労働学校通信

第[期No.08


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次回講座のお知らせ

11月15日(土) 各13:00〜
 現代日本のナショナリズム
 第1回 「改憲のイデオロギーとナショナリズム」
  第2回 「戦後天皇制とナショナリズムイデオロギー」
 講師 伊藤 晃(千葉工業大学教授)
 『無産政党と労働運動』(社会評論社)『転向と天皇制』(勁草書房)『日本労働組合評議会の歴史』(社会評論社)など著書多数。昨年、労働者学習センターから『戦争と労働運動』を出版
*16:30より講師を囲んで懇親会を予定いたしております(会費1,000円)

労働学校通信 第8号 (2008.11.10発行)
がんばろう労働者!たたかおう労働組合!ひろげようインターナショナル

重要なテーマとして

 今日は、伊藤先生のお話です。戦前の左翼運動、労働運動、党派の運動における、「転向」という問題についてです。
 「転向」というのは、なんか権力から強制されて起こったということだけじゃなくて、内部にそういうものをはらんでいうという、伊藤先生の見方に独特のものがありまして、僕らも参考になりました。
そういうことに踏まえて、この「ナショナリズム」の問題、特に世の中が、金融大恐慌、世界大恐慌という状況になってきますと、権力者は国粋主義、ナショナリズムを扇動して、それで全体の労働者の目をそっちにそらしていくということを常に歴史的にやってきます。ぜひ重要なテーマとして勉強して行く必要があると思います。
 特にこの領域は、歴史的に見ると非常に弱いんですね、左翼運動は。だいたい全部それでからめ取られちゃう。ちゃんとした物の見方をつけていくという意味で、非常に大事ですので、その点に踏まえて勉強していただきたいと思います。

闘う陣形を整える

 資本主義が、ガタガタ音を立てて崩れようとしている。いい時代が来たと思わなければいけない。労働者が立ち上がって闘わなかったら、打倒するやつがいなかったら。また元の鞘に収まっていくわけだよ、何年かたったら。徹底的にわれわれがやっつけられてさ。
 やっつけられないためにも、これをどこかで打倒していく、ということを皆さんにお話ししておきたい。今そういう兆候が生まれてきた、世界中で起こっている。われわれは非常に空気が入っている。だけどそれによって迫りくるであろう労働者に対する様々な攻撃を考えると、やはり今ここで、闘う陣形を整えなければいけない。
 そういうときに、僕は11月集会、非常に重要だと思っている。さしあたり、今日本の現状の中で、本当に闘う労働者が一堂に会して、全国的な労働者の固まりをつくって、そういう状況に立ち向かっていくという決意をあらわにする。そういう意思統一をはかる11月労働者集会を、絶対なんとしても1万人を集めたい。そこを起点にして、あらゆる分野で闘いを展開すると。
(代表あいさつから)

ひとりは万人のために 万人はひとりのために

交流の広場−闘いの輪(受講生の声)を随時発行しています

感想文紹介

☆伊藤先生の講義は3回目か4回目かのような気がします。戦前の労働運動がなぜ産業報国会になっていったのか、なぜ労働運動の活動家が転向していったのか。その場合、単に国家権力から強制されるだけでなく、内的に進んで転向、迎合していくその論理。そのあたりの労働学校のブックレットになった著書も読み学習しましたが、今起きている4者4団体の政治和解路線、10・24集会に向かう動きはそういうものと重なると思いました。「つくる会教科書」を批判した講義と今回の講義は重なるものがありましたが、内容的には始めて聞く視点もあり、刺激になりました。重要な点の第1は、「実質的な改憲の進行」と日常的に闘うということであり、11・2労働者集会はまさに改憲阻止闘争の最大の闘いであると感じました。第2に、現憲法はつくられた時から日本の支配階級がそれを都合のよいように変えていこうとしたことがよくわかりました。天皇の「公的行為」の話があとから事実を追認する形で解釈され意味づけをされてきた事実は、改憲阻止闘争を考えていく場合も重要な点だと思います。第三は、大日本帝国憲法と現憲法との関係です。大日本帝国憲法的な内容が現憲法にも引き継がれ、改憲というのは大日本憲法的なものを復元する動きとしてあるということ。第四は新自由主義と改憲攻撃との関連です。新自由主義攻撃の破産が改憲を明示な形で進行させてくるということです。資本主義は終わりであるということをたたきつけ、改憲の目論見を粉砕しなければなりません。
 その意味でも4者4団体路線を粉砕しなければなりません。これは内部から自ら転向していく論理だからです。そのことを強く感じました。

☆安倍のナショナリズムについて……“国”への執着がものすごく強くて、寂しい人間だなあと思いました。生の人間どうしの信頼関係(動労千葉がつくってきたような)を知らないから“国”という漠然としたものにすがるしかない支配者達は人間として本当に貧しいと思います。しかし、労働者もとなりの仲間との団結が壊され、分断されている中では、そういうイデオロギーにからめ取られてしまう現実があると思います。自分の親も「自分は労働者じゃない」と言って労働者意識を解体させられて、つくる会に入っています。でも現実には夜中も仕事に呼び出され、いつ過労死するかと家族みんな思っていました。実家に帰ると、新自由主義史観の主張を延々と聞かされます。私はこれまでそのひとつひとつに、軍隊慰安婦の話や南京大虐殺の話をして反論してきましたが、対立するばかりでした。でも、父親の労働のあり方、会社への不満を引き出して話をしているうちに、「お父さんだって労働者でしょう?賃金もらって働いている。会社で働かなきゃ生きられない。それは労働者でしょ?」と問い質すと、「うーん、そうなのかなあ」と最近揺れてきたのです。そんな姿を見ても、やはり労働現場での対決がカギだと確信しました。
 だから私たちが今、職場や職場を越えてつくっている団結がナショナリズムを粉砕する最大の武器だと気づきました。そう考えると、ますます職場闘争が楽しく思えてきます。「労働者が社会を動かしてるんだ!」というスローガンも、国や企業あっての労働者という考えを粉砕する力がありますね。ナショナリズムや改憲粉砕もやっぱり労働運動がカギを握っているんだ!という実感が湧きました。自分の存在、闘いに自信もてました。

☆憲法闘争をいかに闘うか、という問題意識にたって、日本国憲法がいかにして生まれ、育ったか、その歴史的実態を提示していただいて、大変興味深く学びました。憲法でさえ(という言い方は適当ではないかも知れませんが)法一般と同様、現に生きている社会の歴史がつくりきったものということをつくづく考えさせられました。
 われわれが確信してやまなかった世界恐慌という現実をむかえ、先生の提案される「つなげていく」ということがさらに重要だと思います。

☆「憲法改悪反対!」と訴えながら、実質的には改憲は着々と進行している現実の中で、しかもこのかつて経験したことのないような経済大恐慌が支配階級をも右往左往させている情勢において、労働者民衆の人権どころか生きる権利まで徹底的に奪われてしまっているという、改憲反対闘争に絶望感を抱いてしまうようなこともありました。
 今日のお話を聞いて、改憲のイデオロギーをきちんととらえ、歴史的な経過も把握しておくことはものすごく大事だと実感しました。新自由主義が破たんしようとしている今、支配階級はあらゆる手段を尽くして改憲を断行するでしょう。それに立ち向かえる理論武装をすることは私たち労働者には必要なことだし、周りの人たちをも巻き込んでいける力としたいと思います。

☆非常に興味深く受講しました。昨年、今年と川崎で伊藤先生のお話を聞き、その時の在日外国人の人権、また沖縄の闘いへの言及など、もっと詳しく聞いてみたいと思っていました。
 自民党新憲法草案については、何度か学習会をもってきましたが、あらためて学習して、この内容は絶対に認められないと思いました。先日、靖国の『遊就館』に行く機会がありました。そこで展開されている歴史観は、今日の講義の中で批判されている内容そのものでした。『私たちは忘れない』と題する映画が上映されていたが、そこでは列強の暴虐に対するやむにやまれぬ反撃だという内容がおどろおどろしいナレーションで語られていました。こうした歴史観とまっ向からぶつかり合って労働者を獲得することが“攻めの改憲闘争”だとあらためて思いました。次回が楽しみです。

☆現行の日本国憲法が制定、公布されて60年余、作成した人々もほぼ生きておらず、またその前に起きた悲惨な戦争の歴史も、知る人がだんだん少なくなってきている中で、国民として当然のように享受してきた福祉、セーフティネットはことごとく取り外され、一方自分さえよければいいんだとばかりに個人主義が蔓延し、目を覆いたくなるような事件ばかりが毎日ニュースで流れているような気がします。
 沖縄の大部分を占領している超大国は、世界の警察どころか戦争をふっかけて回ってその中枢、周囲の人々は大もうけして笑いが止まらないんだろうし。
 日本の経団連など国家の繁栄を支えてきた(つもりの)やつらは、労働者を搾るだけ搾りとってきた末に史上空前の利益を叩きだし、利益は金持ち同士で分け合うといったペテンを強行してきた。(一部の会社は結局廃業に追い込まれたわけだが……)
 われわれ労働者が起ちあがり、行動を起こそうとすると、権力側はまさに憲法違反の条例などを強制執行し揺さぶり分断を狙ってきます。今日の講義は我々が民衆運動を展開する上で、権力、資本の横暴に立ち向かうため、もっと理論武装するため理解していかなければならない、と強く感じました。

☆現在〜今後の世界大恐慌〜日本(資本制)社会の崩壊という事態の中で、日本帝国主義が体制延命するためには、権威主義体制とそれを下支えするファシズム的な大衆運動、この大衆運動を推進するイデオロギーを死活的に必要とします。現在の日本にあっては、結局、天皇制を基軸とするナショナリズムにらせん的に回帰するしかないのでしょうが、しかし、安倍政権と「つくる会」の頓挫は、そういう支配層にとっては致命的だったと思います。その意味で、現在、日本の支配層は恐るべき経済的危機の中で、政治的イデオロギー的危機、すなわち全般的な体制的危機に直面しており、労働者階級にとっては決定的なチャンスが来ていると思います。
 今後、激しい深刻な社会的分裂の中で、体制防衛派と闘う労働運動潮流がけん引するプロレタリア革命派との荒々しい激突が始まっていく。結局ナショナリズムは、資本制護持のためのデマゴギーでしかない。資本主義を打倒し、新社会を切り開くリアルな展開の中で、ファシズム運動やナショナリズムイデオロギーを踏みしだいて闘うことの歴史的な意義と使命感を強くする講義でした。

☆改憲とか、ナショナリズムで統一していくとか、そんなにすいすいいくだろうか、と考えた。
 攻撃としてかけられてるけど、でも矛盾だらけのものを抱えた中での改憲やナショナリズムの攻撃だと思います。「民族の統一」とか「民族の利益」に対して、「万国の労働者、団結せよ!」です。ナショナリズムに対して、労働者の団結を確信もって訴えて粉砕していこうと思います。
 国家を通じて利益を実現するとか、国(や企業)の繁栄の中に労働者の生活があるというイデオロギーを、私たちの闘いでぶっ飛ばしていこうと思います。国家と結びつけてということに対して、やっぱり「万国の労働者の団結」でそれをぶっ飛ばすと。改憲も、戦後の支配のあり方を転換するということなんですね。ナショナリズムはそのためですね。
 一方で、労働者が労働者の団結、ということで、労働組合こそが歴史の最前線に登場する時が来たとものすごく実感します。支配階級の攻撃も、改憲の本質も、こういう労働者が国境も越えて団結するというところにかけられていると思いました。同じことばかり書いてしまいますが、だから労働者が、とことん闘って闘う労働者がとことん団結して、この改憲攻撃をぶっ飛ばしていくんだ、と思ってます。勝てると思います。

☆本日は伊藤先生による「現代日本のナショナリズム」を学ばせていただきました。「ナショナリズム」という言葉の意味もわからず(すみません)授業にのぞみました。かなり中身の濃い内容でしたが、難しくて途中で寝てしまって(本当にすみません……)いましたが、少しだけは分かったかなあ?っていう点はありました。
 第二次世界大戦後、日本国憲法は、第9条のもとで「戦争を放棄する」と記されていますが、なかなかそれが建前でしかなく、アメリカに軍事資金を投入したり、と矛盾な行動を日本はしていますが、この日本国憲法がなくなってしまう(改憲する)と戦争が生まれてしまう……ということも考えられるということが分かりました。なので、第9条は、かなりの規範力がある、軸になっていることもわかりました。
 しかしながら、この新自由主義社会、資本主義社会の中で、ナショナリズムが重要視されるも、国家の中、国の中では、どうしても資本家や企業が握っており、それでもやはり労働者階級が起ちあがり、声をあげることで、資本家を倒し、自分たちの本当の自由を勝ちとることで、本当の自分たちの権利が保障されるのではないかと思います。
苦しい中ではありますが、11・2の労働者総決起集会に一人でも多くの人たちが集まり、団結して世界の労働者とつながっていきたいと思います。

☆新自由主義の結果、労働者の大半、特に若い世代や高齢者が生きられない中で、生きるためには労働者階級の固まりとして国境を越えて資本主義(帝国主義)と闘って労働者階級として生き残らなければならないと思います。戦争によって生きようとする資本家と国家に対して、改憲を阻むためには戦争をできないように職場からの闘いをどうつくるかも重大です。
 戦前、女性が職場では産業報国会、地域には隣組や国防婦人会で自分の意見を言えず、組織されていったように、職場でも組合がなかったり、体制内組合では企業主義に組織されてしまう可能性は大きいです。が、その中でも仲間との団結を求めつながっていく闘いは可能であると思います。自分は労働者階級であり、仲間とつながることができる存在であるが、資本家は国家はお互いがつながることのできないものである、と気がつけば、可能だと思います。労働者階級のみが団結できる、排外主義、差別とも闘えるという実感が持てればナショナリズムとも闘えると思います。それは動労千葉の国際連帯の闘いが日韓米の労働者の労働運動として拡大している実践からも言えると思います。

労働者学習センター事務局
千葉市中央区要町2−8 DC会館 電話 043-222-7207 FAX 043-224-7197

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