職場のほとんどを外注化
JR東日本が昨年9月に提案した設備と検修・構内作業の外注化は、「シニア制度」と一体となった「ニューフロンティア21」の中心軸をなす攻撃である。JR東の2001年から2005年までの中期経営構想=「ニューフロンティア21」では、「業務の効率化を強力に推進する」「2005年までに社員数を1万人削減する」ことがうち出されている。鉄道会社としての在り方までも変えてしまおうとするこの外注化攻撃を全組合員の力で粉砕しなければならない。
検修・構内業務をそっくり委託
検修・構内関係の提案は、まさに検修職場をそっくり売り渡してしまうに等しい攻撃だ。その内容は
(1)車両検修業務
①交番検査在来線の在来型車両の交番検査を整備会社に委託する。電車については、ユニット単位の委託を基本とする。新系列車両については直営を主体とする。
②車輪削正の業務在来線車両の車輪削正及び附帯業務
③ATC特性検査及びATS特性検査業務
④事故復旧に関する業務
⑤その他車両の消耗品取り替え等の業務
(2)構内入換作業
①入換業務運転関係区所及び駅構内における車両の運転操縦業務と出区点検・入区整備業務。作業ダイヤ単位での委託を基本とする。
②誘導業務運転関係区所及び駅構内における車両の誘導業務
③車両の解放・連結に伴う業務運転関係区所及び駅構内における車両の解放及び連結作業
④構内計画業務運転関係区所構内の構内計画業務
⑤その他運転関係区所構内のポイント等の清掃業務、
(3)引取検査の見直し
引取検査については、書面により行なう。である。この提案がそのまま実行されれば電車区の業務の八割―九割が整備会社に委託される。
シニア社員に入換業務の希望調査
こうしたなかで、千葉支社も本社提案に基づく具体策を提案しようとしている。そして、その前段の取り組みとして、『構内入換業務に関する希望調査』を整備会社に出向中のシニア社員を対象に実施した。将来、整備会社に再就職した際に構内入換業務をやる意志があるのかないのかを一人ひとりに確認しているのだ。
また、当局は直営で残す仕業検査についてはこの四月一日から周期を72Hから六日間への延伸を強行した。これによって次回のダイ改では仕業検査を含む構内―仕業関係で大幅な業務の減が予想される。しかも、当然ながら構内作業を外注化するためには、一回は融合した構内作業と仕業検査を分離し、一気に外注化にもっていこうとしているのだ。「シニア制度」粉砕の闘いと共に検修・構内作業の外注化阻止に起ち上がろう。
東労組の裏切り妥結弾劾
われわれは東労組の大裏切りを満腔の怒りを込めて弾劾しなければならない。
東労組は3月30日、検修・構内業務の全面外注化提案を裏切り妥結した。東労組がこの提案をめぐって要求したのは、①ATS―ATCの特性検査、②構内計画業務、③乗客を乗せたままの連結作業、この三つだけは直営に戻せという要求である。入換や入出区、交番検査など根幹をなす部分は要求も出さずにはじめから認め、わずかばかりの要求をぶつけたに過ぎなかったのである。
結局会社は、東労組が求めたこの要求も拒否し、東労組はそれも承認し提案のまま裏切り妥結したのだ。
この裏切り妥結の同じ日、会社はベアの回答をした。昨年を一〇〇円上回る〇・二八%、九六四円という超低額回答であった。東労組は検修・構内外注化という大合理化をわずか一〇〇円のベアと引き換えに取引したのである。
また、東労組が修正提案、即妥結した「シニア協定」には「労使は鉄道業務等の委託をさらに深度化して着実に推進する」という項目がもりこまれている。そして、九九年の1月に会社と締結した「覚書」ですでに「鉄道業務の委託を着実に推進する」ことを合意していたのだ。
いまこそ東労組を解体し、検修・構内外注化阻止へ闘う体制を強化しよう。
設備関係は実作業を全て外注対象
JR東日本は、検修・構内と同日に設備部門の大幅な外注化を含む合理化提案を行なった。JRが直轄で行なう業務は、予算・決算の管理、財産管理、技術管理、工事契約に特化し、実際の作業は基本的に全て外注化してしまうものだ。業務の執行体制として、これまでの保線区や電力区、信通区などは廃止し、各系統ごとに各支社一ヶ所の「技術センター」を置くだけにするという。保線は一ヶ所にできないがそれでも今までの半分ほどになると考えられる。
これによって現在の一万三百人体制を七千人体制にするというものだ。しかも、検修・構内業務の外注化は、退職者の人数等をみながら逐次実施するという提案だが設備関係の提案はこれだけの合理化を今年度中に一気にやるというのである。削減の対象の三千人を出向にだし、その後逐次退職者に置き換えていくとしている。設備、検修・構内外注化阻止へ総決起しよう!