米ミサイル艦入港に対し全港湾がストライキ 動労千葉を支援する会や改憲・戦争阻止!大行進・神奈川がスト連帯で石垣現地を訪問

米軍・自衛隊の戦争策動と港湾軍事利用に反撃!

米ミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」が3月11日、石垣港に入港・上陸した。沖縄県内の民間港に米軍のミサイル駆逐艦が入港するのは初めてだ。

全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄県地方本部(組合員約1000人)は、労働者の安全確保などを求めて那覇港と石垣港で全面ストライキを計画。動労千葉を支援する会や改憲・戦争阻止!大行進・神奈川がスト連帯で石垣現地を訪問し、抗議行動などに合流した。

23年に自衛隊配備

同駆逐艦は最新鋭イージス艦。長さ約150㍍、幅10㍍。巡航ミサイル「トマホーク」や多用途哨戒ヘリコプターなどを搭載している。在日米軍の第7艦隊に所属し、横須賀基地に配備されている(改憲・戦争阻止!大行進・神奈川は8日に横須賀基地に対し石垣島への上陸中止を申し入れした)。最前線の〝海上ミサイル基地〟なのだ。

石垣島は、県庁所在地の那覇市からは410㌔離れ、他方で台湾とは約250㌔の距離。いわゆる「釣魚群島(尖閣諸島)」は150㌔先に位置する。

第2次大戦中は日本軍が八重山諸島を軍事強化し、1万3千人の日本軍が常駐した。多数の住民がマラリア発生地区に強制移住させられ数千人が命を落とした。米軍の上陸作戦はなかったが空襲で多数が亡くなった。

戦後は、中国からの引揚者や沖縄本島での米軍接収によって土地を失った住民など多数が開拓・入植した島でもある。

石垣港は、西表島や小浜島など離島のターミナルで、日本最南端の重要港湾にも指定されている。サンゴ礁海域で航行路が限定され、大型船舶の接岸が難しかったが、近年、埋め立てで造成された新港地区でクルーズ専用岸壁の整備が始まり、2020年に大型クルーズ船の着岸が可能となった。

石垣島にはもともと自衛隊は配備されておらず空白地域だったが、自衛隊の増強(南西シフト)に伴い、奄美大島や宮古島などに約10年で駐屯地やミサイル基地が次々と新設されてきた。石垣市(中山義隆市長)は2015年に陸上自衛隊配備の受け入れを表明し、23年3月に陸上自衛隊石垣駐屯地が開設され、約570人が配備された。島の中央部に警備隊やミサイル部隊が駐屯している。現在も拡張工事が続き増員が画策されている。

「尖閣諸島は石垣市の行政区域」などと称して市内に啓発ポスターが貼られ、離島ターミナルには「尖閣諸島情報発信センター」も設置されている。公園に記念碑もあった。

駆逐艦の入港をめぐっては玉城知事が入港・停泊に反対の姿勢で自粛を申し入れた。駆逐艦の喫水が港湾使用の安全水域を超えており、石垣市長は当初は接岸を拒否したが、沖合に停泊することで市長は最終的に許可した。岸壁は関係者以外が立ち入りできないように前夜までにバリケードが設置された。

住民団体が抗議

11日午前8時過ぎに投錨したミサイル駆逐艦から約300人の乗組員が「休養と補給」と称して小型船(テンダーボート)に乗り換え上陸。住民団体の抗議のシュプレヒコールを浴びながら、数台の貸切バスで市街地へ向かった。

午前のうちに全港湾沖縄地本は沖縄港湾協会がともに会見を開き、那覇港のストライキを解除すると発表した。しかし八重山部会の組合員約50人はストライキに突入した。組合は「われわれの職場が軍事利用されることを懸念している」と訴えた。

今回のストライキは石垣島の物流に大きな影響を与えた。港湾の荷役作業がストップして物流が止まり、市内スーパーでは乳製品などが品薄となった。離島であり港湾労働者のストの影響力は確かに大きく、これをめぐって鋭い議論が展開された。

石垣市議会は翌12日の本会議で、ストの即時解除を求める要請決議を賛成多数(賛成12・反対8)で可決した。決議案は「(ストで)物流が止まり、離島への食料品、日用品、医療物資の供給が中断され、住民の命や暮らしに深刻な影響を及ぼしている」と主張した。

「危険な米艦船が来ることにノーと言うのが港湾を管理する市長の仕事で、労働者はそれを求めている」「港湾が軍事利用されようとしている。港湾労働者が置かれている環境を踏まえるべき」などの反対の声も。

全港湾は昨年9月に米海軍掃海艇が寄港した時もストで闘った(この時は自宅待機)。

強まる戦争の動き

日本政府は、安保3文書の改定以降、軍事利用目的に空港や港湾などの公共インフラの改修や整備を始めている。石垣港も「特定重要拠点空港・港湾」の候補に上がっている。先取りも含めて米軍が軍事利用を積極的に進めているのは明らかだ。常態化の懸念が高まっている。

台湾情勢、尖閣諸島をめぐる戦争情勢の最前線で米軍と自衛隊の戦争策動と軍事利用の動きが強化されている。

1月30日には北海道の苫小牧港に入港。艦長は「今回の寄港は日米同盟の強化の一環だ」と堂々と述べている。米海軍のミサイル巡洋艦「アンティータム」が2月6日に小樽港に入港し、ここでは自衛隊も参加した歓迎式典が行われている。

駆逐艦は予定を1日早めて13日の朝には港湾区域外に出た。バリケードも撤去された。

3月18日発行「国鉄闘争全国運動  会報166号より」

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