をだまし、ペテンにかけて、こんな卑劣なことが進められている。これがライフサイクル提案の真実だ。
「ライフサイクル」の真実2
ライフサイクル提案の意図は明白だ。駅要員(とくに運転取扱いのできる者)のパンクが目の前に迫っている。運転士の駅へのタライ回しでそれを乗り切ろうとするものだ。それに「ライフサイクルの深度化」だとか「輸送のプロをつくる」という理由をつけているだけのことだ。
実際千葉では、突然、何の前ぶれもなしに車掌が駅に強制配転されるという事態が相次いでいる。東京では、駅要員のパンクを埋めるために、支社の課員や地区指導センターの課員を駅員に臨時発令するしかない状態に至っているという。
これは、要員政策の完全な破産・失敗である。「どうせ駅など外注化するのだから専門職など育てる必要はない」という方針で20年間突き進んできたそのツケを運転士に回そうというのだ。
しかもそうした事態が、駅への契約社員の大量導入でさらに悪化することは間違いない。超低賃金で何の希望も未来もない契約社員は、何かあれば職場を辞めてしまう存在だ。それはすでに「グリーンアテンダント」で実証済みだ。
分割・民営化政策の破産!
過剰な要員削減により多くのキオスクがシャッターを閉めざるをえなくなっていることがマスコミで問題になっているが、このまま行けば、キオスクどころか、駅そのものがシャッターを閉めざるをえなくなる。これが分割・民営化から20年、JRの行き着いた姿だ。
この間、保線・電気・信号関係のトラブルが相次いでいる。極端な要員削減と、業務の全面的な外注化の結果、技術継承が途絶えた結果である。安全が崩壊しようとしているのだ。
運転士を駅にタライ回しするなどという安直なやり方は、当座の乗り切りにはなっても本質的な解決にならない。各系統の専門職を本気になって養成しなければ大変なことになる。
東労組が絶対触れない問題
もう一点、提案以降、東労組が絶対に触れない問題がある。それは、提案で、「賃金の取扱いについては成案ができ次第提案する」とされている点だ。提案からすでに半年以上が経っているというのに、この点については一切解明も求めなければ、問題にもしていない。
巷間言われているその内容は、キロ額・時間額等、乗務員関係の手当て廃止・切り捨てということである。これは全運転士の問題だ。全運転士の労働条件を抜本的に引き下げるという問題だ。
一体なぜこんな大事なことを問題にしないのか。なぜ解明すら求めないのか。こんなことをされたら、若い運転士は生活していくこともできなくなる。運転労働をここまで軽んじていいのか。ローンなどを組んでいる人は一体どうなるのか。絶対に許すことはできない。ライフサイクル提案を許すな。今こそ、JR総連と決別してともに闘おう。