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シリーズ「正社員ゼロ━解雇自由」社会を許すな@ A B

「正社員ゼロ━解雇自由」社会を許すな C

労働移動型への政策転換

  彼らは、こうした雇用・労働政策の歴史的転換を、「雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」と言っている。終身雇用的な雇用のあり方を最後的に解体して「首切り自由」社会をつくり出そうということだ。
 それは抽象的に言っているだけでなくすでに実行に移されている。2013年から15年にかけて、雇用調整助成金は1175億円から193億円に激減する一方、労働移動支援助成金は2億円から349億円に増えている。(図参照)政府の政策が、「雇用を維持した企業にカネを出す」から「首を切った企業にカネを出す」に明確に変わったのである。

雇用破壊の最後の扉が開く

 以上のように、安倍政権のもとで進められている攻撃は、労働者の雇用や権利についての考え方を根本的に覆すものであり、労働者への全面戦争を意味するものだ。
産業競争力会議や規制改革会議では、これまで述べてきたこと以外にも、労働時間規制の解体(残業代ゼロ法制定)や解雇金銭解決制度の法制化、職業紹介事業の全面的な民営化等が検討され、さらに、一旦は挫折して中途半端なままになっている「雇用特区」(国家戦略特区)の設置も議論されている。また、「一億総活躍プラン」では、「躊躇なく法改正の準備を進める」と言って、労契法、パートタイム労働法、派遣法の一括改正が強行されようとしている。
 とくに、規制改革会議等の議論では、《労働契約法と派遣法によって戦後労働法制をつぶすことができる》ということに全体の意見が収斂されている。改悪労契法施行から5年、改悪派遣法施行から3年を迎える2018年が歴史的な分岐点になろうとしている。「雇用崩壊」への最後の扉が開かれようとしているのだ。

国鉄分割・民営化攻撃の全社会への拡張

 起きようとしているのは、国鉄分割・民営化攻撃の全社会化だ。「5年、3年で一旦全員解雇」「『限定正社員』として選別新規採用」という国鉄方式の攻撃が社会全体に拡張されようとしている。こうして、労働者を、名ばかりの正社員、限定正社員という名の非正規職に突き落とそうとしているのだ。それは、国鉄分割・民営化に次ぐ労働運動解体攻撃に他ならない。
CTSが4月から導入しようとした雇用形態改悪攻撃は、この方針を最も忠実に就業規則化しようとしたものだ。全体の9割近くを占める非正規の社員全員に、労契法が施行された2013年を起点として「あなたの雇用期限はあと何年」と通告し、あるいは新規採用者は始めから最長5年の契約で雇用して、5年目に選考試験を実施し、合格した者だけを限定社員として採用する。「採用」という言葉を使っている。無期転換ではなく新規採用。しかも、その際の賃金は時給820円〜920円。時給800〜900円の「正社員」が生み出される。郵政でも同様の制度が提案され、JP労組が妥結している。郵政の場合は試験ではなく「5年目に勤務査定する」としているが同じことだ。
2波のストライキを構えて4月1日実施は阻止したが、CTSは10月強行を狙っている。闘いはこれからだ。この制度がどれほど激甚に社会のあり方を変えるのか。国鉄という一企業で起きたことでも、日本の労働運動が一旦瓦解するようなことが起きたのだ。それが社会全体に適用されようとしている。

現代の産業報国会をめぐる闘い

 化学総連(4万6千名)の離脱問題をめぐって連合が揺らいでいる。その背景にあるのは、安倍政権による労働政策の歴史的転換攻撃だ。
第2次安倍政権は発足当初から一貫して、連合の存立基盤にくさびを打ち込んで揺さぶり、改憲勢力として取り込むことに全力をあげてきた。連合会長との会談を拒否して「官製春闘」に引きずり込んだこと、労政審を形骸化させて連合が労働政策に関与する余地を奪ったこと等は、全部連合の切り崩しを狙ったものであった。また、「同一労働同一賃金」も、全労働者を非正規職並みの賃金に突き落とす攻撃であると同時に、UAゼンセンと手を結んで連合を分断する狙いをもっている。
櫻井よしこが一昨年の11月に産経新聞で「UAゼンセンよ、官公労と決別し、連合を分裂させよ」と言ったのも、明らかに安倍の意志を受けた主張であったし、昨年6月のUAゼンセン・逢見会長と安倍の極秘会談もそうだ。
労働法制解体攻撃と一体で、労働運動の大再編が始まっている。この情勢を階級的労働運動の再生へのチャンスに転化しなければならない。求められているのはこの攻撃に立ち向かう労働運動の変革だ。

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
 
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