憲法改悪攻撃 戦後日本のあり方を根底からくつがえすターゲットとされる憲法の基本原則!
具体的政治日程に登る改憲攻撃
有事立法の強行成立を受け、いよいよその改憲攻撃が具体的な政治日程にのぼろうとしている。実際、敗戦60年の来年05年には、自民党が11月までに改憲草案を作成するとし、民主党も改善案を前倒しして発表するとしている。また、日本経団連は奥田ピジョンにみられるがごとく、政治色を強め、教育基本法改悪、武器輸出三原則の撤廃を提言し、改憲、集団的自衛権解禁へと動きだしている。
改憲攻撃の本格的開始の意味!
憲法とは何か?それは単なるひとつの法律と言うものではなく、国のあり方の基本が憲法で定められているものです。その骨格は戦争放棄であり、国民主権、基本的人権の保障、労働者の権利などすべてが含まれている。このように憲法は日本の戦後のあり方を決めてきたものであり、憲法改悪とは、このいままで生きてきた日本の常識、ものの考え方、価値観、そうした一切を全部ひっくり返そうという動きなのです。 すでに出されている中でも、自民党の改憲プロジェクトチームの「論点整理」、読売の「改憲試案」にその論旨が打ち出されている。両案とも憲法の基本原則である「主権在民」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」について「堅持」すると言いながら、そのすべてを解体するという中身になっている。自民党案は憲法の基本理念そのものを変えることを主張し、「新憲法では、・・・国と言うものはどういうものかをしっかりと書き、国と国民の関係をはっきりとさせるべきである」とし、「わが国の歴史、文化、伝統を踏まえた『国柄』を盛り込み」、「国を守り、次世代に受け継ぐ」ことを規定している。戦前の「国体とは国がらなり」とあったように、「国柄」を至上の価値として、それを守り継承することを国民の義務とする。国民主権の考え方とは正反対のものにかえてしまうものなのです。
国防・戦争協力が国民の義務!
改憲攻撃が具体的にどういう形で進んでいるのか?それは「教育改革」、「司法改革」などで憲法の土台を切り崩していくというやり方に端的にあらわれています。教育基本法で教育労働者の闘いをつぶしてしまおう。司法改悪で弁護士の闘いをつぶしてしまおう。そういう点で言えば労働者と労働組合を最大のターゲットにしているのです。つきつめて言えば、憲法改悪とは資本家が生き延びるための方策であり、じやまになる闘う労働者、労働組合をつぶしてしまえということに的を絞ってきているのです。その観点からみればより一層、改憲攻撃の中身がうきぼりにされます。「基本的人権については、行きすぎた利己主義的風潮を戒める必要がある」として、現憲法の「公共の福祉」を「公共の利益」「公益」と言いかえ、「国家の利益」の名による基本的人権制限を正当化しようとしています。さらに、「公共の責務」として「国民の防衛、非常事態における協力義務」を盛り込むとしています。つまり国防と戦争協力が国民の義務となるのです。人権の保障などここには無に等しいものとなってしまいます。
憲法九条の解体そ最大の眼目
現憲法の何よりの特徴と言えば、戦争放棄です。有事法制の強行、イラク特措法による自衛隊の派兵、さらには海外派兵の恒久法制定策動などなど、軍隊化への動きは一気呵成に進められています。この憲法九条の解体こそ改憲攻撃の最大の眼目となっていることは衆目の一致するところです。この平和主義について、「一国平和主義の誤りを正すとともに、国をあげて国際平和を推し進める姿勢を強調」九条二項を廃止して、「集団的自衛権の行使」、「武力行使のルール」、「非常事態における基本的人権の制限」などに関する規定を盛り込む。「自衛のための軍隊を保有」するなどが列挙されている。 戦争放棄をうたったこの憲法の改憲攻撃に対して、戦争体験者からの声がある。「軍隊は国民の生命・財産を守るものと考えられているが、そうではない。軍隊は軍隊を守るものでしかない。お年寄りは軍隊に守られる対象ではなく、赤ちゃんが泣いたら敵に見つかると母親に絞め殺させた」、「第二次大戦中、国を愛することは、政府の言うままに死地に赴くこと、他国を破壊し人を殺すことでした」。
改憲攻撃を先取りし、一体となる教育基本法改悪攻撃の中身!
教育基本法は、46年11月の憲法交付を受けてその翌年の47年3月に施行された憲法と一体の法律です。その前文では、「さきに日本国憲法を確定し」と宣言し、「個人の尊厳を重んじ、平和と真理を希求する人間の育成」を目標にかかげ、「日本国憲法の精神に則り・・この法律を制定する」と憲法理念との一体性をうたっています。 教育基本法に対する改悪攻撃は、まさしく改憲攻撃の中身と対をなすものです。「国民の育成」、「愛国心に燃え、国際平和に寄与する態度の涵養」、ここでは「平和」の二文字は、憲法の戦争放棄ではなく、それを一国平和主義と批判する国際貢献論の文脈として登場し、多国籍軍参加を意味するものとなっている。さらに教育を国家に対する義務としている。これにより教員は再び、国家意思の伝導者にされんとしている。「愛国心育成」を教員の目標とし、「日の丸・君が代」を歌わぬ教員は処分・免職の対象とされ、子供に歌わせられない教員は指導力不足教員として追放されることとなる。まさしく改憲攻撃と一体です。具体的政治日程に突入している憲法改悪の一連の動きに断を下す闘いに、労働者は一丸となってうって出なければならない。その時期は目前にきている。
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