鉄道を戦争のために 使わせるわけにはいかない

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今起きていること

2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降、この社会、世界がどうなるのか、この戦争情勢の中で日々、胸をかきむしられるような思いで生きざるを得ない状況です。
第2次世界大戦以降、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東を巡る繰り返された戦争など、多くの戦争が起きました。しかし、今起こっているのはそういった歴史とも全く次元が違う戦争です。全世界を呑み込み、人類が3回目の世界戦争を経験してしまうかもしれない可能性をはらんで進んでいます。本当に大きな歴史の転換点に立っています。
こうした状況の中でわれわれに突きつけられているのは、戦争が現実になるまでは誰もが戦争に反対します。誰もが戦争には反対だと。しかし、戦争が現実になれば誰も反対できない、ということが今起きているということです。

 中間の道はない

この時代と戦争の本質をどう見て、何をなすべきか。一人の人間として、労働者として、労働組合としても真剣に考え抜かなければなりません。戦争こそが、労働者に対する最大の生活破壊であり、権利破壊であり、団結破壊であるからです。戦争に反対するということが労働組合として最も大切な第1の課題・任務だと。そうでなければ、労働組合として戦争に協力するということになります。中間の道はありません。

JR貨物が動員された

2003年の有事関連三法の制定をもって、鉄道は「指定公共機関」に定められました。政府が「武力攻撃事態」を宣言した場合、私たち鉄道に働く労働者には「業務従事命令」が発せられます。
昨年9月に実施された陸上自衛隊の大規模な実働演習「陸演」では、後方支援体制を訓練する「兵站・衛生訓練」において、全国から九州に弾薬や食料、燃料、被服、予備部品など部隊が行動するにあたって必要となる各種補給品を集め、指定された場所まで輸送するために、民間船舶やトラックに加え、JR貨物が動員されました。
6月6日の東京新聞によれば、先月19日に国土交通省で行われた鉄道物流を巡る第3回の検討会で、「防衛省の担当者から鉄道輸送への期待感が示された」として、「ウクライナ侵攻の関連で大量輸送能力を持つ鉄道が注目されー日本でも鉄道会社と『有事も想定したような連携』を進められないか」と報じられました。(下図 防衛省の資料)

これまでにも、2011年10~11月に札幌ー大分間で装甲人員輸送車10両、15年7月に岡山ー帯広間で155ミリりゅう弾砲10門と偵察警戒車2両、昨年の陸演では装輪装甲車3両を運ぶなど、鉄道貨物を利用した訓練が重ねられ、JR貨物は「引き続き輸送に協力する」としています。

新戦争協力拒否宣言

この戦時動員訓練に、JR貨物労組が沈黙を決め込む中、「平和を求める労働者の特別の任務」ー動労千葉の「戦争協力拒否宣言」「新・戦争協力拒否宣言」をどう実践するのか、その真価が問われています。
動労千葉の「戦争協力拒否宣言」は、2003年当時、北朝鮮への侵略戦争を視野に入れた戦争遂行法である有事関連三法の制定に対して、第49回定期委員会において決議されました。
先月の第86回定期委員会で決議された新宣言では、「ウクライナー中国侵略戦争の危機によって、政府の戦争政策と対決し、戦争協力を拒否する闘いは、差し迫った避けて通ることのできない課題・・・この闘いは強靭な団結がなければ闘えない課題だ。国境を超えた労働者の広範な連帯を必要とする闘いだ。密集せる反動と対決し、長期にわたる抵抗を貫いて戦争をストップさせる厳しい闘争を覚悟しなければならない」とあります。

「厳しい闘い」ー ここに希望と展望が

「厳しい闘い」ーここに希望と展望があると思うのです。「鉄道を戦争のために使わせるわけにはいかない」=どんな困難があろうとも闘いを組織し、貫く。動労千葉小なりといえども、貨物鉄道に働く労働者の「戦争反対」の感性を呼び覚ます、具体的闘いをつくりだすこと。ここに、貨物における組織拡大の可能性もあるのではないか。どんな小さな職場の労働者にも、労働組合を甦らせること、労働運動を再生させるチャンスが到来しているのです。
ギリシャの鉄道労組が線路に立ちふさがり、ウクライナに向かうNATOの戦車輸送を止め、ベラルーシでは鉄道労働者が信号制御システムを破壊して、ロシア側の軍事物資輸送を阻止した闘いが起きています。6月7日から8日間にわたり韓国全土の物流を止めた民主労総・貨物連帯のストライキに決起し、完全勝利しました。
今、世界で「国境を越えた労働者の国際連帯が戦争を止め、社会を変える」闘いが始まっています。
11月労働者集会へ、進撃を続けよう!

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