8・6ヒロシマ大行動報告②
労働者の団結で核と戦争をなくそう
8・6ヒロシマ大行動で発言するアーリーン・イノウエさん |
8・6ヒロシマ大行動でのアーリーン・イノウエさん(ロサンゼルス統一教員組合/校内の軍国主義化に反対する連合代表)の集会での発言要旨と集会に寄せられた同教組委員長の声明を紹介します。
広島の被爆から63年目の8月6日、皆さんと一緒にこの場にいることを私は厳粛な気持ちで受け止めています。私たちは全世界の労働者民衆の団結で戦争と核爆弾をなくすよう強く訴えます。
「第2次大戦の申し子」
私の祖父母は、久留米と岡山から百年以上前にアメリカに渡りました。私は1950年生れですが、敵と見なされた両親と祖父母の経験に影響されて育ちました。私自身は、第2次世界大戦が私を形成し、おそらく、平和への強い願望を植え付けたと思っています。教育者、労働組合活動家として若者の擁護者として闘うことほど、時間とエネルギーをかける価値があるものはないと思っています。
最も軍事化された国─アメリカ
アメリカは地球上で最も軍事化された国です。「アメリカ人は野獣の胃の中にいる」という表現があります。子供たちは、生まれたときから戦争のおもちゃや暴力が当たり前のテレビ番組で教え込まれ、さらには、軍の宣伝や映画により戦争が美化されます。
私達が払った税金の54%が軍事費になる一方、医療、福祉、教育、住宅、そして労働関連の連邦人件費は、連邦予算のわずか30%です。この30年間、アメリカは社会福祉、教育、医療への支出を大幅に削減する一方で、不公平税制と企業権力を背景に政策を一部の富裕層のためのシステムへと転換してきています。ブッシュが政権の座に就いて以降、住宅危機が起こりガソリンの価格は3倍になり、ハリケーン・カトリーナでは環境破壊とあからさまな人種差別が引き起こされました。労働者人民、貧困層が直面する悲惨な現実に、アメリカ人の間に激しい怒りが湧き起こっています。しかし、行動を伴わない怒りは意味ある変化も異なった道筋も生み出しません。
CAMSの立ち上げ
ロサンゼルスの高校で働き始めた10年前、私は初めて露骨な募兵活動を目撃し激しい怒りを覚えました。こうした募兵活動は9・11とイラク侵略の後、マイノリティの学生が多い地域で、全国の高校に広がっているのを知りました。
軍国主義はアメリカの学校文化に組み込まれています。軍の募集手引には「学校の掌握が最終目的である」とあります。募兵活動はどこでも何の制限も受けずに行なわれています。そのため私達は「校内の軍国主義に反対する連合」CAMSを立ち上げました。それは、教育者、学生、保護者、地域住民、退役兵からなる草の根組織で、若者狩りの軍市場に対抗し、軍隊の実相を明らかにする情報を提供することを使命にしています。創設以来、50の高校にそれぞれ担当者がいる「担当学校」プロジェクトを展開し、データを収集し情報を提供し、個々の高校に合った特別の戦略を策定しています。
イラク侵略戦争の始まり
私が、歴史上現代がいかにひっ迫しているかに気づいたのはイラク侵略でした。戦争を継続するのに必要な兵士を確保するため、無防備な学生が嘘で騙されているのに対し、行動を起こそうと決断しました。兵士が体験した事実─劣化ウランの影響、PTSD、ひどい外傷などを何百人もの学生が知ることで入隊を考え直したことは、本当に素晴らしいことでした。彼らはまた、この「対テロ戦争」で約百万人のイラク市民が虐殺されていることを知ったのです。大学への資金をもらえると思いサインした学生たちは、57%の兵士が、現実には一銭たりとも大学資金を得ていないということを知って考えを変えました。
CAMSは下からの組織化と、重層的・組織的働きかけによって、学校と社会の軍国主義と対決することができると確信しています。私達は活動の範囲を国内外に広げ、そして、日本の皆さんの闘いとも連帯できるようになりました。皆さんの「教え子を再び戦場に送らない」という勇気と決意、新自由主義政策に反対するデモンストレーションに拍手を送ります。今まさに、核をなくし、平和を希求する国際的に団結した運動を構築する時がやってきました。私達は皆さんの闘いを断固支持し、常に皆さんと共にあります。ガンバッテ!
ロサンゼルス統一教員組合(UTLA)委員長声明
教師と医療・福祉労働者48,000人を組織するロサンゼルス統一教組(UTLA)を代表して、核兵器の残虐性と日本における軍国主義と愛国主義の復活に反対して、英雄的に闘う皆さんに敬意を表します。
あらゆる国に対し核の恐怖を撒き散らす唯一の国アメリカの労働者及び教師が、核の恐怖を唯一体験してきた国である日本の教育労働者の正義の闘いに、公然とした支持を表明することは、とりわけて意味のあることと思っています。
わが組合UTLAは、イラクに対するアメリカの侵略戦争に反対すると共に、私たちの中学・高校に拡大する軍の宣伝と募兵行動に抗して闘う人権委員会(Human Rights Committee)と校内の軍国主義に反対する連合(CAMS)を支持し、アメリカの軍国主義と断固として闘う立場を堅持しています。
低所得の有色コミュニティーから通う生徒が多数を占める私たちの生徒たちが、しっかりした情報に基づいて自分たちの将来を選択できる権利を有していることを、私たち教師は固く信じています。
戦争と抑圧ではなく平和と正義の世界を建設するため、さまざまな形で奮闘する皆さんと全世界の数百万の労働者と連帯して、私たちは共に闘うことをここに再度お伝えするものです。皆さんの闘いは私たちの闘いです。
2008年8月2日
UTLA委員長 A.J.ダフィー