DC通信No.45
韓国の労働者の闘い・7月
国際連帯委員会
04/07
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DC通信目次 

韓国の労働者の闘い(7月)

動労千葉国際連帯委員会

●鉄道・タクシー・貨物、下半期共同闘争準備(毎日労働ニュース7月30日付)

9月、共闘本部発足、10〜11月総力闘争

 鉄道労組(キムヨンフン委員長)、運送荷役労組と貨物連帯でつくる貨物統合労組準備委(キムジョンイン委員長)、民主タクシー連盟(クスヨン委員長)は去る6月、運輸労働者共同闘争本部(準)を立ち上げ、今月に入って闘争企画団研修会、代表者企画団連席会議を開いた。
 共闘本部で準備している下半期の闘争計画を見ると、8月に各地域別の要求事項と共同要求事項を確定した後、代議員大会などを通して闘争を決議する予定で、9月には共同闘争本部を立ち上げ、本格的な対政府交渉などに突入する計画。さらに10〜11月にはゼネストを含む総力闘争に突入する方針。
 共闘本部(準)は「昨年の鉄道、貨物連帯のストの過程で、個別組織が闘争を行った場合、生き残れないということを確認した」とし、「鉄道、タクシー、貨物の3組織の共同闘争を基本に配置するが、民主労総と運輸連帯レベルの下半期闘争戦線を強化してゆく計画」だと明らかにした。
 こうした下半期共同闘争を計画している3組織は、昨年と今年のストにともなう対政府合意事項の履行および制度改善などを土台に、運輸労働者の労働条件改善・生存権確保、市民の安全確保などを共同要求案として確定するものとみられる。
 鉄道労組の場合、公社化にともなう特別団体協約の締結とともに、鉄道民営化阻止などが下半期闘争の目標となるものとみられる。貨物統合準備委は、事業用車両の軽油価格引き上げ阻止・貨物車両への免税油供給、免許の需給調節などが下半期の主要要求だ。
 民主タクシー連盟は、今年6月のストにともなって政府と合意した、免許制度改革、油類費負担撤廃・全額管理制強化立法、タクシー労働者雇用安定基金の設置などに対する制度化闘争を予告している。

●「公務員スト権、一歩も譲歩できず」(ハンギョレ7月30日18:26付)

キムデファン労働部長官、不認定方針を固守/韓国労総委員長、大企業労組を批判

 キムデファン労働部長官は30日、「下半期に公務員労組立法を行うが、スト権について政府は一歩も譲歩しない」と述べた。
キム長官はこの日、チェジュのシルラホテルで行われた全国経済人連合会の「チェジュ・サマーフォーラム」招待講演でこのように述べ、「使用者格の国民が望まない公務員スト権は認められない」と述べた。キム長官は「法外労組である全国公務員労働組合がこの問題で全面戦を行うものとみられ、夏休みが終わったらかなりうるさいことになるだろう」とし、「一部の進歩的知識人などが問題提起をしたとしても、政府方針を固守する」と述べた。
キム長官はまた、LG精油や病院労組などのストに関連し、「ストが終わったとはいえ、当初表明したとおり厳重な責任を問う」とし、強硬姿勢を示唆した。
キム長官は、現在の労使問題の様相については、「労使政の3主体が、自省するのではなく、互いに非難しあうなど水準と実力が低い」と批判した。
キム長官の前に講演したイヨンドゥク韓国労総委員長は「高賃金である大企業労組の力が強ければ、その影響で非正規職化と下請け会社の納品単価切り下げという問題が生じる」とし、一部の大企業労組を批判した。イ委員長はまた、「1国1労組の原則から見ると、2大労総の存在は消耗的であり、互いに競争的かつ政治的になる」とし、時期はわからないが2大労総が一つになることが望ましい」と述べた。

●地下鉄5労組、史上初の同時スト突入(民主労総機関紙「労働と世界」299号 7月26日付)

 全国4大都市の地下鉄5労組が7月21日午前4時から一斉にストに入った。軌道連帯に所属する5つの地下鉄労組(ソウル・インチョン・テグ・プサン地下鉄労組と都市鉄道労組)は、スト突入の直前まで交渉を行い、人員増など争点に対する合意を試みたが、政府と公団が前向きな案を提示しなかったため、結局ストに入った。全国4都市の地下鉄労組の同時ストは史上初。

 労組はストに先立つ大詰めの交渉で、当初の要求だった「30%の人員増強」から一歩退いて「総人員比16%増」を修正案として提示したが、公社側は「人員凍結」の立場を曲げなかった。(労組側は「16%の増員は、現在の作業組に各1名を加える水準であり、週5日制施行にともなう最低限の措置」だと説明している)

 これにともない20日夜1時頃に交渉が決裂したインチョン地下鉄に続いて、残りの4労組もスト突入の時点で交渉中断を宣言した。しかし労組側は、スト突入後も交渉窓口を開いておき、最大限、誠実交渉に臨む方針で、スト初日の21日も、それぞれ実務交渉と本交渉を行った。

 軌道連帯共同闘争本部は21日朝、記者会見を行い「職権仲裁と強硬弾圧では問題は解決しない」とし、「イミョンバクソウル市長とノムヒョン大統領は誠実交渉に臨め」と重ねて要求した。軌道連帯はさらに、「今回のストを不法だとして非難するのは穏当ではない」とし、「軌道産業の公共性強化と雇用創出、青年失業の解消など労組の要求は公益に合致する内容」だと強調した。

 諸労組はスト突入前日の20日夜、ソウル、プサン、テグにそれぞれ集まり、「前夜祭」を開いた。22日現在、ソウル・インチョン地下鉄と都市鉄道労組の組合員8千名がソウルのチチュク車両基地で、プサン(1600名)とテグ(900名)労組もプサン大とウォルビ基地でそれぞれストを行っている。

〔写真:地下鉄スト前夜祭。7月20〜21日、ソウル・チチュク車両基地〕

〔写真:代替人員として地下鉄に非常投入された軍。7月21日朝、ソウルのシンドリム駅にて〕

●4大都市地下鉄スト…非常体制稼働(ハンギョレ7月21日14:02付)

 ソウル、プサン、インチョン、テグの4都市の地下鉄労組が7月21日午前4時を期してストに入り、各自治体が代替人員を投入するなど非常運送体制を稼働させ、さしたる支障もなく正常に運行された。

 これにともない、地下鉄を利用して出勤する市民に大きな影響は出なかったが、ストが長期化した場合、電車の運行間隔維持と、非労組員である代替運転士の持続的な投入などに困難が生じ、運行への影響は不可避と予想される。

 ソウル地下鉄公社と都市鉄道公社の労組は、前夜まで続けられた公社側との交渉に進展が見られないことから、この日、予定通りストに入った。これに対しソウル市と両公社は地下鉄公社の所要人員3438人の147%に当たる5070人を、鉄道公社の代替人員6467人をそれぞれ投入し、列車の正常運行を維持している。(後略)

ゼネスト宣言文

ソウル地下鉄労働組合、インチョン地下鉄労働組合、都市鉄道労働組合、プサン地下鉄労働組合、全国軌道2万労働者は、今日7月21日4時を期してゼネストに突入することを宣言します。

 ゼネスト前夜祭を死守してくださった同志の皆さん、そして全国の2万軌道労働者同志の皆さん!

 われわれはこみ上げる怒りで、そして、あふれる感動の喜びでこの場に集まりました。われわれは、少し前まで、5社労働組合すべてが息詰まる交渉を行ってきました。しかし、職権仲裁と不法スト宣伝に頼る経営陣は、ついにこの時間まで、進展を示すいかなる案も提示しませんでした。

 最後まで忍耐と対話で妥結の努力を尽くしてきたわれわれの期待を水の泡にしてしまいました。

 われわれは今、歴史的な軌道労働者のストを宣言しました。

 われわれの闘いはわれわれの未来を守る闘いであり、市民の安全を守る闘いであり、仕事の分かち合いという国民の要求と軌を一にした闘いであり、史上初めて全国の軌道労働者が企業を超えて共に闘う歴史的なゼネストです。

 2万軌道同志の皆さん、勝利することを恐れるのはやめましょう。われわれの正当な闘いは必ず勝利し、指導部は必ず勝利に導きます。

●タンビョンホ「5年使ったハチマキ、ホソプ委員長に」(毎日労働ニュース7月21日付)

地下鉄ストの表情

○…ストに参加した地下鉄労組員は、それなりに特権を享受している。出陣式の会場からスト結集地に移動する際、料金の精算をせずに改札口を通過する一方、労組員のための終着地特別案内放送も流れた。

 社内放送で「ストに参加中の労組員はヨンシンネ駅で下車です。ヨンシンネ駅まであと3駅です」という案内が流れた。また、クパパル駅止まりの地下鉄に乗っても、労組員の目的地であるチチュク駅まで列車は運行された。

○…スト前夜祭に参加した民主労働党のタンビョンホ議員は、地下鉄労組のスト勝利のために、大切にしていた品物を贈った。タンビョンホ議員が1999年の金属連盟委員長の時代からズボンの尻ポケットに入れている「闘争ハチマキ」を地下鉄労組に贈ったのだ。

 タンビョンホ議員は「軌道闘争に必ず勝利せよという意味」だと述べ、ソウル地下鉄労組のホソプ委員長にハチマキを渡した。そのハチマキには、当時の民主労総のスローガンだった「週40時間戦取」の文言が印刷されており、「週5日制、人員増強」戦取闘争を闘っている現在の地下鉄労組の状況と微妙にマッチした。

○…21日のスト前夜祭で公共連盟のイホドン委員長が演説の途中に歌を歌い、組合員の歓呼を受けた。

 「解放駅に着くときまで」という歌をうたったイ委員長は「軌道労組が公共連盟の傘下に全て結集して以降、一般の予想を破って短期間のうちにゼネストを行い、私も同志に対するサービスの意味で予想を破って歌をうたった」と述べた。

 特にイ委員長は「解放駅に着く時まで」を選曲した理由について、「イミョンバク市長の別名はブルドーザー」だと述べ、「歌の歌詞に『散弾銃やブルドーザーでわれわれを止められるか』という内容があったのでうたった」と述べ、笑いをとった。

 「高賃金」主張、マスコミ報道に怒り

○…都市鉄道労組のアンホンギ駅務本部長は、スト出陣式で、参加者の少ないいくつかの支部をひき帰させる「剛胆さ」を示した。アン本部長は「参加組合員が30人を超えていない支部はストに参加できない」と述べ、「一緒にストをやりたければ、各支部に帰って組合員をつれてこい」と指針を出した。

 アン本部長の言葉に、スト出陣式に参加した組合員らは激励の拍手を送り、駅務本部所属ではない他の支部が、出陣式に参加していない組合員に急いで電話をかける姿も演出された。

○…チチュク基地廠に集まった組合員は、マスコミに非常に敏感な反応を示した。一部のメディアが事実をねじ曲げて地下鉄労組組合員の年俸を膨らませて報道したことが伝えられたからだ。(中略)

○…21日、組合員は各種集会や教育・文化行事でスト初日を過ごした。(後略)

●地下鉄公社、労組幹部25名を職位解除(ハンギョレ7月21日16:01付)

 ソウル市地下鉄公社は7月21日、人事委員会を開き、ソウル地下鉄公社労組のホソプ委員長など労組幹部25名を職位解除する一方、同氏らを労働組合および労働関係調整法違反と業務妨害の容疑でソウル・パンベ警察署に告訴したと発表した。

 ソウル市はまた、本社と現業部署長に公文書を送り、ストに参加した所属職員に22日午前11時までに復帰し勤務するよう通知せよと指示した。(後略)

●「市民の安全」のため地下鉄を変えよう(毎日労働ニュース7月21日付)

 ペクセンハク・ソウル地下鉄労働組合教育部長

 われわれ全国地下鉄労働組合軌道連帯は、7月21日4時からゼネストを警告してきた。今回の全国地下鉄軌道連帯共同闘争の最大争点は何か?

 ソウル地域の1〜8号線で03年の1年間に85件の死傷事故が発生した。自殺が58件、墜落9件、ドアに挟まれ、あるいは列車の側面にぶつかる事故など、社会的貧困、疎外、失業問題により次第に増えつつある趨勢だ。99年の48件、2000年の43件、2001年と2002年のそれぞれ48件に比べると2倍近く増えている。

 ソウル市は2002年12月9日、電撃的に1時間の延長運行を施行した。延長運行を強行しながら、安全のための必要人員や深夜時間の酔客保護など、いかなる対策もソウル市はとらなかった。

 24時から1時へと運行が延長され、夜間に行われる施設点検が1時間削られた。延長運行を強行した当時、ソウル市は人員増強(技術分野205名)を約束したが、いまだに新規の増員はなく、32名のみが他の職種に転職した。

 地下鉄を利用する市民の安全は、地下鉄を運行し、維持・管理・保守を行う人員数と直結する。また、障害者の移動権保障や乗客の道案内など、利用客に対する親切なサービスも人員と直結する。

 1人常務制でなかったならテグ地下鉄惨事の様相も違ったものになっていただろうというのが市民団体や専門家の見解だ。一度に1000名を超す乗客が降りる列車を1人の運転手が責任を持って動かす1人乗務制が、運転手自らトンネルに飛び込み命を絶つパニック障害を引き起こしたという指摘だ。

 ソウル市はすでに2000年にIMFを理由にソウル地下鉄1621名、都市鉄道1656名を削減している。現在地下鉄公社は「3年内に黒字経営」を通して2006年までに2773名を削減するという計画だ。人員削減の理由は、地下鉄の黒字経営のために労働者の総額人件費を削るというものだ。このような人員削減を、何の関連もない週5日制と結びつけて施行し、人件費を減らそうというのだ。

 ソウル市は今年6月、出入りの記者を集め、「現行の不合理な人員構造および勤務形態を改善すれば今でも人員が余る」と主張し、人員削減の意志を露わにした。

 また、ソウル市は03年度の公社の財務状態を説明し、「負債総額が3兆352億ウォン、経営赤字の累積額が4兆8763億ウォンに達する」とし、「労組の賃上げと人員増強要求は、料金をそれに見合ったものにしなければ不可能」だと主張する。まるで人件費が全ての赤字の原因であるかのように、そして「料金値上げ=賃上げ」であるかのように市民にねじ曲げて宣伝している。

 一日に1千万名を輸送する庶民の足である地下鉄。今も安全事故が絶えず、いつ事故が発生するかも知れない状況にあって、人員削減で赤字を解決するというソウル市の発想は、第2のテグ惨事を招くおそれを生じさせている。

 03年6月、公共連盟がハンギルリサーチに依頼して実施した「地下鉄の安全運行に関する国民世論」は、市民の大多数が、予算増加を伴ってでも2人乗務制を実施し、全てのホームに安全要員を配置することなどを望んでいるということを示した。

 結局ソウル市民は、社会の公共性に基づいて地下鉄が安全に運行されることを望んでいるのであり、それにともなう人員増を望んでいると見るべきだろう。ソウル市は、いわゆる黒字経営に基づいて市民の安全を無視し、収益性の論理で接近するという発想を捨てなければならない。市民世論を無視してはならない。

 先日の、一方的に押し通された大衆交通体系・料金体系の再編にも見られるように、庶民が利用する大衆交通である地下鉄を商売の論理で押し通すなら、イミョンバク・ソウル市長は市民のさらなる抵抗に直面するだろう。

 先日の、施設老朽化と人員不足によるテリム駅地下鉄事故は、多くの市民を真っ暗なトンネルとタンサン鉄橋の上に1時間も縛りつけて恐怖に震えさせ、多くの市民にテグ地下鉄惨事を思い起こさせた。恐怖を感じた市民が線路に降りて激しく抗議する姿をイミョンバク市長は忘れてはならない。

●「脅されて行う『対話』は屈従に帰結」(毎日労働ニュース7月21日付)

 民主労総「対政府闘争」本格化…イスホ委員長、剃髪断食ろう城突入

 民主労総の7月21日の「第3波総力闘争」は、地下鉄とLGカルテクス精油のスト闘争と絡み合い、政府に狙いを定めた闘いにその性格が変貌しつつある。

 民主労総はこの日、地下鉄5労組、科学技術労組、京畿道労組がストに突入し、LG精油労組、保健医療労組ソウル大支部、民主タクシー連盟チョンオ交通分会、テウ自動車労組、サンヨン自動車労組など未妥結の事業所がストを続けていると発表した。

 民主労総は21日午後、ソウルの宗廟公園で、この日ストに突入した組合員など3千人が参加する中、決意大会を行い、政府の職権仲裁回付方針と公権力投入の脅しを糾弾した。

 イスホ・民主労総委員長は「職権仲裁と拘束の脅しに直面している組合員と、イラク派兵強行を阻止できていない状況に対し責任を痛感する」と述べ、この日の決意大会のはじめに剃髪式を行い、断食ろう城を開始した。

 イ委員長は「脅されて行う対話は屈従に帰結する以外にない」と述べ、「一連の事態に対し民主労総委員長として深い怒りと背信感を感じる」と剃髪断食ろう城の背景を説明した。また、「職権仲裁、公権力の脅しという政府の反労働政策とイラク派兵強行に対する抗議の表明として剃髪断食ろう城に入る」と述べた。

 イ委員長は前日の記者会見で、労使政代表者会議に参加するかどうかについて、「何日か見守った後に参加するかどうか検討するしかない」と答えた上で、この日の剃髪断食ろう城を開始した。こうすることで政府に前向きな態度変化を求めたものとみられる。

 しかし、社会的対話の枠組みへの参加を積極的に検討しているイスホ執行部の立場にあっての労使政代表者会議への不参加宣言は「最後の選択」と読まれかねないという負担も作用している。これにともない、代表者会議発足の当時、延期の可能性を含ませておいた点を念頭に、8月に決まる代表者会議の日程が一旦延期される見通しが高まっているものと伝えられている。

 一方、民主労働党も21日、労働界のストに関する緊急声明を発し、「地下鉄ストはすでにかなり前から予告されていたものであり、政府と使用者が何の準備もなしに労働者に一方的な犠牲のみを強要し、週5日制を実施しようとしていることこそ問題の原因」だとし、速やかに対話に臨むとともに、公権力投入を通した事態解決ではなく、積極的な調停と対話に臨むよう要求した。

●公務員・鉄道労組「地下鉄スト無力化策動容認できない」(毎日労働ニュース7月15日付)

 券売・安全管理、列車増便など代替人員投入拒否へ

 軌道共闘本部が7・21ゼネストを予告している中、公務員労組(キムヨンギル委員長)と鉄道労組(キムヨンフン委員長)も代替人員投入拒否など連帯闘争に乗り出す方針だ。
 全国公務員労働組合は9日、軌道本部のストに対する連帯闘争指針を確定し、傘下組織に下ろした。労組は「市民の安全と公共サービスの強化に対する本質的な対策は後回しにしておいて、軌道労働者の正当なストを無力化させようとする反労働者的発想に対し、断固たる拒否と強力な連帯闘争で答える」と表明した。
 労組が確定した指針によると、代替人員の動員指示が下りた場合、組合員は各組織に直ちに通報し、各支部と本部は中央の方針に基づいて代替人員投入の指示を拒否する闘いを組織的に行うとしている。また、軌道共闘本部のスト支持・代替人員動員拒否の声明を発表し、スト闘争前夜祭に参加する方針をおろした。
 ソウル地域の各自治体公務員の場合、地下鉄がストに入るたびに、券売、安全管理などの業務に代替人員として投入されてきたが、公務員労組が公式に発足した2002年は、ソウル地下鉄労組のスト警告にともなう代替人員投入を拒否し、これを撤回させている。
 労組関係者は「公務員が労組を作っていなかった当時は、地下鉄ストの最中に投入され、家族を脅迫するなど軌道労働者のストを弱体化させるために動員された痛苦の記憶がある」と述べた。
 一方、軌道共闘本部に参加しているものの、9月の特別団体協約締結闘争に向けて今回のストには参加していない鉄道労組も、7日、全国支部長会議を開き、市民に対する宣伝戦、鉄道庁の列車増便計画拒否・安全運行闘争などの支援闘争を決議した。

●民主労総、下半期政治スト推進(毎日労働ニュース7月14日付)

 「イラク派兵撤回・FTA交渉阻止」要求…10月末に全組織で争議行為賛否投票

 民主労総は7月13日、中央執行委員会を開き、10月末〜11月初めに争議行為賛否投票を実施する日取りを含めて、下半期事業計画を論議した。この日論議された内容は20日の中央委員会を経て8月末の代議員大会で確定される。
 民主労総はこの日中執に提出した案件の中で、下半期の核心要求として△イラク派兵撤回、△市場開放と構造調整、雇用不安を引き起こす韓日・韓米自由貿易協定(FTA)、韓米投資協定(BIT)、ドーハ開発議題(DDA)交渉阻止、△非正規差別撤廃、立法戦取、△損害賠償仮差押えに関する法改正、最低賃金法改正、公務員労組の合法化、職権仲裁条項の撤廃、労災保険法改正、産業空洞化阻止、△国民年金法改悪阻止など5項目を提示した。
 これに向け総力闘争本部を設置し、実質的なゼネスト体制を整え、事あらば直ちにゼネスト戦術に突入できるように構える計画。総力闘争本部は中執を転換した形をとり、具体的な闘争レベルやストの時期を決定する単位となる。
 民主労総はこれとともに、8・15民族統一大会に組合員1万人の参加を組織するなど、解放60周年の来年を「自主的平和統一の元年」として迎えるための事業を展開し、組織革新委員会の活動を通して全般的な革新事業を展開することなど、下半期の事業方向を明らかにした。
 これに先立ち「イスホ執行部」は、2006年に組合員全体が参加する、威力あるゼネストを展開するとし、これに向けて今年は産別労組建設事業などで組織力を倍加させ、指揮体系を確立すると表明している。こうした基調の下で推進される今年下半期の政治ストは、「警告性ゼネスト」または「2006年ゼネストを準備するスト」と解釈される。
 イスボン民主労総教宣室長は「イラク派兵撤回やFTA交渉阻止など事態の深刻性から見て、警告性ストが必要な状況」だと説明した。

●民主労総「派兵撤回野宿ろう城に積極参加」(毎日労働ニュース7月14日付)

 徹夜ろう城後、15日「国会進入闘争」も

 イラク派兵に関連する物資輸送が始まり、国会に派兵再検討決議案が提出された中、民主運動陣営による派兵撤回闘争の動きも再び活性化している。
 民主労総はイラク派兵反対非常国民行動として、7月14〜15日に国会前で行われる野宿ろう城に積極的に参加することを決定した。
 民主労総はまた、このことを通して、国会を圧迫し、国政調査の争点化、派兵撤回闘争を大衆的に広げてゆくとの基調のもと、毎週土曜のろうそく集会への参加など組合員実践闘争指針を示達した。
 組合員実践闘争指針は、△横断幕掲示、△派兵撤回請願署名運動、△派兵に賛成する国会議員を対象にサイバー闘争〔メール攻勢など〕、△派兵撤回決議大会への参加など。民主労総は「〔現在イラクに派兵されている〕ソヒ・チェマ部隊の派兵期限が12月末までとなっているが、延長の可能性が高いため、派兵撤回闘争は今後も続けられるべき問題」だとし、「派兵撤回運動を大衆的に広げるための重要な契機と認識すべき」としている。
 一方、イラク派兵反対非常国民行動は、1泊2日の野宿ろう城後、15日の臨時国会閉会にあわせて国会進入闘争を行う予定で、警察との衝突が懸念される。
 また、来たる24日にイラクに発つ軍需物資輸送船の出航を阻むため、釜山地域を中心にろう城や阻止闘争を行い、嶺南(ヨンナム)圏〔慶尚道(キョンサンド)地方〕集中大会を開催するなど総決起闘争を行う計画。

●軌道共闘本部、19日から順法闘争(毎日労働ニュース7月14日付)

 13日〜15日、夜間総会で決議

 軌道共闘本部が、ゼネスト突入〔7月21日予定〕に先立ち19日から地下鉄の運行間隔に直接的な影響を与える順法闘争を開始する。
 共闘本部の所属するソウル地下鉄労組とソウル都市鉄道労組は13日、クンジャ車両基地と6号線のワールドカップ競技場駅でそれぞれ「週5日制をめぐるソウル市との交渉要求に向けた」夜間組合員総会を開き、地下鉄利用客に直接影響を及ぼす順法闘争の日程を19日から実施すると発表した。
 共闘本部所属のインチョン地下鉄、テグ地下鉄労組は14日、プサン地下鉄労組は15日に組合員総会を開き、同じ内容の決議をあげる予定。
 共闘本部の順法闘争は、法に明示されたとおりに各鉄道駅の停車時間を順守し、各車両基地で、規定された検修および整備を履行することなどを内容としており、各鉄道駅間で車両運行時間の間隔が広がることは避けられないものとみられる。
 一方、去る12日にソウル地下鉄公社が労働部、行政自治部、建設交通部、国務調整室など政府部処(省庁)に職権仲裁を要請したものと伝えられており、労組が反発している。ソウル地下鉄労組は「政府公権力に頼って労使問題を解決してきたこれまでのあり方を脱していない使用者側の態度に怒りを覚える」とし、「来たる21日、全国地下鉄道時ストによって影響を被る国民のためにも、労組の要求に耳を傾けるべきだ」と主張している。

●軌道労組「合法スト」は可能か(毎日労働ニュース7月14日付)

 病院ストの先例に従えば「合法」有力…破局なら「社会的対話」の原点に

 軌道共闘本部の各事業所の労使交渉が難航しており、21日に予告されたストが現実化する可能性が次第に高まっている。しかし、必須公益事業所である地下鉄の労組がストに突入した場合、職権仲裁回付へとつながる不法スト論争が再燃する可能性も少なくなく、大量解雇や拘束事態をくりかえしてきた例年の悪循環をどう避けるかに注目が集まっている。
 これにともない、先だっての保健医療労組の場合のように、職権仲裁回付の手続きを経ずに合法的なストと労使間の自律交渉を通して紛争を解決させられるかどうかも主要な関心事となっている。
 軌道事業所のうち、完全に合法ストを行った事例は、調停満了決定がだされた2000年のプサン地下鉄労組ストの例のみ。
 昨年、インチョン地下鉄労組とともに地下鉄の安全確保問題をめぐってストに突入したプサン・テグ地下鉄労組の場合、それぞれ行政指導と調停満了決定が出され、手続上は合法ストとなったものの、争議の目的を構成する交渉対象をめぐって不法との判決が出され、1審で労組指導部がそれぞれ罰金刑と執行猶予を宣告されている。
 このほかに、1999年のソウル地下鉄労組、2002年の鉄道労組スト、そして昨年のインチョン地下鉄労組ストなどは、どれも職権仲裁に回された後、大量解雇と拘束の事態につながっている。昨年6月の鉄道労組の公社化阻止ストと12月のソウル都市鉄道労組の賃金・団体協約闘争ストは、調停手続きを経ずにストを行ったケースだ。

病院ストの先例適用されるか
 このように、完全な合法ストを行った例は1件しかない状況だが、今年の場合、これまでよりも合法ストの可能性が高い状態だ。
 とりあえず、同じ必須公益事業所である保健医療労組のストに対し、中労委が職権仲裁保留の決定を出した後、2週間にわたるストの間、職権仲裁回付を保留し続けた前例があるからだ。
 当時中労委は「労組は、不可避的にストに突入したとはいえ、応急室、重患室、新生児室など特殊部署には必須人員を配置して正常に運営し、応急待機班を編成・運営するなど患者への影響を最小限に抑えると約束したことにより、条件付き仲裁回付を勧告した」としていた。
 「労使または労組が自律交渉を通して解決することを約束するか、争議行為の際も必須業務を維持することを約束した場合、条件付き職権仲裁を勧告する」とした中労委の「職権仲裁細部基準」に従ったわけだ。
 このことに関連して中労委関係者は「保健医療労組は診療業務が多様で、軌道とは事情が異なる」とし、「軌道の場合、地下鉄が止まるかどうかの問題なので、どうしても違いがある」と述べている。ストにともなう必須維持業務をどう判断するかは容易ではないということだ。
 これに対し軌道共闘本部の関係者は「幹部社員や非組合員の業務投入で必須業務維持は可能だ」とし、「労組が彼らの出勤を阻止するわけでもないのに、病院と違うというのはおかしい」と主張している。

 政府‐自治体の関係も主要変数
 現政府のもとで生じている労‐政関係の雰囲気や、各地下鉄の労使交渉をめぐる中央政府と自治体との間の雰囲気も、合法ストの可能性を高めている。
 保健医療労組が2週間にわたって合法ストを行ったのは、職権仲裁の細部基準が適用されたことのほかに、労働界と政府が推進している社会的対話の雰囲気も大きく作用しているという見方もある。民主労総が職権仲裁回付の際に労政間対話の全面中止を宣言するなど、なんとか形成された労政間の対話ムードが、職権仲裁回付や公権力投入で原点に戻りかねないという危機意識が政府内で強く働いているというもの。
 軌道共闘本部の闘いが今年上半期の労働界の賃金・団体協約闘争を事実上しめくくる性格を帯びている点を考慮すると、労働委員会が職権仲裁回付などを決定するのは容易ではないとの見通しだ。
 現政府と自治体の政治的関係も、職権仲裁の可能性は低いとみる理由になっている。特にノムヒョン政府と、ハンナラ党を代表するイミョンバク・ソウル市長との間のぎくしゃくした関係は周知の事実であり、イ市長の最近の動向も政府の気を揉ませている。
 職権仲裁に回した場合、軌道ストが労政間対決の構図で展開され、政府に1次的な責任がふりかかり、社会的対話が崩壊する可能性が高い。一方、合法ストとして展開された場合、1次的な責任はソウル市にふりかかることになる。最近のソウル市の交通体系再編をめぐる失策、「首都ソウルを天に奉献」発言などに続いて、イミョンバク市長としてはかなり厳しい状況に陥りかねない。
 すでに中労委や労働部サイドでは、職権仲裁を最大限自制するとの立場をほのめかしていると言われる。だが、地下鉄労組が合法的にストに突入したとしても、バス交通体系の混乱も未ださめやらぬ中、市民に極度にしわ寄せが来る危険性が高いため、保健医療労組の場合のように相対的に長期にわたってストが続けられることを許容するのは容易ではないという分析のほうが支配的だ。

●鉄道民営化、再浮上(毎日労働ニュース7月9日付)

 政府「鉄道事業法」立法推進…労組「公共性低下し海外売却のおそれ」と反発

 昨年、労使政合意で保留になった政府の鉄道民営化推進計画が、ふたたび浮上してきた。
 政府は先月(6月)、国務会議での審議を通して、鉄道運営部分を分割し、鉄道事業への民間資本参入を制度化することを内容とする鉄道事業法案を国会に送付し、現在法案は17代国会で審議待ちの状態にある。
 ▲法案の主要内容=政府は、これまでの鉄道法を廃止し、鉄道事業法と鉄道安全法に代えるとしている。その内容を見ると、鉄道運営部門を路線別、事業別、特性別に区分し、事業用の鉄道路線を幹線、地域、都市、国際鉄道の4種類に区分している。
 また、鉄道事業を鉄道運送と鉄道車両管理事業に区分し、運送事業は旅客運送事業と貨物運送事業に分離している。旅客運送事業は再び一般鉄道、地域鉄道、都市鉄道、国際鉄道運送事業に区分し、貨物運送事業は車両整備業と車両賃貸業に区分している。
 特に、鉄道料金の値上げと変更を申告制に転換し、鉄道事業者間の競争促進に向けて競争体制を構築し、鉄道事業者と鉄道サービスの品質を評価して公表するとしている。
 また、多数の民間資本および海外資本の鉄道事業参入を制度化している。これに向け鉄道運送事業は免許制に、鉄道車両管理事業は登録制にするとしている。このようになった場合、現在の鉄道庁から来年1月に転換される韓国鉄道公社も、これらの民間企業と競争する一個の事業者に変わることになる。
 ▲推進過程と問題点=鉄道事業法は2002年7月にキムデジュン政権下で最初に立案され、昨年3月に立法予告されたが、同年4月の鉄道労組‐政府間合意で事実上留保となった。
 その後、鉄道産業基本法と鉄道公社法が通過し、韓国鉄道施設公団が発足し、来年1月、鉄道の運営と維持補修を統合する韓国鉄道公社(現鉄道庁)が発足する予定だった。
 鉄道労組は「政府が鉄道構造改革政策を再検討していることでこの法は死文化するものと予想されていた」とし、「建設交通部は、主要な利害当事者である労組と何の協議も行わずに一方的に分割民営化政策を推進している」と批判している。
 労組は「昨年、鉄道民営化政策が撤回されたのは、公共性の低下と海外売却に対する国民の懸念によるものだった」とし、事業分割および免許制・登録制の施行など民間資本参入を制度化する政策の撤回を要求している。
 労組はまた「鉄道事業の従事者と政府が政策的に集中すべきことは、韓国鉄道公社が鉄道産業の発展と公共性確保の牽引車となるよう支援すること」だとし、鉄道の運営と維持補修を統合する単一事業者指定を求めている。 

●軌道共闘本部4500名、全国で決議大会…5〜7日スト賛否投票予定(毎日労働ニュー
ス7月2日付)

 軌道労働者VS公社「人員増」めぐり一勝負

 共闘本部「週5日勤務‐職増やしに結びつけよ」、社側「現在の人員で十分」

 改正された週40時間制勤労基準法が施行された7月1日、4500人の軌道労働者が週5日勤務と人員増強を要求して決議大会を開いた。
 この日、軌道連帯共闘本部はソウル・宗廟公園で3000人、プサン駅広場で1500人の組合員が参加した中、週5日勤務と人員増強に向けた組合員決議大会を開催した。
〔写真〕
〔軌道連帯=全国軌道労働組合連帯会議。軌道部門という同質性をもとにつくられた、ソウル、プサン、テグ、インチョン、クァンジュの各地下鉄労組、ソウル都市鉄道労組、鉄道労組の共闘組織。上部団体は民主労総公共連盟〕


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