労働学校通信

第Z期No.08

次回講座のお知らせ

11月17日(土) 各13:00〜
 近代日本史とナショナリズム
  第1回 「日本ナショナリズムの現局面」−改憲のイデオロギー
  第2回 「戦後の天皇制とナショナリズム」
 講師 伊藤 晃(千葉工業大学教授)
 『無産政党と労働運動』(社会評論社)『転向と天皇制』(勁草書房)『日本労働組合評議会の歴史』(社会評論社)など著書多数。昨年、労働者学習センターから『戦争と労働運動』を出版
*親睦会も楽しみです(会費千円)

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労働学校通信 第8号 (2007.11.10発行)
がんばろう労働者!たたかおう労働組合!ひろげようインターナショナル

火をつける

 この労働学校で勉強した若い人たちが「労働運動の力で革命をやろう」というスローガンを出した。「聖域なき構造改革」というスローガンに対して、労働者階級からはじめて出したスローガンだ。そういうことを通して、この数年間、闘いをやってくる中で労働学校が出来て、労働学校の中からはじめてマルクス主義みたいなものが久方ぶりに始まった。
 その中からストレートに、スローガンを出し、素直に活動する。屁理屈を言わない、変なことを考えない、オーソドックスにやる。そのことが力を発揮する時代になったと僕は思っております。
 そういう点で、この07年の情勢はけっして悪い情勢ではない。敵は万策を付き果たし、その結果は参院選で示されました。民主党に投じたけど、それはアンチ自民党でしょう。自民党はもうダメだという表現です。沖縄でも誰も予想しない11万6千人が集まった。この中心に労働組合が座っている。そして我々が11月4日を迎えることができる。

弱点を克服する

 この流れに水を差すのか、これに勢いをつけるのかということは、我々の取り組み次第。これにどんどん火をつけるということを我々の任務としてやらなければいけない。11・4をぜひ、この労働学校で学んだ皆さん達が先頭を切ってもらいたい。
 伊藤先生から、「近代日本史とナショナリズム」という講義を受けます。これは何のためにやるかと。このナショナリズムの問題だとか民族主義、愛国主義だとか排外主義だとか、こういう領域という意味では、非常に弱点ですね。
 あらゆる世界中の労働者階級にとって弱点です。特に日本の労働者の場合には「日本がどうか」ということをまず考える。またそういう宣伝にずいぶんやっつけられてきた。
 そういう領域で本当に真剣に闘っている闘いが常にねじ曲げられて、方向を間違っていっちゃう。結果としては労働者同士が相争うという方向に持っていかれちゃうという意味で、この問題については全く克服されていないと思うんですね。
 かつての軍国主義、天皇の下に大和民族みたいな形で、ああいうことをやった歴史を持っている労働者ですから、そこあたりをぜひ伊藤先生の方から提起してもらって、率直にその中で「労働者はどうあるべきか」ということについて学んでいきたい。今日と来月、がんばりましょう。
(10・20代表あいさつから)

ひとりは万人のために 万人はひとりのために

交流の広場−闘いの輪(受講生の声)を随時発行しています

☆(1)日本の労働運動、労働組合運動において、差別・排外主義との闘いは弱点、克服できていないと冒頭、中野顧問が言われましたが、やはりこれは大テーマですね。
 たしかに北朝鮮問題や様々な形で噴出する問題は、驚かされることがあります。
 しかし、その内容たるや矛盾だらけですし、脆弱なものだと思います。本質的には、しかしそれが常に国家暴力を背景にして加えられてきているので、影響力を持ってきているし、一定の物質力になります。
 だから問題は攻撃をされている在日や被差別人民に“がんばれ”というのではなく、その構造そのものをどうひっくり返していくのかを、真剣に考えなければいけないし、それはやはり核心的には労働運動の前進によって打ち破ることだと思いますし、それ以外ないと思います。
 そしてやはり核心はマルクス主義です。“労働者は社会の主人公”という立場、労働者自己解放の立場こそが一番大切です。
(2)次回期待しています。学習は老若男女、関係ありませんから……。

☆「労働者は職場も国境も越えて、階級として団結すれば勝てる!」−この展望と闘う方向性を全員が一つの火の玉となって指し示すのが11・4集会だと思う。
 そこから考えて、しかしこの団結と勝利を阻もうとする攻撃として、そしてとりわけ私たち日本の労働者階級が歴史的に超えられていない“弱点”として、排外主義−ナショナリズムと徹底的に、意識的に、とっくみあいのケンカとしての闘いが必要なのだと思いました。
 そういうところから、今日の講義を受けて、明治以来、日本はこのナショナリズムの攻撃を、伝統的な手法でやり続けてきたんだということが分かりました。これまでは「こんな考え方、事実と違うし、ナンセンス!」と怒って、それで終わり……という感じだったのですが(個人的には)、そうではなく、本当に敵の手法、イデオロギーをキチンと知ってつかみ、そこから根底的に批判をしていくことが、とりわけ生きた運動である労働運動を担う指導部こそ(労働学校に集う仲間は、皆そうした“指導部”として格闘している仲間だからこそ)、必要で死活的なのだ、と感じました。
 非常に傲慢な「先進国的国権主義」で「日本は遅れたアジア諸国のために、ああするしかなかったんだ」、ここには他のアジア国家の人民へのものすごい蔑視があるし、また労働者としては、分断を組織されてきた。“列強”での“2流”だからこそ、その対抗として「圧力」の強調だが、歴史観としても強調される。そして、自らの帝国主義国家としての侵略戦争は肯定され、しかもそこに労働者を組織しようとしているのが許せない!!
 また、安倍の国家主義の押し出し……日本の今のブルジョアジーがそこで勝負しようとしているということだと思います。安倍は倒したが、これを対象化するということ(日本には階級対立はない、なんて……!)。
 最後に、動労千葉に新しく入った彼が言っていた「労働者が闘ってきたとか、がんばってきたとか、教科書に書いてない!すごい意図的に作られている」という発言は核心だ!と思いました。労働者が歴史を動かしている、作ってる!

☆途中からの参加なので、「新しい歴史教科書」を中心に書きます。ナショナリズムは、いろいろな形を持っていると感じた。単一民族の表現は、私の考えでは間違っていると思います。日本には645年の仏教が伝わった頃は、朝鮮人(渡来人)が、東北、北海道に「アイヌ人」がいるからです。
 「表現の自由」ということがありますが、あまりに現実とかけ離れていると思います。
 ナショナリズムは特定の権力者が時代に合わせ、形を変えながら存在していると思う。労働者が多くとも、「労働者」中心の教科書を作らないのは、国にとって困ることが多いのだと私は考える。
 教科書がおかしかったら、自分の子供たちに正しいことを教えていこうと思います。
●今後の希望
 今の教科書と、昔の教科書のコピーなどの資料があれば、分かりやすいと思う。

☆ナショナリズムの問題は、労働組合の課題であることがよくわかりました。安倍は国家主義イデオロギーを掲げて登場した。一方で小泉構造改革をひきついで、安倍・御手洗路線で徹底的に「格差社会」をひろげた。「一つの民族」「一つの国民」を掲げながら、一方の資本家、資本家は労働者から徹底的に搾取して金儲けをして人間的にも腐敗している。もう一方の労働者は、明日生きていく賃金すら支払われずに、貧困にたたき込まれている。結局、安倍はこの労働者の怒りを抑えられず打倒された。「拉致問題」や改憲、教基法改悪を掲げて登場したが、一方で非正規雇用の青年たちが労働組合(団結)をつくって闘い、最大の焦点であった自治労や日教組の現場労働者も組合を解体されず闘ったことで安倍の目論見、改憲攻撃も粉砕された。
 ナショナリズムに対する闘いは、労働者と資本(国家権力)は非和解であると職場で闘うことだ。「日の丸・君が代」不起立闘争がナショナリズムを粉砕し、国際連帯闘争に発展している。沖縄の労働者が「新しい歴史教科書」を粉砕している。だから最後は労働組合、労働運動をめぐる攻防だと思う。
 体制内労働運動がさらに屈服を深めている。JP(郵政)労組が新しい綱領に「生産性向上」を掲げていることは決定的だ。新たな産業報国会運動です。組合が資本家を救済する最後の番兵として登場し、これに対して闘えなかった時に、ナショナリズムが本当に力を持って登場すると思う。そういう意味でも11月労働者集会は決定的です。共に闘いましょう!

☆最初に伊藤先生が「小泉から安倍になって、福田になった。けど、改憲への基本線は変わらない」と言っていましたけど、本当にその通り!!と思いました。福田は今「改憲」ということをあまり主張していないけれど、着々と準備は進めている……。
 わたしたちはそれに「目くらまし」されてはいけない。だからこそ、今の社会で起きている格差問題なども暴露して、労働者を組織していかなければならない。今、労働者は人間として扱われずに、奴隷のように朝から晩まで働いて、過労死が出たら、それはすべて労働者の責任にされている。この今のナショナリズム?(資本階級?)は本当に許せないし、変えていかなければ、私たち労働者は資本によって殺されてしまう!青年労働者を組織して、絶対に革命を起こす!!沖縄の労働者がそれを示してくれた。私たちが今やるべきこと、それは11・4に闘う労働者を1万人結集させ、各職場で反乱を起こすことです!残り2週間を動労千葉派としてやっていきましょう!!

☆「私たち労働者がこの社会を動かしているんだ」ということが分かってしまえば、資本家が言う国の危機なんてどうでもよくなります。
 ナショナリズムの側のメディアの「量」はやっかいですが、強い労働組合をつくっていくことが、その問題を解決することになると思います。

☆、「日本人は勤勉な民族で、戦後の焼け野原から今では先進国の仲間入りをするまで経済発展をとげた」とかよく言われると、気分よくなってしまったりした。無意識のうちにナショナリズムが入っていて恐ろしい。本当は「企業一家」という中で働かされた結果の「日本の発展」でしかない。」労働者は民族のもとに一体化するのでなく、階級のもとに団結するしか生きられないと思った。

☆11・4にむかってあと2週間となった。12万人決起を実現した沖縄高教組の松田さんを迎えるためにも、恥ずかしくない闘いをしなければならない。中野顧問の檄で本気になって頑張ってみようと思う。
 沖縄の決起で、日本の階級闘争もフランスやアメリカなどと同じく、本気になった労働組合や労働者の活動家の闘いが数十万の怒りとなって爆発していく時代に来たのだと思います。
 ナショナリズムとは、このような革命か戦争かの時代は、結局、資本家階級と労働者階級の獲得合戦だということを示していると思います。労働者階級に対して、歴史を抹殺、歪曲して、死生観をねじまげ、数千万の単位で非人間的な死を強制する。絶えず帝国主義の攻撃で生存の危機にさらされる労働者に対して、絶望を組織するものとして、扇動、宣伝される。
 たしかに数知れない敗北を繰り返してきたけれど、沖縄の労働組合を先頭にした巨万の決起は、これをぶち破れるんだという発言が、仲間の方からなされて、その通りだと思いました。やはり、帝国主義支配階級の利害−戦争と強搾取にしか延命の道のない姿を階級的に暴露し、労働者階級の生きる道は世界の仲間と団結していくことだと思います。
 最後に、新しく動労千葉に結集した仲間の発言で、「この歴史には労働者がガンバって闘ったということがない」ということが言われましたが、一切の歴史は階級闘争の歴史なんだという真実を突き出すもので、その堂々とした姿に感動しました。

☆ナショナリズムであおられた心情の基礎には、「国なくしては生きられない(国)民」という根源的に誤った感覚があると思います。少なくとも私にはありました。「経済が成長しなくなったら、不況になったら大変だ」とニクソンショックや石油ショックの時に感じていたものです。
 こういうぼんやりあいまいな感覚の誤りを正していくことが必要だと思うのです。「国」があらゆることを民営化しているとは「国民」に対するサービスを放棄しているわけで、「国」が私たちの面倒を見てくれるものでないことははっきりしています。医療費もどんどん自己負担は増えるし、生保もとれなくなっている。年金だって高級官僚と政治家と資本家がつるんで、いい加減な運用で、責任もって払えなくなっている。もう「国」は「国民」を食わせていけない!
 そして「国」は私たちを守らない。沖縄戦がその証拠だし、神戸の震災だって自衛隊は最初に芦屋の金持ちを守りにいったというじゃないですか。
 「国」なんかなくても生活できる! 「国」は支配階級の支配の道具に過ぎない!このことをはっきりさせる以外にナショナリズムを打ち破れないと思います。
 それにしても安倍が国民が主体的に「国」を支えるような、そういう国民につくりかえようとしていたという先生の指摘に、言われてみれば教育を支配するとはそういうことであり、再度安倍は永遠に地上に這い上がらないようにしたいと思いました。
 憲法の第1章に和辻、津田(って名前だけでよく知らないのですが)の思想が反映しているという指摘や、源氏物語論は他では聞けない伊藤先生の講義の独自性を一層際だたせるおもしろさでした。

☆ナショナリズムに対して警戒心を持つようにします。様々な局面でいろいろな形で現れてくる。ぼんやりしていると、なるほどなんて思ってしまいそうです。
 下手なサッカーになってはいけないという言葉が印象に残りました。それを防ぐには情勢を流れとしてとらえて、一つ一つの問題がその情勢の中でどういう意味を持っているかを見極めるようにしないといけないと思いました。大東亜共栄圏という思想がどのように受け入れられたのか、理解できたように思います。(今まではどうしてそんなものが受け入れられたのか分かりませんでした)
 「くに」に誇りを持たないと、自分に誇りを持てないという立場の人たちがいるようですが、自分に誇りを持つのに一番大切なのは、主体性を持つことなんではないかと最近思うようになりました。人が誇りを持って生きる社会をつくるためには労働者が主体性を獲得しなければならない。それが革命?

労働者学習センター事務局
千葉市中央区要町2−8 DC会館 電話 043-222-7207 FAX 043-224-7197

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