ガザでなにが起きているのか

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5月28日、「今こそ、この戦争を見よ! 改憲を阻もう!赤紙裁判員制度廃止5・28集会」で、 岡真理さん(早稲田大学文学学術院教授)の講演を拝聴する機会を得た。「戦争さえなければよいのか―ガザのジェノサイドと私たち」と題して岡さんは、まず現在のパレスチナ・ガザの状況について話しはじめた。

「生きながらの死」
昨年10月から開始されたイスラエルの攻撃は、最初の一ヶ月で広島型原爆2個相当分の爆薬が投下され、230万人の人口のうち200万人が住む家を追われ、死者3万5千人(うち4割が14歳以下の子供)、行方不明者1万1千人(5月現在)。食料も水も電気や燃料もなく、避難所や病院も爆撃を受け、まさに「生きながらの死」が強制されている。
これはまさしくジェノサイド(集団殺戮、民族浄化)そのものだ。しかし、日本をはじめ世界ではそのような報道はされない。「テロと報復の連鎖」「憎しみの連鎖」「ハマス対イスラエル」 などという「どっちもどっち」的な描き方で、イスラエルの圧倒的な暴力を肯定している。

 イスラエルとは何か
しかし、10月7日のハマスらのイスラエルに対する越境攻撃は、決して真空状態のなかで起きたわけではない。パレスチナの地へのユダヤ人国家「イスラエル」の建国宣言(1948年)以降、76年にわたるイスラエルの入植―占領と封鎖という暴力の歴史が続いてきたことをはっきりさせなければならない。しかもこの過程で何度も激しい大量殺戮、爆撃、発電所や大学、病院などの破壊、ガザ地区の17年間に及ぶ封鎖(『天井のない監獄』)が強いられてきた。閉ざされた種子島ほどの大きさの地域に陸海空から爆撃を行うイスラエル。
これに抵抗するパレスチナ人民の暴力は「テロ」なのか? 国際法違反でもあるイスラエルの占領・封鎖という暴力こそ、まず問われなければならない。しかし「国際社会」は、見て見ぬふりをし、それを承認してきたのだ。停戦すれば―戦争(殺傷・破壊)さえなければよいのか、この問いかけに今こそ向き合わなければならない。

500年に及ぶ帝国主義の植民地支配
「いまガザで起きていることは、植民地支配という歴史的暴力からの解放を求める被植民者たちの抵抗と、それを殲滅せんとする植民地国家が、その本性をもはや隠すこともせず繰り出すむき出しの暴力の間の植民地戦争だ。」この暴力は近代500年の帝国主義による植民地支配という歴史的視野からみれば、なぜアメリカが、「西側」諸国が、日本が、イスラエルを応援しているのかがわかる。「『国際社会』とは、ひとたびも植民地主義を反省したこともなければ、思想的に脱植民地化もしていない、これら植民地国家のカルテル」だからだ。(『世界 2024年1月号』 岡真理 一部要約)
息継ぐ間もなく早口に90分語り続けた岡さんからこの現状に対する激しい怒りと切迫感が伝わってきた。

今こそ反戦闘争へ!
日本もかつて中国・アジアを侵略し植民地支配した負の歴史をもっている。その深刻な反省すらないまま、2014年、日本はイスラエルと共同声明を出し、軍事協力・開発を進めてきた。そして今、「台湾危機」を煽り、武器・弾薬の共同開発や輸出、自衛隊と米軍の指揮権の連携、共同軍事訓練など、一挙に戦争のできる体制へと突き進んでいる。
千葉では来年、幕張メッセで武器見本市が予定され、そこにはイスラエルの軍需企業も参加するという。こんなことは直ちに止めなければならない。中国侵略戦争への動きが切迫する今こそ、反戦闘争に立とう!

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