新春インタビュー(上)関道利新委員長に聞く

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新執行体制を確立した2019年の闘い
動労千葉らしく、一糸乱れぬ団結で闘おう

――昨年の定期大会で新たに関委員長体制になりました。新たな年の課題などを伺いたいと思います。18年間の田中委員長体制から代替わりとなりました。

9月定期大会、11・3全国労働者集会、11・9民主労総労働者大会、各支部大会と怒涛の3ヶ月でした。組合員ともいろいろな話ができ、それは非常に良かったです。

――関委員長体制で初めての11月集会でした。

昨年の11月集会は「非常事態下の集会」だと訴えました。

私たちが国鉄闘争や闘う労働組合の全国ネットワークの形成をめざす闘いを20年以上共に闘ってきた連帯労組関西地区生コン支部の仲間たちに未曾有の大弾圧が加えられているからです。ストライキや団体交渉など正当な労働組合活動がことごとく「威力業務妨害」「強要」「恐喝」にデッチあげられる戦後最大の労働運動弾圧です。まるで労働組合が禁止されていた戦前のようです。関生支部への大弾圧との闘いは、6千万労働者の労働基本権と未来を守るための闘いです。

それはJRにおける「労組なき社会」攻撃と一体です。当時の冨田JR東社長が官邸に呼ばれ、東労組から3万数千人が脱退する激しい攻撃が開始されました。安倍政権は労働組合を一掃することで改憲・戦争へと向かおうとしています。何が何でも阻止しなければならない。そういう思いで訴えました。

――職場では「労組なき社会」の攻撃が吹き荒れています。

会社は「社友会」という会社主導の組織を作りました。労働組合をなくし、会社が職場代表を握って「不利益変更」も自由自在に行える。そのモデルをJRで作り、全社会に拡大しようという攻撃です。

経団連の労働法規委員会で、「労働者代表機関の制度化」が議論されていますが、その委員長はJR東前社長の冨田です。「働き方改革」に向けて「職場代表者法理、就業規則改正法理の明確化」が議論されてきたことそのものです。明らかにJRは政府・官邸一体となって、労働者支配のあり方を根本から転換する攻撃を進めています。

しかし、「社友会」を作っても、未だにその旗振り役がちゃんと現れていません。そこが向こう側の危機であり弱点です。

職場代表選にも助役なんかが結構出ている。すぐに異動になってまた選挙という職場もあります。結局、その職場のことではなく、会社のこと、出世のことしか考えていない。それでなぜ労働者の代表になれるのか。職場でともに働いている労働者でなければ代表としての意味がありません。

昨年、動労千葉は各職場で職場代表選に決起しました。私も職場代表選を闘い、CTS幕張事業所で職場代表をかちとっています。

幕張事業所の職場代表選については、18年は3回の投票で信任を受けました。その後1年間、安全衛生委員会を中心にして職場で地道な活動をしてきました。その力で、去年の選挙では1回で過半数をかちとることができました。

一方で、本当なら第1組合として職場代表を目指さなければなりません。今年は各職場での職場代表選を闘い、組織拡大を実現してきたい。それができれば、強行された外注化を粉砕する新たな展望が開かれます。動労千葉としては各職場で職場代表選に断固として打って出たいと思います。

――昨年は結成40周年の節目の年でした。1年を振り返っていかがでしょうか。

19年の年明けから千葉運輸区でのエルダー「見極め」粉砕闘争、乗務員勤務制度改悪反対を掲げた3月ダイ改スト、各職場での職場代表選などを闘ってきました。

60歳で退職を迎えた人間に会社・区長が「見極め」をやらせる。こんなふざけたことはありません。40年も運転士をやってきた人に何が「見極め」だということです。

しかし、組合本部としては出遅れがありました。現場組合員には申し訳ありませんでした。その中でも、千葉転支部と当該組合員が決起してくれたことで闘いを開始しました。現場がその気になってくれた。各支部からも「ふざけるな」と声があがりました。現場から断固許せないと、ストも構えて闘った。その力に区長も負けて粉砕できました。職場闘争の中に展望があることが改めてはっきりした闘いでした。動労千葉だからこそできた闘いだと思います。

3月ダイ改ストは津田沼の相馬支部長が、「今の攻撃は分割・民営化以上の攻撃だ」と訴えてストにたつ姿を示して、平成採の運転士に決起を求めました。これも動労千葉だからできたストだと感じます。

――結成40周年レセプションも開催しました。

レセプションは盛大に行えました。団結を維持してここまで40年闘ってこれた。それは先輩方を含めて今までの闘いがあったからこそです。分割・民営化を契機に職場は大きく変わりました。それは2千万人もの非正規職を生み出す出発となる攻撃でした。動労千葉は分割・民営化以降も、動労千葉らしく闘ってきました。それをOBの方たちや闘う仲間も見ていてくれた。だからこそ多くの人が集まってくれました。やはり、動労千葉の闘ってきた道は間違っていなかったと思います。

――1047名解雇撤回をめぐる裁判闘争でも大きな動きがありました。

1047名解雇撤回をめぐる裁判では、30年に及ぶ闘いで不採用基準そのものが「不当労働行為」だったと最高裁に認めさせました。国家的不当労働行為の真実を私たちの闘いが暴き出したのです。満を持して、労働委員会に持ち込んだ。しかし、千葉県労委ははじめから審理を拒否してきました。千葉地裁もそれを容認する判決を出しました。

裁判所も労働委員会も国家には逆らえない、一緒になって隠蔽するというのです。ならば、何のための労働委員会であり裁判所なのか。

そういう中での闘いですから、簡単には行かない。しかし、これは労働者の誇りをかけた闘いです。30年間諦めなかったことがここまで闘いを前進させてきました。突き止めた真実を絶対に明らかにしなければならない。

今なお1047名解雇撤回を闘っているのは動労千葉・動労総連合だけになりました。今後、東京高裁での裁判闘争と中労委闘争に入っていきます。解雇撤回・JR復帰に向けて全力を尽くしていきたい。全国の闘う仲間にもご支援、ご協力をお願いしたいと思います。

――外注化阻止の裁判でも、反動判決がだされました。

外注化粉砕・出向無効裁判では、最高裁が組合側の上告を棄却しました。地裁、高裁ともに、組合の主張と職場の実態を完全に無視し、会社側の言い分を丸写しするような判決でした。それを最高裁も容認するということです。

しかし、職場には明らかな偽装請負があり、今も解消されていません。CTS構内では、CTSへの出向者がJR本体に「指示」して初めて指示書が来るような状態が続いています。検査派出には未だにCTSプロパー社員が配置されていません。会社は出向を「技術継承のため」などといいましたが、結局外注化するだけの施策だったことがはっきりしています。

労働者を突き落とし、さらに非正規職化を進めようという攻撃です。私たちは「非正規職しかない社会にさせるわけにはいかない」と外注化と闘いぬいてきました。「ミライの車両サービス&エンジニアリング構創」が出される中、外注化との闘いは再び決戦を迎えています。

――訪韓闘争は韓国に対する排外主義が煽られる中での闘いでした。

今年は委員長として初の訪韓闘争でした。労働者大会では、デモ隊の最先頭で非常に大きな闘いを見せてもらうことができ、感動的でした。

11月集会に民主労総ソウル地域本部長が来てくれて交流を深め、その後の訪韓でさらに連帯を深めることができました。動労千葉とソウル地域本部とのつながりは、お互いの訪日・訪韓で非常に強くなったと感じました。

それははじめから保証されていたわけではありませんでした。8月1日、徴用工問題をめぐる日本の輸出規制に対し、動労千葉国際連帯委員会で緊急アピールを出しました。そのアピールは、韓国のマスコミに大きく取り上げられました。8・15集会ではソウル地域本部の副本部長に来ていただいて、前段のパフォーマンスも含めてともに闘いました。11月労働者集会の前段には三菱重工本社前の弾劾闘争を闘いました。ソウル地域本部長は鉄道労組出身ですが、鉄道労組ソウル地方本部とは、この間交流を重ねて連帯を深めてきました。

旭硝子非正規職支会の闘いについても、この間、私が副委員長時代から支援共闘会議の副議長をしてきました。その闘いが、少なからず実を結んでいる情勢です。

ソウル地域本部は、そういう思いを受け取ってくれたのだと思います。排外主義攻撃の中でも、ともに闘うことで連帯を深めたことは重要な経験でした。

(下に続く)

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