「シカの首を切れ」は「適切でない」 9/26獣害問題団体交渉(千葉支社)

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9月26日、動労千葉は獣害問題についてJR千葉支社との団体交渉を行った。交渉において、抜本的な獣害対策、ワンマン運転・無人駅化撤回を求めるとともに、シカとの衝突事故で指令員が乗務員に対して「首を切れ」と指示した問題について追及した。

獣害の発生状況について

組合 近年の獣害の発生件数は?

会社 内房線での発生が多く20年度130件、21年度と22年度は100件だ。外房線ではこの半分以下くらいの数、総武本線・成田線は若干数だ。今年度は7月末時点で70件弱発生し、うち内房線が40件。内訳はイノシシが15、シカが50だ。

組合 輸送障害の程度はどうか。

会社 小動物との衝突の輸送障害については10分程度の遅れだ。徒歩で車両の状態や床下を確認し、「車両故障で走れない」という状況ではなかった場合だ。

組合 車両が破損した件数はどうか。

会社 その場で動かせず処置が必要なものは年間1回あるかどうかだ。具体的に内房線で車両故障に至ったものは、

  • 23年1月14日17時ころ、E131系車両(2両編成・ワンマン運転)が内房線・佐貫~大貫駅間でイノシシと衝突し、空気溜めが破損した。救援列車を仕立てて救済運転をした。
  • 22年3月19日18時台、2両E131系車両(2両編成・ワンマン運転)が内房線・浜金谷でイノシシと衝突して、ブレーキ制御装置が破損。救済運転はなし。
  • それ以前では20年や18年になる。
  • 救済運転に至ったのは23年1月のみ。

組合 故障に限らず時間がかかったものはあったか?

会社 23年6月17日20時台、2両E131系車両(2両編成・ワンマン運転)が竹岡~浜金谷間でシカと衝突して約60分遅れた。シカの除去に時間がかかった。

獣害への対策について

組合 抜本的な対策を始めたのは20年か。

会社 そうだ。シカソニック設置(音での対策)、忌避剤の散布(匂いでの対策)は一定の効果がある一方、シカやイノシシの頭数は増えている。

組合 沿線の枝や竹が列車にあたるという声が乗務員から上がっている。除草などの対策はしているのか。

会社 除草は年間計画で対策している。

組合 件数は多いと判断しているのか。

会社 少ないと思っているわけではない。対策が必要という認識だ。

組合 他区間にも対策は拡大するのか。

会社 内房線のように急増すれば必要だ。

組合 獣害があると思いながらの運転はプレッシャーだ。「運転したくない」という声もある。早めに対策すべきだ。

会社 乗務員の声に対応し対策している。

会社「適切でない」と認める

組合 23年6月17日の衝突の際、指令員が「首を切れ」と指示したと聞いている。

会社 シカが2号車(先頭車両)第3車輪(2軸目)に挟まった。駅や関係箇所にも連絡しつつ対応していたが、なかなか取れなかった。停車時間も長くなり、指令から「車両に搭載してあるノコギリでシカを切ることは可能か」と聞いたことは事実だ。「切れ」とは言っていない。

運転士は「切り落とすということか。それは大変だ」と返した。「切り落とす」という話が出たことは適切ではない。全指令員に周知し改めて指導している。

組合 ノコギリは何に使うためにあるのか。

会社 樹木の伐採だ。

組合 なぜ「首を切る」という話になるのか。感染の問題もある。それ自体が恐ろしいことだ。

会社 それはその通りだ。適切な表現ではないと考えたので、危機感を持ってすぐに指導した。

組合 挟まった場合の対応は、基本は小移動をかけるということか。

会社 基本的には小移動だ。必要ならば関係社員を呼ぶこともありうる。

組合 今回は他部署の出動はなかったか。

会社 手配は並行して行った。最終的には小移動で外れたので出動はなかった。

組合 「適切でない」というより強い言葉で表現するべきではないか。当該の指令員個人の問題ではなく、指令長含めた指令という組織の問題だ。

会社 一人の指令員に責任を負わせるつもりはない。指令として適切でないやり取りがあったことは事実だ。別の指令員がそうした指示をしないよう指導した。

組合 獣害は乗務員の負担になる。抜本的にはイノシシ等が出ない対策が必要だ。また、起こってしまった場合のことも考える必要がある。ワンマン運転や駅無人化を撤回するなど、「いろいろな対策」があるはずだ。君津以南の駅は夜はほぼ無人だ。検査派出も木更津と鴨川にしかない。そうした全体的な問題だ。

(以上)

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