全組合員の力で実現した春闘ストの地平(中)

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全組合員の力で実現した春闘ストの地平(中)

我慢できない現実に

この団結で立ち向かう

歴史的転換点としての02春闘


02春闘でで何が起きたのか
 すべての労働者を襲った嵐のような賃下げ攻撃、そして労働組合の総屈服・・・02春闘をめぐって起きたことは、まさに戦後60年あまりの歴史を画する事態であった。われわれは労働者の生きる権利そのものを奪い尽くすような攻撃に対し、労働組合は何のために存在しているのかをかけて3/28〜30ストに起ちあがった。02春闘の過程で起きた事態は何を意味するのか。その本質を今一度真正面から見すえなければならない。
 日経連は02春闘を前に賃下げと首切り、終身雇用制の解体を宣言した。そしてこの方針を例外なく貫徹するために、1兆円という途方もない史上空前の利益をあげるトヨタのベアゼロ回答によって、資本の側の尋常ならざる決意・意志を示したのである。これによって事態は一変した。これはこれまでの賃金や雇用のあり方を全て突き崩す宣言であった。
 電機や鉄鋼などでは「定昇は維持する」という回答をした直後に間髪入れず「春闘とは別の新たな提案」と称して、まさにだまし打ちとしか言いようのなやり方で賃下げが通告された。まさに労働組合の存在そのものを根底から否定しさる賃下げ攻撃があらゆる企業、産別で吹き荒れたのである。
 更にNTTのように、11万人=実に8割に及ぶ労働者を転籍・出向に駆り立て、15〜30%も賃金を切り下げるという、これまででは考えられなかった乱暴極まりない雇用・賃金破壊攻撃が吹き荒れている。
 そしてJR東日本を含め、JR各社全てがベアゼロ回答を強行し、JR総連は唯々諾々とこれを受け入れ、裏切り妥結した。貨物はすでに来年4月から「賃金制度を白紙的に見なおす」ことを明らかにしており、西日本は「今後はベアという考え方はもたない」と公言している。こんなことを容認したら、東日本も含め来年には定期昇給に手がつき、これまでの賃金制度が解体されることは間違いない。

終身雇用制の解体−歴史的な転換点
 資本の側はこれまでの構えを根本から変えたのだ。「終身雇用、年功制賃金、企業内労働組合」を軸とした戦後の労資関係、すなわち労働者支配の基本構造は歴史的な転換点を迎えた。
 上場企業に対して行なわれた調査では、実に53.9%の企業が「終身雇用制を見なおす」としている。
 これは日経連が1995年のプロジェクト報告で提起したとおり、すべての労働者を不安定雇用、非正規雇用に突き落とす攻撃が本格的に開始されたことを意味する。そして、今春闘によって少なくとも数百万人、ことによれば数千万人の労働者の賃下げが一挙に強行されたのだ。こんなことがまかり通れば、わずかの間に日本の労働者の賃金は20年前、30年前の水準にまでつき落とされることになる。
 しかもそれは、年金をはじめとした社会保障制度・福祉制度・税制をはじめ戦後の社会のあり方すべてが覆り、弱肉強食、優勝劣敗の論理が社会の隅々まで貫かれることを意味する。これこそが小泉構造改革の正体なのだ。
 また今春闘をとおして何よりも鮮明になったことは、労働組合が闘いや要求を放棄したら、そのとたんに全てが奪い尽くされるということである。そのような時代が始まったのだ。
 ベアの統一要求を放棄した連合はより一層の屈服を深め、春闘後に「ワークシェアリングに関する政労使合意」を発表した。しかし現実に進行している事態は問答無用の賃下げであり、もはやワークシェアリングなど、それ自体がマンガに過ぎない。

労働者支配の崩壊
 われわれがここで見すえなければならないことは、これは企業の側も大変な代償を覚悟のうえで踏み切った攻撃だということだ。終身雇用制を軸とした日本的労資関係は、労働者の意識を資本の側にとり込んで「企業戦士」にかりたて、労働組合をおしなべて企業防衛主義−御用組合に転落させるという、極めて巧妙な労働者支配の方法であった。しかしあえてそれを自らの手で潰すと宣言したのである。われわれはここに、資本の側のなみなみならぬ意志と、万策尽きた危機の深さを見てとらなければならない。
 だが、終身雇用制を破壊したときに、今後どのような方法で労働者を支配するつもりなのか。基本的にその手段はない。だからこそ日経連は02春闘にあたって、労働問題研究委員会報告に「治安維持に注力を」という一項を初めて設け、警察官の増員を要求したのである。労働者の怒りの声、膨大な失業者の怒りの声が激しく噴出するのは避けられないということを前提として、それは治安弾圧の対象として圧殺する以外ないという、いわば最後の手段をふりかざしたのだ。

労働運動をめぐる諸条件は一変する
 02春闘を契機として、資本と国家が生き残るために労働者が虫けらのごとき犠牲にされ、闘わなければ生きる権利そのものが奪われるような情勢が到来しようとしている。まさに歴史的な転換点だ。
 しかし、こうした情勢は他方で、労働運動をめぐる諸条件が今春闘以降否応なく激変することも意味する。これまで経験したことのない情勢が始まろうとしているのだ。
 連合は否応なく労働者から最後的に見離されるであろう。これまでは連合などの枠のなかに抑え込まれてきた労働者の怒りの声が噴きだし、労働運動の再生に向けた可能性が大きくひらかれる情勢が到来しようとしている。労働組合の存在価値が真の意味で問われる時代が始まろうとしているのだ。02春闘3ヵ月間決戦−3/28〜31ストは、情勢のこのような急展開に抗して闘いぬかれたのである。

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