改革労協=JR総連からの要求に基づく「名簿不記載は不当労働行為」と認定!
全ての組合員のみなさん!
6月29日、東京地裁民事11部・白石哲裁判長は、動労千葉組合員12名が一旦はJRへの採用候補者名簿に登載されていたにもかかわらず、急遽、名簿から削除されたことについて、「国鉄が、不当な目的・動機に基づいて名簿不記載基準を策定したことは、国鉄に与えられた裁量権の逸脱ないし濫用にあたり、動労千葉組合員をJR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったことは不法行為」と、国鉄の不当労働行為を認定した。
それにもかかわらず今回の東京地裁判決は、清算事業団からの解雇を「有効」として、わずかばかりの慰謝料と3年分の賃金の差額の支払いを命令するという矛盾に満ちた判決であった。
判決は、1987年2月初め頃、改革労協(現JR総連)からの突き上げにより急遽、「停職6ヶ月又は停職2回」を理由にした不採用基準が策定されたことについて、「改革労協側の姿勢に触発されるなどして動労千葉等、分割・民営化に反対する労働組合に所属する職員を不当に差別する目的、動機の下に、名簿不記載基準を策定したと推認するのが相当」として、改革労協と国鉄が一体となって本州で75名の労働者を排除したことを不当労働行為だと明確に認定している。
「名簿不記載」を不当労働行為だと認定した以上、解雇撤回以外の結論などあり得るはずがないことだ。ところが東京地裁は、「原告らが労働能力を喪失したわけではない」とか、「再就職するのに相当と考えられる合理的期間の賃金相当額のみを認めるのが相当」とか、理由にならない理由を掲げて解雇撤回を拒否したのだ。
我々は、東京地裁の反動判決を絶対に許さない
1047名解雇撤回!国鉄闘争全国運動を職場・地域に!
一方、この判決は、1047名解雇撤回に向け、闘いを一歩前に進めるものであった。4者・4団体によるこれまでの判決は、「停職基準」による不採用は「合理的」としていずれも敗訴してきた。
われわれは、この不当極まりない判断に全力を尽くして立ち向かい続けてきた。そして、ついに、名簿不搭載の基準そのものが不当労働行為であったことを認めさせるところまで裁判所を追い込んだのである。
国鉄分割・民営化や採用差別が国家的不当労働行為であったことは一点の曇りもなく鮮明になった。
われわれは、一昨年の「4・9政治解決」にあたって、闘いを継続することを決断した。その決断は間違いではなかった。勝利までもう一歩だ。
われわれは、解雇撤回の勝利をかちとるまで闘い続ける。
1047名解雇撤回!国鉄闘争全国運動を職場・地域に広げよう!
東京地裁判決文(骨子)
1.原告らが、JRの採用候補者名簿の原案に一旦記載されていたところ、設立委員会への名簿提出期限(87年2月7日)が迫った段階(87年1月末~2 月初め)になって急遽、名簿不記載基準が策定されていること、策定時期が 概ね改革労協側の国鉄当局に対する抗議の姿勢が最高潮に達した時期と概ね一致していること、名簿不記載基準の具体的な策定時期、国鉄内部での意思 形成過程等の主要な策定経緯について、被告が何ら説得力のなる主張、立証をしていないこと、国鉄の職制が分割・民営化に反対する労働組合を嫌悪し差別する発言をしていること等を総合勘案すれば、国鉄当局としては、一旦は原告を含む動労千葉組合員をも基本的には採用候補者名簿に記載する方向で動いていた(少なくとも、これは排除する明確な方針をとっていたものではなかった)にもかかわらず、改革労協側の姿勢に触発されるなどして、動労千葉等、分割・民営化に反対する労働組合に所属する職員を不当に差別する目的、動機の下に、名簿不記載基準を策定したと推認するのが相当である。
2.前記認定事実からすれば、本件名簿不記載基準が策定されなければ、原告らは採用候補者名簿に記載され、その結果、JR東日本に採用されたはずで あるといいうるから、上記不法行為に基づく損害として、原告らがJRに採用されていたであろうことを前提にして経済的利益(逸失利益)を観念する余地があるということはできる。
3.しかしながら、・・・不法行為に基づく損害賠償請求権と、雇用契約関係 の存続を前提としたいわゆるバックペイの請求権とは、もとよりその性質が 異なるものであり、・・・上記不法行為の実質は、原告らに対する国鉄によるJR東日本への採用妨害行為というべきであって、原告らが労働能力自体 を喪失したわではなく、・・・上記不法行為と相当因果関係のある損害としては、原告らが他に再就職する可能性をも念頭に置いて、一般的、客観的見地から再就職するのに相当と考えられる合理的期間の賃金相当額のみを認めるのが相当であると解される。
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