4月26日の日経新聞が「JR東、鉄道を持つIT企業に」という見出しで特集記事を報じた(26日から上中下の3回シリーズ)。この間、職場でさかんに叫ばれている「モードチェンジ」「変革のスピードアップ」の正体をあからさまに暴露するものだ。
深澤社長らはJR東日本を、鉄道会社でなくIT企業に変えてしまうというのだ。鉄道事業に従事するものは会社の“傍流”として扱い、ビッグデータや保有不動産を活用した金もうけこそが一切だという姿勢だ。
銀行設立、客の囲い込み
記事では、スイカの発行枚数(9300万枚超)は、楽天やヤフーのID登録者数に匹敵する数だが、そうした「資産」が十分に生かせていないとし、来年春には「JREバンク」なる銀行を立ち上げて紐づけ「広域デジタル経済圏」で囲い込むことに注力、他方、駅や駅周辺で保有する不動産を転がして利益を追及するとしている。
現在、運輸業の利益率は1%で、流通・サービス(14%)、不動産・ホテル(23%)に劣るとし、非鉄道部門の収益を5割にまでもっていくとしている。
この数年の間に進められてきたJR東日本本社を筆頭に、末端のグループ会社にまでいたる組織再編の目的は、こうした「IT企業化」に置いているということだ。
鉄道業務は4千人減、
1000億円カット
鉄道業務はどうなってしまうのか。それは、「鉄道事業の放棄」とすら言えるものだ。
通常の車両運行には、とことん「人手のかからない」運行を追及。JR東日本管内の駅は5割弱にあたる約760駅が無人駅だが、さらに無人化を進める。鉄道事業の社員数は4000人削減。2025~30年にも山手線を始め都心部でのワンマン化に踏み込む。新幹線の保線では、レールや設備のモニタリング車両の導入で、目視による点検作業を50%削減する。地方ローカル線は、国と一体となって徹底的に切り捨てる。こうした施策で28年3月期までに鉄道業務のオペレーション費用を1000億円削減する目標を掲げている。
「20%は別の仕事を」
こうしたコスト削減、人員削減と一体で、22年1月には業務時間の2割を普段とは違う仕事にあてる「20%ルール」を導入。
すでに、千葉支社管内の本線乗務員に対しても3月ダイ改で行路に「その他時間」が導入され、駅業務や企画業務、車両の清掃を行わせる攻撃が始まっている。7月には全駅が(営業)統括センター化され、統括センターに組み込まれていない千葉・蘇我・佐倉・習志野運輸区の全乗務員(本体エルダー社員除く)を対象に営業統括センターとの兼務発令が強行されようとしている。
本線乗務員、駅、検修、設備、さらにグループ会社などで働くわれわれは、一日一日、定時運行や安全運行を神経をすり減らしながらを守りぬいているのだ。こうした仕事を「傍流」「片手間」「儲からない仕事」として扱い、とにかく「新たな価値の創造」(=金もうけ!)のことを考えろというのは本当にふざけ切った話だ。
JR東日本の「IT企業化」は、1987年の国鉄分割・民営化、2000年以降の業務外注化の開始と匹敵するような大転換であり、鉄道業務を最後的に放り投げ、次元を超えた分社化・転籍、JR東日本の“ホールディングス化”を一気に進めるものだ。安全はとことんないがしろにされ、労働条件の破壊、「労組なき会社化」の完成を狙うものだ。
いまこそ闘う労働組合が必要だ。動労千葉に加入し、JR東日本が開始した大転換攻撃に共に立ち向かおう。