「社友会連携協議会」の結成
JR東日本は社友会の組織体制確立に向けて動きだしている。会社は今年2月、各支社等で作った22の社友会代表を集め、「JR東日本社友会連携協議会」なる組織の立ち上げを確認している。社友会を全国的に連携した組織にしようとしているのである。
これは、そのひと月ほど前に、経団連が「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を出し、「40年ぶり」と言われる労働法制改訂作業が開始されたことを受けての動きだ。「受けて」と言うより、「経団連提言」をまとめた委員会の代表はJR東日本の冨田元社長であり、自らまとめた労働法制の抜本改悪案を先取りする形で動きだしたと言った方が正確かもしれない。
その抜本改訂とは、労働組合の存在や労働基本権(団結権、団体交渉権、争議権)を前提とした労働法制を解体し、社友会のような従業員代表組織と会社との関係で個々の労働者の労働条件を決定したり、労基法の定めを越えて働かせたりすることができるようにしようというものだ。
要するに労働組合を根本的に否定する労働法制にしてしまおうということである。
社友会路線の本質
2018年、JR東日本は、それまでは「労使一体」「一企業一組合」をうたいあげていた東労組までつぶして労組なき企業、労組なき社会をつくる攻撃に踏み出した。そしてそれに代わって労働者を支配する手段として作られたのが社友会であった。
「経団連提言」はその時点ですでに検討が開始されていた。つまりJRは「こうすれば労組なき社会をつくることができるんだ」というモデルを自分で示して見せ、それに沿って「提言」をまとめたのである。
その意図は、次のように深澤前社長が露骨に語っている。「日本の労働法制は、労働組合をメーンに作られていますので、社友会の活動はなかなか苦労しています」「当社くらいの規模の企業で、社友会という形でやっているというのは、前人未到の地を歩んでいるということです」と。
激変した職場、破壊された権利
社友会路線の下、職場は激変していった。鉄道は、運転・車両・保線・電力・信号通信等、様々な分野の技術力の養成・継承を前提に成り立っている。それにも係わらず、現業のすべての職名を廃止し、「IT化の時代には鉄道部門の技術力など過去の遺物」と言わんばかりの主張が大手をふるって主張され、「融合化」と称して労働者を将棋の駒のように扱うことが当たり前になっていった。
果ては200㎞にも及ぶ範囲で運輸区や駅を統合して「一事業所」としていく統括センター化が進められ、現場で働く者は、いつどこに、どんな業務に配転されるのか常にビクビクしながら働くしかなくなっている。労働者の権利や誇りが鴻毛のごとく軽く扱われるようになったのである。
もちろんこんなやり方が通用するはずもない。その矛盾は、あり得ないような技術的な事故や不正が激発する事態となっている。しかしJRは反省するどころか、社会全体を巻き込んで突っ走ろうとしているのだ。
「社友会は親睦団体」のウソ
会社は社友会を単なる親睦団体だと言っている。労働法改訂が済んで社友会が集団的労使関係の新たな相手方となるまではそう言うしかないからだ。親睦団体らしい事など一つもやっていないし、支社によっては「労働組合に加入している者の加入を認めない」という不当労働行為丸出しの「規約」を作ったところまである。職場では誰もが知っている通り社友会は親睦団体などでは断じてない。
誰もがうんざりしている。一方、例えば千葉支社の社友会代表がどう選ばれているのか、そもそも一体誰なのかすらほとんどの者が知らない。目に見えぬJR資本の圧力だけを根拠に成り立っている組織だ。
しかし、そのような組織の体をなしていない状態の下ですら、職場がどれほどメチャクチャに破壊され、労働者の権利がどれほど奪われていったのかは誰もが知っている。
社友会を大手を振って歩かせてはならない。声をあげよう。その声を大きくしよう。社友会を拒否しよう。社友会を解体しよう。社友会路線による労組破壊を許すな。労働者の団結をとり戻そう。労働者同士が競い合うことをやめて団結すること、それが労働組合の原点であった。それによって初めて悪どい経営者・資本家たちに立ち向かうことができるようになったのだ。闘う労働組合を甦らせよう。動労千葉に結集を!