予科生等運転士登用差別事件
高裁で逆転勝訴の大きな勝利!
JR東日本は、直ちに運転士に登用しろ!
勝利判決武器に、不当労働行為撤廃、組織拡大へ!
9月30日、東京高裁第1民事部・一宮裁判長は、「予科生等運転士登用差別事件」について、一審東京地裁の不当判決及び中労委の反動命令を取り消すとともに、「1998年1月1日付で運転士に発令したものとして取り扱わなければならない」として組合側勝訴の判決を言い渡した。
動労千葉の団結がかちとった大きな勝利だ!
東京高裁判決は、動労千葉に所属する「55、56、57予科生」が、分割・民営化以降、23年経った今も運転士に登用されていないこと、一方、運転士に登用された者はほとんど全てがJR総連であるという事実を的確に認定し、JR総連と結託したJR東日本の不当労働行為体質を明確に認定するなど、極めて重要な勝利判決だ。
そしてこれは、分割・民営化から23年を経過しながらも当該の予科生をはじめ全ての組合員が職場での団結を守りぬきながら、JRーJR総連革マルの結託体制と断固として闘いてきたその成果が勝利判決として現れたということだ。まさに、動労千葉の団結した力がかちとった勝利だ。
この勝利判決を武器にして、予科生の運転士登用、そして何よりも動労千葉に対する組織破壊攻撃を粉砕し、組織拡大に向けて全力で闘いぬこう!
会社幹部の発言を不当労働行為と明確に認定!
判決の要旨は、以下のとおり。
【会社と動労千葉との関係】
①松田昌士常務取締役(当時)は、「会社にとって必要な社員、必要でない社員の峻別は必要。会社の方針派と反対派が存在する限り、特に東日本は格別だが、穏やかな労務政策をとる考えはない。反対派は峻別して断固として追求する」と述べた。
②住田正二代表取締役(当時)は、JR東労組の大会で「(分割・民営化反対を掲げている人)が残っていることは会社の将来にとって非常に残念なことですが、いわば迷える子羊だと思います。名実共に東鉄労(現JR東労組)が当社における一企業一組合になるようご援助いただきたい」と述べた。
③力村人事部長(当時)も、「東鉄労を基軸とした一企業一組合を少しでも早く達成して欲しいと期待しています」と述べた。
動労千葉組合員を運転士登用から排除する人事政策
【予科生を運転士に登用しなかったことの不当労働行為性】
①本件予科生は、国鉄で運転士になるべく養成され、相当期間の訓練を経ている上、運転士資格を取得しした場合は車掌を経ずにほぼ確実に運転士発令が予定されていた。
運転士資格を取得した予科生に新たな昇進基準を適用して車掌経験を運転士の必要不可欠な要件にすることは、不合理とは言えないものの、運転士養成の効率や予科生の士気、職場秩序の観点から、一定の問題を含むものである。
②89年の現場長面談で、補完教育を希望した組合員は11名いたが、千葉支社面談で補完教育に選考された者は3名にすぎず、しかもこの3名は運転士発令前に脱退している。他方、JR東労組組合員で補完教育を希望した9名は、全員が選考され、著しい差が生じている。
会社は、動労千葉組合員が適性や成績で劣るとの主張は一切しておらず、JR東労組組合員と動労千葉組合員との間で適性や成績に差がないとすれば、このような差異が生じたのは、組合所属が選考の考慮要素とされたことを強く推定させる。
③千葉支社面談を担当した者は、人事課及び輸送課の課長代理等だが、参加人の幹部(松田常務や住田代表など)は動労千葉に対して嫌悪や敵対的態度を表明しており、面談を担当した千葉支社幹部も同様の意識を有していたがい然性は高い。
従って、車掌教育に選考された3名の脱退は、会社が直接脱退慫慂したことを認める証拠はないが、会社の差別的な対応と関連していることは十分に推認できる。
④会社が、89年を最後に予科生に対する補完教育を廃止し、新規に運転士試験に合格した者を昇進基準に基づいて車掌、運転士発令して需要を満たし、予科生を運転士登用の経路から排除したのは、この時点で、予科生のうち運転士を希望する者の大半がJR東労組以外の者=動労千葉であったと考えざるを得ず、会社が、予科生のうち動労千葉組合員を運転士登用から排除する人事政策をとっていたことを示している。
⑤水戸支社でも、動労水戸に所属する予科生らは、車掌資格を有する者も含めて1人も運転士に発令されず、このような運転士の選考が所属労働組合を理由とする不当労働行為であると認定されている。
⑥会社は、本件予科生からの運転士発令に関して、所属労働組合を理由として動労千葉予科生を不利益に扱い、動労千葉の弱体化を図ったというべきであり、このような扱いは労組法上の不利益扱い及び支配介入に該当する不当労働行為というべきである。