安全運転行動への不当処分を弾劾する
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7月19日、千葉支社は、われわれが実施している安全運転行動への不当処分発令を強行した。断じて許すことができない。われわれは満腔の怒りを込めてこの不当処分を弾劾する。 千葉支社が処分の対象としたのは本部執行部8名で、処分内容は「厳重注意」であった。処分理由は「平成17年3月及び5月以降から行なった安全運転闘争と称する争議行為は、会社の持つ運行管理権を奪う違法な争議行為であるところ、組合本部役員として同行為を決定し、所属組合員へ指示したこと」とされている。
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JR東日本は、再び尼崎事故を繰り返すまいと誓ったわれわれの運転保安確立に向けた努力に対し、処分をもって臨んできたのだ。 JR東日本は、107名の乗客・乗員の生命を一瞬にして奪った大惨事を前にしながら、それを自らにつきつけられた問題として真剣に受けとめるのではなく、逆に、乗客と乗員の生命を守るための必要最小限の行動を処罰したのである。 その背景にあるのは「安全よりも組合憎し」「安全よりも営利優先」という腐りきった経営姿勢に他ならない。
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JR東日本千葉支社は、動労千葉が実施した安全運転行動のうち、 ① 回復運転はしない ② 無線通告は例外なく停車中に受ける ③ 総武快速線・津田沼駅~稲毛駅間の安 全運転 ④ 外房線・東浪見駅構内の安全運転 の4点を「会社の運行管理権を奪う違法行為」とし、さらに、 ① 会社の運行管理権を奪う ② 団体交渉を経ていない ③ 労働関係調整法に基づく争議予告がされていない、 という口実をもって「違法争議」呼ばわりした。 だが、この間の闘いのなかで、そのことごとくが何の根拠もない言いがかりに過ぎなかったことがはっきりとしている。 1. そもそも、無謀なスピードアップや過密ダイヤの現状のなかで、運転士が「回復運転」に駆りたてられることがどれほど危険なことなのかをまざまざと示したのが尼崎事故であった。 2. 無線通告問題については、これまで停車中の受領が明確に指導されていたにも係わらず、今回の処分のために「走行中の受領」なる取扱いがデッチ上げられたことが明確になっている。 3. 総武快速線の安全運転については、異例の大規模なレール交換を実施するというかたちで、危険な状態であったことを自認している。 4. 東浪見駅45㎞ポイントについても、現在「速度超過対策箇所」の一環としてATS-P設置工事計画が策定中であり、やはり危険な条件であったことを自認しているのだ。 5. さらに「団体交渉を経ていない」「争議予告がされていない」という言いがかりについても、処分理由から全く外されたとおり、事実無根であったことを千葉支社自身が認めた。
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一体何をもって「運行管理権を奪う」というのか、何をもって処分したのか、何ひとつ判然としない。これは「処分のための処分」に他ならない。 JR東日本千葉支社は、レール破断の頻発に対する抜本的な安全対策を求めて実施した3月の安全運転闘争に遡って「違法争議」だとして処分を行なった。つまり、労働組合が安全の確立に向けて行動を起こすことそのものを認めないということだ。ここに処分の不当性が鮮明に示されている。今回の不当処分の本質は、8名の本部執行部への処罰ではない。「安全」そのものを処罰したということだ。 実際、安全運転行動開始後の千葉支社の対応は、異常きわまりないものである。今でも動労千葉の運転士は、出勤時の点呼で「違法行為だ」という脅かしを受けて乗務し、2名の管理者が運転台に乗り込んで監視・現認される状況の中でこの行動を闘いぬいている。安全確保のために為すべきことをそっちのけで、安全運転行動を圧殺するためだけに、この2ヶ月余りの間に膨大な管理者が動員されているのである。
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しかしわれわれは、レール破断の多発という非常事態、そして尼崎事故に対するこの1年半余りにわたる闘いによって、総計約20㎞、数百箇所にわたるレール交換を確約させるという大きな成果を実現している。いかなる処分も、われわれの闘いの正当性を奪うことはできない。 尼崎事故は、労働者の団結が破壊され、政府・財界がおし進める民営化-規制緩和-市場原理路線が暴走したときに何がもたらされるのかを、衝撃的につきつけた。尼崎事故は、国鉄分割・民営化という犯罪的政策そのものによって引き起こされた大惨事である。 同時に尼崎事故は、労働組合にも、その社会的責任という問題を重くつきつけた。処分の恫喝に屈し、闘いを放棄するとしたら、それは労働組合にとって自殺に等しい行為である。「闘いなくして安全なし」。例えいかなる処分を受けようとも、安全に関わる問題だけは絶対に譲ることができない。 われわれは今回の不当処分に強く抗議し、労働組合の責務として、これからも安全運転行動を継続し、抜本的な安全対策を求め続ける。JR東日本は不当処分を撤回しろ!
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