労働学校通信

第Y期No.06

次回講座のお知らせ

9月16日(土) 各13:00〜
 資本主義とはどういう社会か
 講師 鎌倉 孝夫(埼玉大学名誉教授・東日本国際大学教員)
 マルクス主義経済学者。『資本論体系の方法』(日本評論社)、『資本論とマルクス主義』(河出書房新社)、
『経済学方法論序説』(弘文堂)、『「国鉄改革」を撃つ〜公社交通の再生』(緑風出版)など著書多数。
資本主義社会について全面的、体系的に明らかにする
*親睦会も楽しみです(会費千円)

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労働学校通信 第6号 (2006.09.10発行)
がんばろう労働者!たたかおう労働組合!ひろげようインターナショナル

労働者がいないと

 資本主義社会というのは労働者が賃金労働者として存在しないと成り立たない社会なんだね。つまり資本家が金を出して設備投資とかいろんなことをやるけれど、それだけじゃ商品を作れない。労働者がいないとダメなんだね。だから労働者を徹底的に痛めつけちゃうと、資本主義社会は風前の灯火になる。
 だから例えば少子化社会なんかがあるでしょう。少子化社会になって一番困るのは資本家なんだよ。労働力がなくなるということ。労働者の賃金というのは、労働力の再生産費です。労働力再生産費というのは1人1人の格差がないという意味ではないですよ。トータルすると労働力再生産費以上の賃金というのは絶対ないんです。
 労働力再生産費以上の賃金を払っていた場合には資本主義社会は壊れます。だから労働力再生産費しか払わない。労働力再生産費ってなんなのか。つまり今日仕事が終わって、明日また働けるように寝るところがあって、喰うものがあって、ということがないと、労働力は再生産しないわけだ。毎日に徹夜だったらまいっちゃうでしょう。だからほどほどに寝られて、ほどほどに喰えないと困る。
 もうひとつ、それだけじゃ困る。次代の労働力を作らなければいけない。だから結婚して家庭を持って、子供を作らなかったら、労働力再生産費にならないんですよ。これも労働力再生産費に入っているんだね。
 だけど少子化になっているということは、その構造が壊れているということでしょう。年間200万とか250万ぐらいで、なんで子供が作れるんだよ。なんか作らないのは女が悪いなんていっているのがいっぱいいるけれど、冗談じゃないということですよ。子供を作れる条件を作っていないんだから。これは資本家が一番困る。
 資本主義社会というのは労働者がいないと成り立たない。今の状況をそういうふうに考えたほうがいい。なんかやっつけられっぱなしで、この先絶望感だけで、どうするんだと思わないで、俺たち、私たちがいなかったら今の体制は成り立たないんだと、しょせんいざとなったらそういう時代が来るぜと思って運動をやったほうがいいと思います、今日の講義はそういう意味では一番重要な資本主義社会の仕組みということですから、そこあたりをぜひつかんでいただきたい。
(代表あいさつから)

ひとりは万人のために 万人はひとりのために

交流の広場−闘いの輪(受講生の声)を随時発行しています

感想文紹介

働者が社会の主人公として行われる経済活動は、本当に崇高で素晴らしい活動だと思わずにはいられない。人間本来の能力を意識的に自主的に発揮して、経済活動を高めていく、このことを我々労働者が実践できたら、本当にやりがいのある活動になると思う。
 しかし、現実の資本主義経済の社会は、ひたすら資本家の利潤のためにボロボロになるまでこき使われている。その仕組みが本当にあくどい、本当に許せないものであることがはっきりとした。このことを労働者階級全体に広めていかなければならない。資本主義は一層の危機の中で、さらにあくどく暴力的に労働者に襲いかかってくる。だからこそ我々労働者は団結を強くして、社会の前面に出ていくような運動を推し進めていくことだと思う。

ず、はじめに鎌倉先生、ありがとうございました。以前、鎌倉先生をお招きして学習会を開催した時、私も参加し受講しましたが、まったくワケがわからずちんぷんかんぷん、他の国の言語を聞いているかのような状態でした。あれからだいぶ年月が過ぎ、私も労組役員をいろいろいくつか経験し、必要に迫られ自ら勉強したりもしました。そして今日、あれから時はかなり流れたまさに今日のこの講義、結構理解できることが多くなり、納得できる事が多くなり、時の流れを感じ、自らの飛躍も感じました。まだまだ理解できないこともありましたが、この調子でゆけばさらに5年後、10年後、私が私の労組の中で仲間のみんなに理論を説明できる時が来るなと確信しました。まだまだ自信はありませんが……。頼りない確信ですが、私も仲間にマルクスを説明できるかな……と。

働力再生産比として、当然賃金に盛り込まれなければならない生活費がどんどん削られていって、怒りが沸々とわき上がっているのを感じる。「新自由主義は暴力を伴う」と言われましたが、私は競争という側面、格差社会とかの側面しか見ていなかったのですが、言われるようにイラク侵略=資本の投下に都合のいいような状況を暴力でつくる。労働者から働く職場や財産を奪うということで、まさに暴力的ですね。
 3ページの(2)の説明の時、明治維新の時、土地所有を確定していく中ではっきりしない土地は固有となり、無産労働者を形成していったという過程をもっと教えて下さい。

回の講義では、人間社会の基礎が労働にあることを徹底的に強調された気がします。資本家は働いていない、資本家の活動は、搾取すること、これは富を作らない。こんな活動は入らないということが印象に残りました。
 今、青年労働者に対する強搾取や失業が取りざたされています。これに対して安倍などが再チャレンジの法制を整備するというようなことを言っている。しかし、これはなんの解決にもならない。労働者は解放されない。労働する、富を生み出すのは労働者であるにもかかわらず、出来た物は資本家の物になる。やはり、実体の社会の主人公が本当にそうなっていないことこそ問題にしないといけないと思いました。また、堀江や村上が取りざたされ、社会を支えている実体がなにか分からなくなっている中、株の操作や売買で経済が良くなるかのようなあり方が宣伝されている(特に青年労働者に対して)。これに対してもやはり今日学んだ資本主義のカラクリについて、はっきりさせる必要があると思いました。労働者が自分の持つ力に目覚めるということだと思いました。

は現在、神奈川県に住んでいて、東京に働きに行っていますが、東京にいるとどこでも建物があり、逆に虫や鳥があまりいないために私たち人間は自然から離れても暮らせるのでは?という誤った感覚に陥ってしまいそうになります。しかし、仕事を終え、地元に帰ってくると、雨が降った後には土臭いし、蜂や蚊や蛾がブンブン飛び回り、つねにそれらにおびえて生活している自分がいます。でも、それこそが人間らしい暮らし方なんだろうなと思いました。講義でも私たちは自然法則を作りかえることは出来ないと先生が言われましたが、今、私たちが住んでいる世の中では、そんな当たり前のことが忘れられ、人間が自然のすべてを支配しているつもりになっている気がします。だから過度に森林伐採して物質的に豊かな国や地域にモノとなって大量に輸送されても、それが変なことだとは思わなくなってしまっているのではないでしょうか?
 数年前からよく使われるLOHASという言葉、これはLIFE OF HEALTHY&SUSTAINABILITYといって、健康的で持続可能な暮らしという意味だそうですが、本当に持続可能な暮らしを目指すためには、まず人間と自然の関係を根本から見直さなければいけないと思いました。それが私たちのこれからの労働のあり方にも影響していくでしょうから。

象的な感想から……鎌倉さんの書かれたブックレットを読んだことがあると思うのですが、その時に持っていた印象とは違って、「資本主義とは……」というテーマが経済的にだけ解明される、接近して語られるという感じではなく、人間社会として接近されていて、すごく人間味のある(愛情ある)講義で感動しました。
 鎌倉さん本人が「自分が労働者」であるとおっしゃられていることも感動的でした。
・人間が自然に働きかけて(労働して)、人間社会を形成するということが全体の土台にしっかり座ることが資本主義を打倒し、社会主義社会、共産主義社会を展望できると思いました。そのあたりの討論は少しむずかしいと思っていたのですが、少しカベが突破されたように思います。労働協力体=社会の理解が進みました。ありがとうございます。

本は生産手段を奪いとってきた。
 そこで労働者を買って働かせて、利潤を得た。生産手段を労働者が得なければ労働力を売るしかない。生産手段を得るには資本から奪うということだろうか? 生産手段を得るとはどういうことか。得て、そこで何をするのか。自主管理、自主生産にもコストがかかる。ひとつの生産手段だけではダメだ。
 生産の主体は労働者だけど、そうではない。生産活動は資本家が支配している。国家はそれにどんなふうに関与するのか。今、金融資本になっていて、銀行が資本家からお金を巻き上げて、銀行と多国籍企業が儲けている。新自由主義? 新自由主義と帝国主義の争い。ドルとユーロの経済圏の争い? 何か実体がないですね。お金で動いているから、お金が動かしているような考えになる。お金で動かなければいいんだ。でも、お金で動く、お金をもらって働かなければならない。それだとお金で動いているのだから、お金で働く、そういう考えになる。お金で働いちゃいけないのか? お金が必要な社会だ。お金が必要でない社会にならないと、何時までもお金で働く社会だ。お金で働いてもお金が働いているのじゃなく、労働者が働いて動かしている。本当にそうなんだ。ストライキは大事だなーと思うし、ゼネストやらなきゃなあ。このまま働いていたら、お金が動かしている世の中に労働者は殺されるだろう。お金が必要な社会にしたがって、お金で働き、お金ですべて売ってしまう。ストライキじゃなきゃだめか?

前は労働運動の中でよく無産階級という言葉が使われたが、戦後はあまり使われなくなった。賃金労働者の本質を表す言葉としてわかりやすいと思うが、なぜあまり使われなくなったのだろうかとふと思った。
 イギリスや日本で、賃金労働者が暴力的につくり出される過程が話されたが、そのへんの知識があまりなかったなと思い、もっと勉強していきたい。昔、中学や高校?で習った囲い込み運動や地租改正など、懐かしく思い、暗記的にしか覚えようとしなかったが、その階級的な意味を考えるとおもしろい。
●今後の希望
 講義が長く、質問の時間がなかったのが残念でした。

初、レジュメをざっと見て、話を聞き始めた時は「すっごい難しそうだなあ」と思ったのですが、聞いているうちに段々と面白くなってきました。「経済学」というのは今、自分が存在する時代を客観的、科学的にとらえていく学問なんですね。過去の時代を「あの時代は〜だった」と論評することは簡単だと思うが、今自分が生きている時代を客観視してとらえることは非常に大変な作業ではないでしょうか。
★「創造性は発展の根拠である」「社会は労働協力体」「ずる賢いのが資本家に」「資本家は資本に動かされている惨めな人間」、それも名言だ、と思いながら聞いていました。
★車内で化粧する人は「化粧して会う相手(友人or彼氏)は意識するが、「それ以外の人間」は全く意識していないという問題なのではないでしょうか。

済の基本、資本の性質、資本主義経済について、とてもシンプルに解説していただいたように思います。今日の講義は根本的、原理的な内容だったせいかもしれませんが、例えば「労働」という言葉ひとつについても、私自身が普段使っている意味と若干違っていたり、難しいなあという感想を持ってしまいました。(私自身の勉強不足だと思います)
 経済の基本では、本来の経済の姿を学ぶことができて良かったと思います。「労働者は自らの労働の意味を考えて労働しなくてはいけない」という言葉には、ハッとさせられました。人間が労働をする時に、自然について考えなければいけないということもそうですが、今まで自分はただ決められた作業を決められたようにこなすことが労働だと思っていました。自分にとっての「労働のあり方」を考えなくてはならないと思いました。
 市場経済の特徴では、お金を持たなければ人間扱いされないということを聞き、まさにそのとおりだと思いました。サービスすらもお金を支払わなければ受けられない弱者がとことんまで苦しめられる社会だと思います。福祉行政の後退は、こういった社会では当然なのではないでしょうか。このままでは誰も生きていけなくなると思います。しかもその資本主義経済を生きながらえるために、労働者の労働力が取り込まれている、という矛盾についても、どこかで断たなければ、いつまでも地球の自然が破壊されるまで資本主義社会は続いてしまうと思いました。現状を打破するには、労働者1人1人の意識と団結ではないかと思います。自分自身も意識して考えていきたいと思います。

倉先生の講義を聞いたのは、今回で2回目なんですが、資本主義が労働者をどう支配しているのかという事が前回(昨年)よりも理解することができました。
 資本が労働者から「労働力」を買って、商品を作らせ、その儲けは雇った(労働力を買った)資本のものというのが今の社会。
 これは絶対におかしいことだ!社会を動かしているのは労働者なのに、労働力の再生産が出来るだけの賃金しか払わない。
 なおかつ、生活にかかる生活費を下げさせ、労働者に支払う賃金をカットする。賃金切り下げをしようとするなんて、本当に許せないし、怒りがこみ上がってくる感じです!!
 こんなことをしているから、8年連続で自殺者が3万人にもなっているんじゃないか!! 働きたくても働けない、年配の人から今度は医療費を3割もとるなんて、働けない者(資本にとって不必要なもの)は、死ねと言っているようなものですよ!
 そんな事絶対に許せない! 死んだっていい人間はこの世に1人だっていないんだ!職場でも患者さんが(年配の方です)「今度3割負担になっちゃったから、今までみたくは来られないなあ……不安だよ……」と言っていたのを聞いて、またさらに今の資本主義(帝国主義)社会を絶対に労働者、学生、市民の力で変えてみせる! 革命起こして、変えるんだ!と思いました。
 これから闘っていくなかで、資本主義とはどういうものなのか、ちゃんとつかんでおかなければ負けてしまいます。次回もよろしくお願いします。

労働者学習センター事務局
千葉市中央区要町2−8 DC会館 電話 043-222-7207 FAX 043-224-7197

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