韓国の労働者の闘い(8月)
●韓国:鉄道庁、安全点検縮小、人員削減推進(毎日労働ニュース8月27日付)
400名解雇の危機…鉄道労組「一方的定員調整反対」
鉄道庁が、来年の鉄道公社への転換を前に、経営合理化を掲げて定員を400名近く調整するとした計画に対し、鉄道労組が「国民の安全にかかわる安全点検を縮小し、一方的に人員を削減するなどあってはならないこと」と強く反発している。
今月初めに発表された鉄道庁の案によると、200Km未満を運行する客車に対する事業検修を廃止し、2ヶ月ごとに点検(2M)してきた月常検修の実施周期を3ヶ月(3M)に延ばし、ディーゼル機関車や電気機関車の日常検修項目を大幅に減らし、車両事務所別に定員の294人を削減する。また、3つある車両管理団も、9月からムグンファ号の1年の検修事業量を車両事務所に移し、車両管理団の定員1965人を106人削減して1857人に調整する。
このことに関連し、労組のテジョン整備廠地方本部は「3組2交替と週5日制実施、新規事業導入による必要人員の新規採用をせず、現場の構造調整を通して人員を削減するなどということは、国民の安全と鉄道大型事故の予防という公共機関の義務を放棄するもの」と主張した。
実際、今回の案によると、1年あたり101.15項目に達していた旅客車両の検査項目が2年あたり13.19項目に減るというのが労組の説明だ。
また、テジョン整備廠本部は「鉄道庁が、日雇い職については定員調整もせずに現員と全く同様に維持し、技能職労働者だけを人員削減するという計画は、正規職を縮小して非正規職を増やすということ」だと反発している。
労組は26日、テジョン整備廠本部決議大会を皮切りに、17の車両支部と3つの整備廠本部が連帯して強力な阻止闘争を展開する計画。
●韓国:鉄道労組「特別団体協約交渉、9月から」(毎日労働ニュース8月30日付)
公社職員転換者の雇用安定など要求案確定…職級間差別撤廃、解雇者復職も
鉄道労組が、公社職員に転換した者の雇用安定保障、賃金体系変化、解雇者復職などを核心とする、鉄道公社転換に向けた「特別団体協約要求案」を確定した。
また、そのための労使交渉は9月から行うとし、同時に「特別団体協約勝利に向けた出陣式」を開催するなど、闘争も並行して進めてゆくことを決めた。
鉄道労組(キムヨンフン委員長)は、27日から28日までの2日間、キョンギ道にあるイワン鉄道人力開発院にて代議員124人など200人近くが参加する中、「特別団体協約勝利に向けた臨時代議員大会」を開き、このように決定した。
確定した特別団体協約要求案によると、鉄道労組は、公社職員転換者の雇用安定保障および経営を理由とした構造調整不可など、雇用安定を最優的な核心要求事案とすることを決定し、職級改編に関しては、技能職と一般職との間の差別を撤廃するよう求めることを決定した。
また、退職給与については、公務員年金から国民年金に転換する場合に発生する不利益部分に対する保障を要求するものとし、賃金構造の単純化、ならびに職務特性と不規則労働に対する保障、を中心とする賃金改編案も確定した。
勤務体系の改編に関しては、執行部が現場の意見をさらに集約した後、中央委員会を通して決定できるよう委任した。
特に鉄道労組は今回の臨時代議員会大会をとおして、組合費を基本給比1.5%から0.5%引き上げて2%にすることを確定し、これを解雇者救済に用いるとした。現在、鉄道には90人近い解雇者がおり、労組は今回の特別団体協約をとおして解雇者を全て復職させるとの方針を立てている。
鉄道労組はこれに向け、9月初めから鉄道庁との本格的な交渉に入る計画で、9月初めに「特別団体協約勝利出陣式」を行った後、「全国地区別組合員総会」を持続的に開催するなど、闘争を並行してゆく方針。
●鉄道解雇者、ソウル駅テントろう城目(毎日労働ニュース8月9日付)
解雇者原職復帰、不足人員補充など要求
2004年鉄道労組特別団体協約闘争勝利と不足人員補充、解雇者原職復帰に向けた鉄道解雇者のソウル駅テントろう城が8月9日で20日目を迎えた。
鉄道解雇者原職復職闘争委員会(鉄解闘、キムグィヒョン代表)は7月19日からソウル駅広場で無期限テントろう城を行ってきた。
鉄解闘は「今回のテントろう城を通して、鉄道庁の4・20合意破棄と不足人員補充、解雇者原職復帰を全面的に押し出す予定」だと説明している。特に鉄解闘は「下半期特別団体協約の締結を前に、増員なしの勤務形態変更、鉄道事業法に基づく分割民営化推進など、鉄道庁の挑発が露骨化しており、鉄道労働者の本格的な闘争を支援する」としている。
現在、鉄道労使は、3組2交替勤務形態への変更(現在24時間2交替)、週5日制実施、年金および退職金問題などを含め、公務員に準じた現在の団体協約を、来年の公社化にともなう新たな団体協約に変更するための今年下半期特別団体協約交渉を前にしている。
このことに関連して、鉄道労組ソウル機関車乗務支部が鉄道庁の常務計画表変更に対し「増員なしの労働強化」だとして8月2日からソウル駅でテントろう城を行うなど、増員と勤務形態の変更をめぐる労使対立はすでに始まっている。
一方、94年の全地協〔全国地下鉄労組協議会〕ストの解雇者から昨年6月ストの解雇者までを含めて90名の鉄道解雇者でつくる鉄解闘は、原職復帰まで無期限ろう城を行う方針。
(写真:ソウル駅広場で座り込みをする鉄解闘のメンバー。横断幕には「原職復帰」、プラカードには「料金値上げ反対」)
●テグ地下鉄、スト長期化で事故あいつぐ(ハンギョレ8月2日20:19付)
2日、車輪から煙、市民不安/7月30日にはホーム停車位置を40センチ超え、ドア開かず
テグ地下鉄のストが長期化していることにより、幹部および事務職員が列車の運行と点検を行っており、これによる事故が相次ぎ、市民の不安が高まっている。(後略)
韓国の労働者の闘い(9月) 民主労総ソウル地域本部の取り組みから
●貨物連帯に続いて「ダンプ連帯」登場(毎日労働ニュース8月30日付)
9月中に労組設立…「不当な過積載取り締まりや油類の高騰に耐えられず」
30日、民主労総ソウル地域本部のパクサンユン事務処長は「5月からダンプ運転手労働者の労組設立に関する問い合わせがあり、6月からソウル本部とともに数回にわたって準備の集まりを持った」とし、「9月17日頃、労組設立総会を持ち、公式に労組を発足させる予定」と表明した。
ダンプ連帯(仮称)はすでに7月14日から24日まで、ソウル北部、ソウル西南、インチョン、キョンギ・ファソンの4つの圏域で「ダンプ連帯(仮称)の民主労総加入に向けた総会」を開き、700名近くが加入を済ませている。
ダンプカーは建設現場に使われる土砂や骨材を運搬する大型運送装備で、これを運転する労働者は、貨物車両の運転手やコンクリートミキサー車の運転手のように、持ち込み車主の形態で雇用される。ダンプは、主に建設現場に使われる木材や土砂などを運搬するため、ブルドーザーや掘削機と同様、建設機械として登録されている。
5月末現在、建設交通部の建設機械登録現況によると、ダンプの登録台数は5万1571台に達しており、ダンプ連帯では組織対象を5~7万人程度と推定している。
ダンプ運転手と類似した雇用形態の貨物トラック運転手がすでに貨物連帯を組織しているが、その組織加速度が非常に早かったことから見て、ダンプ連帯も本組式が発足すれば組織拡大が加速するものと期待されている。
ダンプ運転手が労組設立に向けて動いているのは、関連法規の不当性と低価格運賃のせいだ。
最近、ソウル市が清渓川復元工事に着手して以降、主要道路や橋の付近で過積載車両の取り締まりが強化されているが、これにひっかかると車両運転手に約200万ウォンの罰金が科せられる。だが、過積載をすると燃料が消耗し、車両寿命も短くなるため、持ち込み車主であるダンプ運転手としてはこれを望んでない、というのが労働者たちの主張だ。
さらにダンプ運転手は、ミキサー車のように運搬回数で報酬を受けているわけではな
く、「日当制」で受け取っているため、運搬回数にこだわる必要がないという。
にもかかわらず過積載を強要されれば、やらざるを得ない上、取り締まりにかかれば過重な罰金を科せられるのは労働者であり、特にその件数が重なれば前科者になってしまう。
そこでダンプ連帯は、過積載が行われないよう荷主(資材運搬を指示する者)に対する指導監督を強化することとあわせて、過積載をしたら荷主も処罰するよう要求している。
ダンプ連帯はまた、「政府がダンプ車両の登録を過度に多く認可したため、過当競争で運搬費自体が非常に下がった」と主張している。ダンプ連帯は、車両維持と生計を可能にする「運搬費の適正化」に向け、△日当5万ウォン引き上げ(30万ウォン→35万ウォン)、△油類補助金適用、△ダンプ車両運転手の資格要件強化などの過当競争防止などを要求している。
●ソウル労働者統一サッカー大会開幕/9月5日決勝戦(毎日労働ニュース8月30日付)
民主労総ソウル本部(コジョンファン本部長)が労働者の統一意志と連帯意識を高めるために毎年開催している「統一念願ソウル地域労働者サッカー大会」が29日、開幕した。
今年で9回目になる今大会は、キア自動車、サンヨン自動車、鉄道、ハニャン大学病院などの計35チームが出場する。(後略)
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韓国鉄道関連報道
●「ストに備えた特殊戦司令部の代替人員養成反対」(レイバートゥデイ9月14日付)
民主労総プサン地域本部と鉄道労組プサン地方本部は14日、プサン駅広場で記者会見を行い、ストに備えた特殊戦司令部隊員の運行実習を中止するよう政府に求めた。
要求は「政府は、来年の鉄道庁公社転換を前に予想される労組のストに備え、現在、特殊戦司令部の隊員をスト代替人員として養成している」とし、無資格の特殊戦司令部隊員を対象にした運行実習を直ちに中止するよう求めている。
労組はまた、来年の鉄道庁の公社転換に関連し、「政府は高速鉄道建設の投資費用に全責任を負い、公社転換にともなう適正人員を増員せよ」と求めた。
鉄道労組は特に公社転換を前に、「高速鉄道を国民に」というスローガンのもと、△高速鉄道建設投資費用の政府負担、△鉄道事業法反対、△高速鉄道の料金値下げおよび割引率拡大などを求める100万人署名運動を始める方針。
●韓国:鉄道庁、2006年までに1500人線削減(ハンギョレ9月12日09:50付)
高速鉄道(KTX)の営業収入が低調で経営難に苦しんでいる鉄道庁が、来年の公社転換以降の2年間に人員を5%削減する方針を固めるなど、「耐乏経営」に入る。
鉄道庁は12日、国会建設交通委のカンギョンス議員に提出した「公社転換以降の赤字解消対策」と題する資料を通して、9月現在の人員3万人のうち、5%にあたる1500人を2006年までに削減するのに続き、2015年までに追加で10%(3千人)を削減する方針であることを明らかにした。
鉄道庁はまた、公社化にともない勤務体制を現行の「24時間2交替」から「8時間3交替」方式に転換しなければならないことから、2020年までに増員が必要と予想される2万人のうち1万8千人を外注で充当するとするなど、人件費を最大限減らす計画だとしている。
これとともに、今年7600億ウォンの経常経費も来年には13%程度減らし、6700億ウォンレベルで編成・運用する方針。
鉄道庁関係者は「来月末に『公社経営改善計画』の策定が完了すれば、より正確な人員削減計画が出される予定」だとし、「収益減少に伴う赤字解消に向け、人員外注化を通した費用節減に力を注いでいる」と述べた。
一方、鉄道庁は、今年1兆2700億ウォンと予想したKTX運営収入が、景気沈滞にともなう乗客減少と需要過多の予測で半分水準の6375億ウォンにとどまるものと予想している。